11/11といえば……世間的にはポッキーの日だったり、個人的にはあずにゃん(中野梓)の誕生日だったり、ごちうさ民的にはぴょんぴょんの日だったりしますが、
この日発売された(凄い日にリリースしたな…)
THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS
STARLIGHT MASTER GOLD RUSH! 04
に、黒埼ちとせと白雪千夜による「時を刻む唄」のカバーが収録されています。
そのカバー曲を聴いた感想を、Twitterで呟くととんでもないツイート数になりそうだなと思ったので、こうしてブログに纏めようと思いました笑
ジャケットにもなっているヒーローヴァーサスレイナンジョーも、特撮好きな方には堪らない良い歌ですし、楓さんカバーの「鳥の詩」も良い意味で鳥肌が止まらないものになっていますが……今回話すのは「時を刻む唄」カバーです笑
また、このカバーを語る上で、CLANNADの内容を多少齧る部分がありますので、なるべくネタバレは控える程度には書くつもりですが、そういう要素が気になる方は注意してください。
さて、まず原曲「時を刻む唄」ですが……KEY作品および京都アニメーション作品の楽曲の中でも一、二を争う名曲として有名です。自分も、CLANNADのことが大好きになってから10年近く聴き続けています。
そんな素晴らしい楽曲を、これまた自分が大好きなデレマスのアイドルがカバーしてくれると言うのですから、初めて情報を目にした時は大泣きしました……いやホント情けない話、誇張なしで笑
ただ、この情報を見る前に思っていたことがあって、それは「KEY楽曲コラボの難しさ」という点です。
上のコラボ情報よりも前の段階で、新田美波の「アルカテイル」と、高垣楓の「鳥の詩」が発表されていましたが、これらのコラボ選定が「楽曲とキャラのイメージ」なんですよね。
美波には夏が似合うから夏の歌を、楓さんの歌姫的な要素を活かせるのびやかな歌を、それぞれ理由としてカバーに至ったと思うんですけど、それって他のデレマスカバー曲でたまに見られる「歌詞とキャラクター性の関連付け」とは、違うタイプのアプローチなんですよね。言ってしまえばイメージっていう漠然とした、安直なカバー動機なんです。いやオタク特有の拗らせ構文を用いて、アルカテイルと鳥の詩カバーの歌詞をアイドルと紐付けるPもいらっしゃるかもしれませんが……笑
と、いうのも……KEY作品の楽曲はどれも、作品の内容が強く表に出た歌詞であることが多いので、カバーをする上で「歌詞とアイドルを紐付ける」というのは、難しいんじゃないかって考えていたわけです。なので、上に貼った画像の情報を見る前は、
「いや時を刻む唄はカバー来たら泣いて喜ぶけど……難しいだろう……だって愛する人との死別の歌だから、曲のイメージから合うアイドルを選ぶのも難しいし、歌詞を踏まえてアイドルを選ぶなんてそんなこと出来るわけが……」
って思っていたわけですが……蓋を開けてみれば、何と恐ろしい化学反応を生んでくれたのかデレマスは。
黒埼ちとせの(メタな言い方をすると)設定を知っている人なら、誰でも納得してしまうカバー選定なんですよね……運営に人の心はあるのか(褒め言葉)。
同時に「智絵里のMy soul , Your Beats! は安直にも程があるだろwww最高だけどwww」って思わず突っ込んでしまいましたが笑
と、ここまでカバー情報公開時のことを改めて振り返っていましたが、それを踏まえてここから今回「時を刻む唄」カバーのFull ver. を聴いた感想です。
いや、歌詞のパート分けずる過ぎません???
正に、予測可能回避不可能な破壊力でした。「あーはいはい、どうせパートはこんな感じに分けてくるんでしょ?」って、分かってても泣ける。なんかその感覚もKEY作品のシナリオに通ずる部分があって、本当に良く出来たコラボカバー楽曲になったなと、感極まりました。KEY作品も、次何が起きるか分かってて構えてても泣いちゃう名シーンが多々あるので……笑
特に2番からのパート分けはデレステでは聴けなかった部分なので、帰宅途中聴いていましたが思わず涙がこぼれそうになって危なかったです。
1番の歌詞から振り返っていきますと、まず初っ端
落ちてゆく砂時計ばかり見てるよ
逆さまにすれば ほら また始まるよ
刻んだだけ進む時間に いつか僕も入れるかな
ここをちとせが歌うわけですが、開幕10割やめーや。
これ原曲の解釈だと(早速ネタバレになるのですが)、主人公が同じ時間を何度も繰り返していることの暗示になっていますが、
ちとせが歌うと、毎日同じような日々を繰り返す中で、未来に僅かな希望を抱いているように聴こえますよね。その希望とは恐らく千夜ちゃんのことなのでしょうけど、早速歌詞を変えずに原曲とは違う解釈をさせてくれるようになっていて、この時点から既にレベルの高いコラボカバーであることを感じます。
君だけが過ぎ去った坂の途中は
温かな陽だまりがいくつもできてた
僕1人がここで優しい温かさを思い返してる
次のこのパートは千夜ちゃんなわけですが……やめろ、やめてくれ……orz
と、担当Pが膝から崩れ落ちる展開。これは原曲の解釈ともほぼ一致なのですが、
ずっと2人で歩いてきた(人生の)坂道を振り返ると、隣にいないあの人との思い出が、木漏れ日になって坂を彩ってる……と、正に歌詞通りのクッソしんどいこのパート。ここを千夜ちゃんに歌わせる意味……考えたくはないですが、あり得るかもしれないのがVelvet Rose の恐ろしいところ……。
ここからの1番サビも解釈が歌詞の通りなので割愛しますが、2人がいかにお互いを想い合っているか、その愛情の深さが分かりますよね。
「ひとつだけありふれたもの」……つまり「愛」ですが、「愛」と言っても色んな種類がありますよね。原曲では文字通りの「恋愛」と、そこから生まれる「家族愛」が解釈に含まれますが、ちと千夜の場合だと「主従関係」による愛も含まれると思います。ちとせのブライダル限定SSRでは「愛の種類」に対する言及があるみたいなので、気になった方は是非復刻が来た時に手に入れましょう()
はい、ここから2番のパート分けの感想ですが……
三人分の朝ごはんを 作る君がそこに立っている
ここ、やっぱりちとせに歌わせたかぁ……って感じですよね。
とりあえず、この「三人目って誰???」というのはVelvet Rose Pさんの各々の妄想に任せるとして笑
この2番の歌詞から、個人的に凄いというか、面白いなと感じたのが、視点がコロコロ変わる仕組みです。
当然ですが、原曲では「君」と「僕」が指す対象の人物に、最初から最後まで変化は無いのですが、
このカバーでは、「僕」はそのパートを歌っている本人、「君」はもう一人の方と解釈できるので、パートが変わる毎に視点がコロコロ変わっているように考えられますよね。
具体的に、原曲とカバーの解釈の違いを比べると
原曲での2番の歌詞は
「肌寒くて目覚まし時計よりも早く起きたけど、僕よりも君の方が先に起きて朝ご飯を作っていた」
と解釈できるのに対し、
カバーでの2番の歌詞は
「肌寒くて予定よりも早く起きてしまった千夜ちゃんが、張り切って朝ご飯を作っているところを、後から起きてきたちとせお嬢様が後ろから見つめている」
という情景が浮かんでくるんですよね。
本来一人で歌うはずの歌を、二人で歌うことによってここまで面白くなるのかと、泣きそうになりながらも感心していました。ただ原曲をなぞるだけではなく、きちんとアイドルのキャラクター性に落とし込もうとするのが、デレマスのカバーの特徴であり、醍醐味ですよね。今回も、それは例外ではなかったと思います。
君だけが 君だけが そばにいないよ(千夜)
昨日まですぐそばで 僕を見てたよ(ちとせ)
2番サビです。メタな話、デレマスがサザエさん時空で良かったと思わざるおえなくなるパートですね……。これ歌ってるちとせの心境やいかに……。
ここでの「君」と「僕」は、どちらもちとせお嬢様を指していますね。ここも原曲との違いを感じて面白いです。歌詞の内容は全然面白くないですけど……orz
ここからラスサビですが、本当に最後までエモいんですよね……
君だけを 君だけを 好きでいたよ
ここ、1番サビと歌詞は同じ部分なんですが、
1番ではちとせお嬢様、ラスサビでは千夜ちゃんが歌っているので、きちんとここで歌い分けることによって、改めて二人が相思相愛であることを確認できる構成になってます。
君だけと 君だけと 歌う唄だよ
ここで思わず頷きました。そりゃ、この曲をカバーできるのは、デレマスで君ら2人しかいねぇわ……と、歌詞の内容を踏まえると悲しいですが、このまま行くと歌詞通りの運命が待ってる二人なので納得できてしまうんですよね。
片方だけ続くなんて 僕は嫌だよ
ここ、無理でした。帰宅途中にFull聴いてたので、その時は頑張って涙堪えましたが、家でじっくり聴いたら自然と涙がこぼれました。
いや何でって……Full聴く前、自分はここのパート、千夜ちゃんが歌うものだとばかり考えてたんですよ。残された方が「嫌だ」と言うのが自然ですし、原曲ではそういう歌詞なので、特に深く考えず、このパートは千夜ちゃんが歌うかなぁと、漠然と思っていましたが……不意打ちでした。
ちとせお嬢様……めっっっちゃ悔しいんじゃん……自分の運命悟ってても、やっぱり千夜ちゃんのそばにずっといたいんじゃん……そうだよなぁ、そんなの当たり前だよなぁ……!!!
作品は違いますが、ここは完全にCLANNADというよりリトルバスターズ!の展開のソレですね。分かる人には分かってもらえると思います。恭介……。
いつまでも覚えてる この町が変わっても
どれだけの悲しみと出会うことになっても(千夜)
みせてやる 本当は強かった時のこと
さぁ行くよ 歩き出す 坂の道を(ちとせ)
ラストスパート。この先どんな困難が待っていようとも、受け止める覚悟を決めた千夜ちゃんと、
自分の運命を悟っても尚、最後までしっかり生きようと強く足を踏み出すちとせお嬢様が、二人肩を並べて歩いている光景が浮かぶようです。
しかし同時に、最後の最後まで二人の声(パート)が合わさることが無かったことを考えると、その先の運命は結局暗雲立ち込める感じになっているのもポイントです。絶望の中に差す一筋の希望という名の光が見える感じでしょうか。とても余韻のある〆だと思います。
原曲でもハッピーエンドかバッドエンドか分からない歌詞に解釈できますが(ラストで聴こえる、オルゴールを巻き戻す音も、時間遡行の暗示になっており、結末が定かではない)、
歌い分けにより原曲よりも「絶望の中の希望」を演出できているように感じて、素晴らしいカバーです。
かなり纏まりが無くて、拙い駄文になってしまいましたが、以上で「時を刻む唄」ちと千夜カバーの感想でした。
いやほんと、原曲は学生時代からずっと聴いてきた曲で、耳に馴染んでいますが、まさかこんなアプローチで再びこの曲で涙することになるとは、思ってもみませんでした。
CLANNADを愛し、デレマスも愛してずっと追いかけてきた自分にとって、まさに福音のようなコラボカバーです。
カバーしてくれてありがとう、ちとせお嬢様、千夜ちゃん。
ありがとう、シンデレラガールズ。
そして、デレマスを愛する全てのプロデューサーに、幸あれ。