【Amazon Connect】
Amazon ConnectとAIでなにができる?
コンタクトセンター在宅化の課題解決にも!
2020年11月5日掲載
こんにちは。シイノキです。続きが出たら買おう!と楽しみにしていたマンガの最新刊が、半年以上前に発売されていたことに先ほど気づきました。なぜ今まで気づかなかったのか……とショックが大きいですが、楽しみが残っていた、と前向きにとらえようと思います。
このコラムでも何度が紹介してきた「Amazon Connect」。AWSが提供するコンタクトセンターサービスです。コンタクトセンターの在宅勤務化にも有効で、機械学習などAWSの各種サービスとも簡単に連携できていろいろ便利……とは言いますが、「いろいろ便利」って具体的になにがどう便利なのか?今回はそのあたりを学んでいきたいと思います。学びの場は引き続きAWS Summit Online 2020のセッションになります。膨大なセッション数なので、もちろんすべては到底聞けないのですが、セッションひとつずつの情報量が多くてさすがです。
そもそもAmazon ConnectはECサイト「Amazon」のコンタクトセンターのために開発されたものですが、Amazon自身、コンタクトセンターの在宅化を推進しています。ならば、コンタクトセンターの在宅化であがってくる課題はひと通りAWS自身で解決済みとも言えるのでは……。ということで、AIと組み合わせた活用法から、在宅コンタクトセンターの課題解決策までまとめて見ていきましょう。
コンタクトセンター運用で、まず使いたい機械学習サービス
AWSの数ある機械学習サービスのなかでも、Amazon Connect連携を考えたときにまず挙がってくるのが「Amazon Transcribe」と「Amazon Comprehend」の2つです。Amazon Transcribeは音声テキスト変換サービスで、通話の録音記録を自動でテキスト化できるもの。ストリーミング(リアルタイムでのテキスト起こし)は日本語未対応ですが、一度音声ファイルとして保存したもののテキスト化は日本語にも対応しています。これは用途が分かりやすいですね。
もうひとつのAmazon Comprehendは「テキストからインサイトや関係性を検出する」サービス。インサイトとはなんぞや……というのがちょっとピンときませんが、会話のテキストからトピックを抽出したり、ネガティブ/ポジティブを分析したり、感情の推移を分析したりすることができる様子。なるほど、それはちょっと気になります。
この2つ、どちらも確かに便利そうなのですが、通話音声をテキスト化して、内容を詳しく分析する……って、どんなコンタクトセンターでも必要な機能だよね?ということで、なんとAWSが必要な機能をまとめたサービスを作ってくれています!その名も「Contact Lens for Amazon Connect」。自動の文字起こし、感情分析、通話の自動分類などをおこない、まとめて表示してくれます。しかも、通話をキーワードで検索できちゃう!日時や期間での指定ではなく、通話内容で検索できるのは相当便利なのでは?ちなみに検索すると、該当キーワードを含む通話が一覧で表示され、通話ごとに顧客感情の推移やトピックなどを確認できるのだとか。これを見れば、管理者がひとつずつ録音を聞かなくても会話の内容をざっくりと把握できる、というワケです。
コンタクトセンターの在宅勤務化における大きな課題のひとつが「管理者がオペレータの様子を把握できなくなること」なのだそう。同じ場所にいれば「あのオペレータ、対応が長引いてるけど大丈夫かな」「トラブルかも」などと気づけることも、それぞれ自宅で対応しているとわかりにくくなります。だからといって、すべての通話を聞くのはどう考えても無理。でも、Contact Lens for Amazon Connectをうまく活用すれば、コンタクトセンターやオペレータの状況を効率よく把握できて、タイムリーに対処できる……実際どこまでできるかは、現場の運用や問い合わせの内容などによって変わりそうですが、期待は大きいです。
オペレータにつなぐ前のお客さま対応を進化させる
前回のコラムでは、「電話をオペレータにつなぐ前に、問い合わせ対応を完結できるか検討しよう」といったことを紹介しました。ここではAmazon ConnectのIVR機能を利用するわけですが、そこで活躍するのが、テキストから音声を合成する「Amazon Polly」。あらかじめ登録した定型文だけでなく、その都度メッセージを生成して読み上げることもできるんです。CRMや顧客データベースなどと連携すれば、お客さまのそのときの状況にあわせた案内もできるように。たとえば、ある手続きで不備が多発し、対応を進めているとします。そのなかでお客さまから電話がかかってきたら、まずデータベースを検索して、対象者であればガイダンスを流して、専用のフローに誘導する、そんなことが可能になります。
お客さまの状況にあわせたガイダンスで、適切な対応をサポート
さらにこれをググっと進化させるのが「Amazon Lex」。これは対話型インターフェースを構築するサービス、簡単に言えばチャットボット作成ツールです。なんでもAmazon Alexaで採用している深層学習技術を利用していて、「自然言語での高度な対話ボット」を簡単に作れるのだとか。文字ベースのチャットボットだけでなく、Amazon Pollyと組み合わせれば音声での対話ボットも作れます。こちらは残念ながら日本語に対応していないので、すぐに使えるわけではないのですが、ここまでできたらかなり「オペレータにつなぐ前にできること」の幅が広がりそうですよね。
自宅のインターネットがイマイチ……でも安定した通話を実現する方法
最後に、機械学習からは離れるのですが、在宅コンタクトセンターの課題への解決策をもうひとつご紹介。インターネットがあれば、場所を問わず、自宅などでもコンタクトセンターの業務ができることがAmazon Connectの魅力ですが、それは逆に「通話品質が自宅のインターネット回線の品質に左右される」ということでもあります。オフィスならば、会社側で回線を用意できますが、自宅のインターネット回線は会社側でコントロールできないところ。かといって、「オペレータの自宅のインターネット回線がイマイチなので、通話もよく聞こえません」はコンタクトセンター的にはよろしくない。
そこで、おすすめしたいのが「デスクフォンモード」です。これは、Amazon Connectを介した通話を、インターネットではなく公衆網経由でおこなう仕組み。事前にオペレータ自身が転送先となるスマートフォンなどの電話番号を登録しておくことで、お客さまからの電話がソフトフォンに着信したタイミングで登録した電話番号に転送され、スマートフォンの公衆電話網で通話できます。
保留や転送などの操作はソフトフォンからおこなうため、インターネット回線が不要になるわけではなく、PCとスマホを併用する形になりそうですが、インターネット回線に依存せずに通話品質を安定させたいというニーズへの回答としては十分と言えそうです。
コンタクトセンターでも、エンタープライズと同等の分析を小規模で取り入れられる
今回は、Amazon Connectの機械学習関連サービスとの連携を中心に、在宅勤務化における課題解決策をご紹介してきました。各種サービスやさまざまなシステムと柔軟に連携できることはAmazon Connectの圧倒的な強みではありますが、なかでも機械学習をこうして手軽に取り入れられる魅力は大きいように思います。
コンタクトセンターの在宅運用の効率化はもちろんですが、Contact Lens for Amazon Connectでの分析などは在宅勤務化していないとしても役立つはず。AWSのマネージドサービスを語る際によく言われることですが「エンタープライズが利用しているのと同等のものを、小規模から使えるように」というのが、ここでもまさに実現されている、ということでしょう。
ソニービズネットワークスのAWSなんでも相談室(無料&個別開催)では、Amazon Connectの導入についてもご相談を受け付けております。
気になることがありましたら、ぜひお気軽にお申込みください!
以上、シイノキでした!
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