1.倉敷市英語教育総合プロジェクト
「英語教育推進特区」の認可後、倉敷市教育委員会をはじめ、小・中学校や教育研究団体(小・中学校英語教育研究会など)が共に連携を深めながら、英語教育を推進しようとする機運が高まりました。このことから、倉敷市では、「倉敷市英語教育総合プロジェクト」を立ち上げ、施策や取り組みを総合的に進めてきました。プロジェクトの主な内容を以下に紹介します。
(ア)倉敷市外国人英語講師(NET)プログラム
国のJETプログラムや、市単独による姉妹都市からの採用を通して、順次、英語指導助手を雇用してきましたが、「質の高い外国人英語講師(NET→Native English Teacher)の確保」という観点からプログラムの改善を図り、平成15年度からは国内採用に切り替え、現在、倉敷市単独で38名の外国人英語講師を雇用しています
(表1参照)。
表1 外国人英語講師などの雇用数(資料提供:倉敷市教育委員会)
(イ)小学校における「英語科」の実施およびカリキュラム検討委員会
現在、市立全小学校の第5・6学年では年間35時間、第3・4学年では年間20時間、「英語科」を実施しています。英語科の導入に当たっては、推進校による公開授業、小学校教員全員を対象にした英語科研修講座への参加など、各小学校の協力を得ながら、19年度からの全校実施に向けて取り組んできました。さらに、倉敷市独自の「小学校英語科学習指導方針」、「年間指導計画」および「授業展開例」を作成し、各小学校がこれらを基に工夫しながら、子どもたちのコミュニケーション能力の素地を培っています。また、毎年、カリキュラム検討委員会において、英語科実施上の成果や課題などについて検証を行い、よりよい小学校英語のあり方を追求しています。
(ウ)くらしきグローバルフレンドシップ事業
小学校低学年を対象に、年間5回程度、地域に在住している外国人、または外国に長年住み帰国した地域の人たちを招いて、外国の歌や言葉遊びなどを一緒に楽しんだり、外国の生活習慣、食文化、学校生活、日常生活などについて紹介してもらったりしています。
(エ)倉敷市長杯中学生英語スピーチコンテスト
身近な事柄や郷土倉敷などについて、自分の考えを英語で発表することを目的として17年度から開催され、24年度で第8回を迎えます。当日は、市内の中学校28校(私立中学校1校、県立中学校1校を含む)の代表が参加し、各自の思いや考えを英語で発表しますが、司会および運営は倉敷市雇用の外国人英語講師がすべて英語で行っています。
2.中学校教育研究会倉敷支部(倉敷市)英語部会の取り組み
(ア)倉敷市英語祭(Kurashiki English Festival)
毎年、中学校教育研究会倉敷支部英語部会の主催により、市内の中学校(7~8校)の、英語部や英語好きの生徒たちが参加し、英語劇や歌、スピーチ、クイズ、ゲームなどを通して交流活動を行っています。
(イ)英語研修会および授業研修会
毎年、夏休みに講師を招き、効果的な英語指導方法について研修を行っています。また、授業公開を伴う授業研修会を開催し、授業改善に向けた熱心な協議を行っています。さらに、3年ごとに開催される県英語研究大会に向けて、市内各地区の代表者が研究テーマに沿った実践研究に取り組んでいます。
(ウ)『English Kurashiki』の発行
毎年、倉敷支部英語部会の取り組みのまとめとして『English Kurashiki』を発行しています。市内の中学校における英語学習の指導方法の工夫や参考となる言語活動、外国人英語講師によるエッセイなどもあり、市内の英語教員間では好評を得ています。
3.その他
(ア)倉敷イングリッシュキャンプ
毎年夏休みに、倉敷市国際課の主催により1泊2日で行われており、地元倉敷市少年自然の家を会場に、市内の中学生約150名が参加しています。市内の外国人英語講師の協力により英語活動を楽しむことができるユニークな企画で、夏休みを締めくくる充実したイベントとなっていて、24年度には第24回を迎えます。
(イ)英検の積極的な受験
市内の多くの中学校で、卒業時までに3級を取得することを目標として、英検を受験しています。「英語教育推進特区」認定後の17年度以降に、受験者数が増加しました(表2参照)。
年度により受験者数の増減はありますが、中学校における英語学習の成果を確認する良い機会と捉え、今後も積極的に受験を促していきたいと考えています。