ワクチン完全接種者、マスクなしで集まり可能 米が初指針

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CDCのワレンスキー所長は研究が進み次第、指針を更新すると説明した=ロイター

【ワシントン=鳳山太成】米疾病対策センター(CDC)は8日、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人に向けた初の指針を公表した。他人の家に集まるときにマスクを着けたり距離を取ったりしなくてもよい。公衆の場では引き続きマスク着用を促した。

指針は2回のワクチン接種もしくは1回でも効果があるワクチンの接種を受けてから2週間を経過した人が対象となる。

マスクなしで他人の家を訪問できる。相手が接種済みだったり、未接種でも重症化のリスクが低かったりする場合はマスク着用や約2㍍の距離確保が要らないという。接種済みの祖父母が、孫の家を訪れる場合などが当てはまる。

接種済みの人は、感染者と接触したことが分かっても、症状が出ない限りは自己隔離したり検査を受けたりしなくてもよいと定めた。

一方、訪問相手がワクチン未接種で重症化リスクが高かったり、3世帯以上が集まったりする場合は引き続きマスク着用などの対策を取るよう促した。

ワクチンの普及が進むなか、接種を済ませた人が再開できる活動は何なのか、当局の説明を求める声が高まっていた。CDCは今回の指針について「日常生活に戻るための最初の一歩」と位置づけた。ワクチン接種が始まった日本にも参考になりそうだ。

ワクチンの接種後にウイルスを広げる可能性など未解明な点はまだ多い。CDCは引き続き研究を進めて、指針を随時更新するとしている。

CDCによると、免疫獲得に必要とされる2回の接種を受けた人は7日までに約3100万人と全人口の約9%にとどまる。

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

  • 小黒一正のアバター
    小黒一正法政大学経済学部 教授
    分析・考察

    ワクチンの効果には①発症予防効果、②重症化予防効果、③感染予防効果といったものがあります。海外の研究論文により、このうちファイザー製の発症予防効果等(①②)は90%程度あることが明らかになっていますが、感染予防効果(③)は現在のところ不明確なのが気になります。なぜなら、ワクチンを接種しても感染する可能性があるからです。一部の研究論文では、感染予防効果の報告もありますが、分析方法に関する議論もあるようで、より精緻な分析で、この効果が確定するまでは(公衆の場以外でも念のために)マスクをした方がいいのではないでしょうか。

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  • 鈴木一人のアバター
    鈴木一人東京大学 公共政策大学院 教授
    別の視点

    ワクチン接種を終えた人とそうでない人が混在する状況だと、ある種の差別というか、ワクチン接種を終えた人の特権状態が生まれてしまう。それを避けるためにアメリカは猛烈な勢いでワクチン接種を進め、できるだけ短期間で大多数が接種を終えた状態を作りたいのだろう。その点、ワクチン接種のスピードが明らかに遅い日本では、こうした格差が社会的な問題になりそうな気がする。

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