※注意 いつもの中国嫁日記ではありません※
評論同人 希有馬屋
最後のエヴァンゲリオン感想
以下の文章はシン・エヴァンゲリオン劇場版:||の感想です。
ストーリーおよび内容に関しては触れていないつもりですが、
しかしそれがゆえに『テーマのネタバレ』という、
ある意味致命的なネタバレが含まれていますので、
映画視聴後に読むことをお薦めします。
またいつもの中国嫁日記とは違う、
ものすごい恥ずかしい文章が続きます。
私のかつての同人誌を読んだことのない人は注意して下さい。
現実対虚構。
子供が出来るのは圧倒的に現実(リアル)であり、
その前には虚構などちぎれ吹き飛んでしまう。
そう思っていました。
というかそう想像していました。フィクションとして。
しかしそうじゃない。
いや、女性はちぎれ飛ぶのかもしれない。
しかし男性はそうじゃない。
それは残念なことに、
男性はお腹を痛めて産むわけじゃないことに由来するものだ。
私は出産の現場に立ち会ったし、産まれる瞬間も見た。
苦しむ妻にずっと付き添った。
しかし、お腹を痛めた妻とは距離があるのだ。
絶対的な距離があるのだ。
それは生理的なものであり、埋まらないのだ。
そこからがスタートだ。
そうなるだろうなというところに収まった。
物語の話じゃない。
物語は違う。驚きも憤慨も納得も興奮もふんだんにある。
結構本気で驚く、興奮する。安心して欲しい。いや不安に思って欲しい。
なんの情報も入れず、今すぐ見てほしい。
ここで語るのはテーマの話だ。
エヴァンゲリオンというもののコアだ。
テーマとしては「そうなるだろうな」という所に落ちる。
それは最初から予定されてたもの。
というか、一番最初、庵野秀明が
シン・エヴァンゲリオン開始前ににテーマとして掲げている。
だからネタバレでもなんでもない。
それは繰り返しの物語だ。
我々がずっとずっと繰り返してきた家族の物語だ。
生まれてきて、生きるものの物語だ。
だが、それは衝撃的だった。
なぜ衝撃的だったのかというと、
自分が父親になっていたからだ。
そして言われたのだ
「お前と妻には距離があり、絶対的なもので、それは埋まらないのだ」
いや、それは知ってた。
知ってたが、しかし、まさかエヴァに言われるとは思わなかった。
親の顔より見た……
いや間違いなく下手な親戚よりずっと付き合ってきた「ヤツ」に
面と向かって言われるとは思わなかった。
そしてそれに納得する自分がいるとは思わなかった。
油断してたがゆえに殴られた。
ああそれ分かる と思ってしまった自分にショックだったのだ。
俺は間違いなく自分の息子を愛している。
しかし、息子がなんの疑いもなく俺を信頼してることに
小さく、小さく、ほんの小さくだが
……怖れを感じる。
それは間違いなく怖れ。
なぜなら、息子がよく分かっていないから。
生きた人間だからだ。ヒトだからだ。
息子と俺とは違う……
「……って思ってるだろ?」と言われたのだ。
これは恐怖だ。
かつて庵野秀明は
最初のエヴァ映画で「お前らオタクは~」的な雑な殴り方をしてきた。
今だと笑える。やり方も稚拙だし、今は「そこ」にいないから。
今だったら笑える。しかし当時は違う。
本気でショックだった。
今のオタクには理解できないと思うが、殴られた俺らはショックだったし
「あ、今、俺殴られた」と認識した。
まさか25年の時を超え、同じ文法で殴ってくるとは思わなかった。
しかも殴られる思っていない箇所を殴られた。
そして殴られた瞬間に思ったのだ。
エヴァだ。
エヴァが帰ってきた。
25年の時を超え帰ってきたのだ。
そしてそれと同時に25年分の加速を付けて殴られた。
やってくれたな。くそったれ。
そうだ。またしてもやられたのだ。
思い出した。お前そういうヤツだったよな。
いやあ変わらないねと表面上は笑いながら、
それでも実は痛かった。痛かったぞこのやろう。
その痛みとともに、エヴァンゲリオンは終わった。
どこからどうみても完璧なエヴァンゲリオンだった。
映画としてはいいたいこともある。
なんだそりゃと思う展開もあった。
でもいいんだ。なんか晴れやかだ。
ヤツはそういうヤツだった。
思い出したよありがとう。
と思ったのは俺だけかと思っていたら、
見える範囲だと結構みんなそうやって笑っている。
アラフィフアラフォーが妙に晴れやかに笑ってるのを
「気持ち悪い」と思う若い人もいるかもしれないが、
仕方ないのだ。そんなヤツとずっと付き合ってきたんだもの。
そして終わるんだもの。
エヴァンゲリオン大好きだったなあ!
庵野さん大好きすぎて、本人にインタビューにいったなあ!
人生がエヴァだった時期あったなあ。
そしてそこには間違いなくあの痛さがあったなあ。
さらば、全てのエヴァンゲリオン
本当に本当に本当にそういう映画だった。
お前と妻の間には、絶対的な距離がある。
それは息子との距離だ。
お前はお腹を痛めてない。そうだろ?
その通りだ。
そして、そこがスタートだ。
俺と息子との現実はそこからだ。
終わりじゃない。スタートだ。
俺はフィクションとは違う。
そう思えるのはヤツがいるからだ。
俺たちが25年付き合った、作り話だ。
油断すると本気で殴ってくる。いいヤツだった。
大好きだった。
制作に関わった全ての皆様。
本当にありがとうございました。
※これは息子のいるアラフィフ男の感想でありますが、
子供がいないと感動できないとかそういう浅はかな映画じゃありません。
そんな迂闊な映画あの人が撮るわけないじゃないですか。
評論同人 希有馬屋
最後のエヴァンゲリオン感想
以下の文章はシン・エヴァンゲリオン劇場版:||の感想です。
ストーリーおよび内容に関しては触れていないつもりですが、
しかしそれがゆえに『テーマのネタバレ』という、
ある意味致命的なネタバレが含まれていますので、
映画視聴後に読むことをお薦めします。
またいつもの中国嫁日記とは違う、
ものすごい恥ずかしい文章が続きます。
私のかつての同人誌を読んだことのない人は注意して下さい。
というか、
どうしても書かずにはいられなかったんです。
エヴァ大好きなんで
すみません。
どうしても書かずにはいられなかったんです。
エヴァ大好きなんで
すみません。
現実対虚構。
子供が出来るのは圧倒的に現実(リアル)であり、
その前には虚構などちぎれ吹き飛んでしまう。
そう思っていました。
というかそう想像していました。フィクションとして。
しかしそうじゃない。
いや、女性はちぎれ飛ぶのかもしれない。
しかし男性はそうじゃない。
それは残念なことに、
男性はお腹を痛めて産むわけじゃないことに由来するものだ。
私は出産の現場に立ち会ったし、産まれる瞬間も見た。
苦しむ妻にずっと付き添った。
しかし、お腹を痛めた妻とは距離があるのだ。
絶対的な距離があるのだ。
それは生理的なものであり、埋まらないのだ。
そこからがスタートだ。
そうなるだろうなというところに収まった。
物語の話じゃない。
物語は違う。驚きも憤慨も納得も興奮もふんだんにある。
結構本気で驚く、興奮する。安心して欲しい。いや不安に思って欲しい。
なんの情報も入れず、今すぐ見てほしい。
ここで語るのはテーマの話だ。
エヴァンゲリオンというもののコアだ。
テーマとしては「そうなるだろうな」という所に落ちる。
それは最初から予定されてたもの。
というか、一番最初、庵野秀明が
シン・エヴァンゲリオン開始前ににテーマとして掲げている。
だからネタバレでもなんでもない。
それは繰り返しの物語だ。
我々がずっとずっと繰り返してきた家族の物語だ。
生まれてきて、生きるものの物語だ。
だが、それは衝撃的だった。
なぜ衝撃的だったのかというと、
自分が父親になっていたからだ。
そして言われたのだ
「お前と妻には距離があり、絶対的なもので、それは埋まらないのだ」
いや、それは知ってた。
知ってたが、しかし、まさかエヴァに言われるとは思わなかった。
親の顔より見た……
いや間違いなく下手な親戚よりずっと付き合ってきた「ヤツ」に
面と向かって言われるとは思わなかった。
そしてそれに納得する自分がいるとは思わなかった。
油断してたがゆえに殴られた。
ああそれ分かる と思ってしまった自分にショックだったのだ。
俺は間違いなく自分の息子を愛している。
しかし、息子がなんの疑いもなく俺を信頼してることに
小さく、小さく、ほんの小さくだが
……怖れを感じる。
それは間違いなく怖れ。
なぜなら、息子がよく分かっていないから。
生きた人間だからだ。ヒトだからだ。
息子と俺とは違う……
「……って思ってるだろ?」と言われたのだ。
これは恐怖だ。
かつて庵野秀明は
最初のエヴァ映画で「お前らオタクは~」的な雑な殴り方をしてきた。
今だと笑える。やり方も稚拙だし、今は「そこ」にいないから。
今だったら笑える。しかし当時は違う。
本気でショックだった。
今のオタクには理解できないと思うが、殴られた俺らはショックだったし
「あ、今、俺殴られた」と認識した。
まさか25年の時を超え、同じ文法で殴ってくるとは思わなかった。
しかも殴られる思っていない箇所を殴られた。
そして殴られた瞬間に思ったのだ。
エヴァだ。
エヴァが帰ってきた。
25年の時を超え帰ってきたのだ。
そしてそれと同時に25年分の加速を付けて殴られた。
やってくれたな。くそったれ。
そうだ。またしてもやられたのだ。
思い出した。お前そういうヤツだったよな。
いやあ変わらないねと表面上は笑いながら、
それでも実は痛かった。痛かったぞこのやろう。
その痛みとともに、エヴァンゲリオンは終わった。
どこからどうみても完璧なエヴァンゲリオンだった。
映画としてはいいたいこともある。
なんだそりゃと思う展開もあった。
でもいいんだ。なんか晴れやかだ。
ヤツはそういうヤツだった。
思い出したよありがとう。
と思ったのは俺だけかと思っていたら、
見える範囲だと結構みんなそうやって笑っている。
アラフィフアラフォーが妙に晴れやかに笑ってるのを
「気持ち悪い」と思う若い人もいるかもしれないが、
仕方ないのだ。そんなヤツとずっと付き合ってきたんだもの。
そして終わるんだもの。
エヴァンゲリオン大好きだったなあ!
庵野さん大好きすぎて、本人にインタビューにいったなあ!
人生がエヴァだった時期あったなあ。
そしてそこには間違いなくあの痛さがあったなあ。
さらば、全てのエヴァンゲリオン
本当に本当に本当にそういう映画だった。
お前と妻の間には、絶対的な距離がある。
それは息子との距離だ。
お前はお腹を痛めてない。そうだろ?
その通りだ。
そして、そこがスタートだ。
俺と息子との現実はそこからだ。
終わりじゃない。スタートだ。
俺はフィクションとは違う。
そう思えるのはヤツがいるからだ。
俺たちが25年付き合った、作り話だ。
油断すると本気で殴ってくる。いいヤツだった。
大好きだった。
制作に関わった全ての皆様。
本当にありがとうございました。
※これは息子のいるアラフィフ男の感想でありますが、
子供がいないと感動できないとかそういう浅はかな映画じゃありません。
そんな迂闊な映画あの人が撮るわけないじゃないですか。
コメント
コメント一覧 (27)
ク ズなった父さんです
四半世紀すぎて(!?)いまだに結婚もせず子供も居ない身としてはソコはクリーンヒット受けずに済んだ訳ですが、井上さんの感想であの場面が理解できたような気がしています。
ありがとう。
自分は今回の劇場版で考えさせられたのは「『大人になる』って何?」ということでしたね~。
で、ひるがえって「自分は本当に大人?」とダメージを受けたり(笑
でも長年の呪縛から解き放たれたような清々しさは他に換えがたい作品でした。
見に行って良かった!
ありがとう
他の映画なら面白かった、などの感想などが頭に浮かぶのですがシンエヴァはひたすら頭の中がスッキリした感覚でいっぱいでした
呪縛から解き放たれた、と言うコメントを何処かで見かけましたが(その通りだな)と思いました
25年経って同じ作品に向き合い、私達が変わることで受け止め方が変わったんだなぁ、としみじみ思います
後ケンスケはもげていいと思います
映画観てきました。
伝えたい事は旧劇場版と同じ、ドギツイ表現方法が影を潜めたのは精神的に良かった。
ただ驚いたのが、相田ケンスケの活躍ぶり。
以前井上さんも「ケンスケは『不思議の海のナディア』のジャン少年のアンチテーゼ」と庵野監督から嫌われていると指摘していましたよね?
今まで不憫なキャラクターでしたが、こうも扱いが変わるとは・・・・
まるで富野監督による「新訳Z」の様な今回の映画。
まさにエヴァの集大成、大変楽しませて頂きました。
未だにオタクから脱け出せないオッサン(笑)より
「大人になって、現実を見て、実直に生きろ」というメッセージを感じると同時に、
「『ヱヴァ』という作品を創ってしまって申し訳ない」という贖罪の様な作品でもある。
あの当時の若者だった人たちに対する謝罪のような気持が汲まれていたのではないかと思っています。
かつてガチヲタだった俺たちが望んでいた結末を全て具現化する事は出来なかったけど、25年を経た今はこれで満足だよありがとう。庵野監督、あんたも苦しかったんだな。そして「シン・ウルトラマン」楽しみにしてるよ。
シンを観てから様々な考察もみましたが、自身に深く刺さる文章でした。
と言うか映画を観て我慢していたはずの涙がこの文章をみたことで溢れてしまいました。
ただそれだけの話ですがどうしてもお伝えしたくて初めてコメントしました。
ジンサンの文章に対する私の感動が伝わればと考え初めて書きました。
これまでのマンガも楽しく拝見させていただいています。
不躾ながら同じ父として生きていくことを願っています!
嫁日記が初めて単行本になった頃からの読者です。
本日、観てきました。
そういう受け取り方はしてませんでしたが、そう言われてみればなるほどでしたw
いやぁ、でもほんとに
「ありがとう。さようなら。」
です(;ω;)
>思い出した。お前そういうヤツだったよな。
これな、ホントに。
当時のTV版からそうだったよなお前、変わってないよ、強いよ。
よく貫き通したよ。つらかっただろうによく頑張ったよ。
ただただ、ありがとうだよ。
さようなら、そしておめでとう!
しっかし自分の子供が出来るまでシリーズ続くなんて凄いですなあ
いやまぁ、パンフだけでは大して筋は把握できないんですが。
でも、見たいようなビジュアルが並んでるとね…
ストーリーとしては納得も出来たし、終わったんだなぁという感じでしたね。
そして、36歳の私でも正に現実を突きつけられた気分でした。
自分みたいな凡人は「なんだこれーwマジメに作れー!」って思っちゃいましたw
物事や人間関係の成熟していく描写は庵の監督は本当に下手だなって
物語としては救いのあるAir/まごころを君に、ですかね。
今ハマってる面白いアニメや漫画のレビューでも良いんやで!
映画館にいく前日、ついに終わってしまうと思うと緊張と興奮で一睡もできなかったくらいですw
書きたいことは沢山ありますがまとめられそうにないのでこれだけ・・・
「ありがとう、さよなら」
しばらくこの喪失感は消えそうにありません。
同感です。
父ちゃんは無意識にATフィールドを出しちゃいます。
口惜しいのは宇部在住なので終盤は動揺して一観客でいられなかったことです。
リアルタイムからずっと見守り続けていました。
とても素敵な文章、ありがとうございます。
新作が出る度に「何が出て来ても受け取ろう」と、心の準備が必要でした。
大好きだけど、腹決めて観ないといけない‥不思議な存在です。
次の休みに絶対に行く予定ですが、背中を押して頂いたような気持ちになりました。
全く関係ないですが、先日一番クジで2回目に綾波フィギュアが当たりました。
宝物です♪