3年半ニートになって作家を目指した人のブログがネットで話題になっていました。
スルーしようかと思ったけど、なんでもGA文庫大賞の最終選考まで残って落選したそうで。
まあ、僕もGAで拾われたのでちょっとだけ思うところを書いてみます。

その人のブログ「本を読んだ気になるブログ」はこちら

まあ、僕より頭よさそうですね。
榊一郎先生や森田季節先生タイプの、理詰めで作品を作れるタイプかなと思いました。
そして最終まで残ったのなら、あと一年頑張ればデビューできただろうになー、と思いました。
もったいない。作品も面白そう。


気になった点は、キャラ作りとリサーチの点。
魅力的なキャラクターを作るうえでは彼の人の言うのに加えて、共感と憧れが必要です。
それは目的と動機から来る。
この作品を通して○○を成し遂げるんだ! という主人公の目的が冒頭で示されないと読者は物語に入っていけません。物語の方向性を指し示すというか。

でも目的だけではだめで、目的を補佐する動機も必要です。
例えば主人公はお金が欲しいとします。お金はみんな欲しいです。だから共感は得られます。
でも、なぜ金が欲しいのか? と問いかけた場合に、お金があればリッチに暮らせるから、では動機として弱いです。

お金が欲しいが口癖で、常にワリカンを要求し、自販機の下を漁る、ケチ臭い主人公。
でも実は、病気の妹の治療費のため多額のお金が必要だった、となると動機は十分です。
そして妹の容体が急変したために急きょ大金が必要になり、大金を得られる何かの大会に命がけで挑戦していく……みたいな展開。
ケチ臭い嫌な奴と思っていたら、実は家族思いのいい奴だった、となりますので。

学校一の不良で嫌われ者の奴が雨の日に子犬を助けていた、キャッ素敵っ! の理論です。
応援したくなるし、共感や憧れを抱きやすいキャラになります。


あとこの人、GAに帆船による海戦ものを送ったらしいのですが。
「のうりん」「竜王のお仕事」を書いて今や時の人となった白鳥士郎先生が「蒼海ガールズ」という帆船による海戦ものを書いてるんですよね。
三巻完結なので、おそらく魔王子グレイ並みに売れなかったのではないかなと思いますが。
でも僕も読みましたが、難しい内容をすごく軽くしてハーレム要素も無理なく入れて、ラノベに仕上げてました。素晴らしい作品です。

つまり、白鳥先生が書いても売れなかったのだから、GAとしては受賞させてもどう売っていいのかわからない。
最終選考は、担当さんがこれは売れる!と立候補して担当するはずなので。
すでに帆船海戦ものは売れなかったという実績がある以上、担当さんたちは二の足を踏んだのではなかろうかと思います。
僕なら違うレーベルに出しました。
そういう意味で、リサーチ不足かなとは思いました。
(魔王子グレイはハンドレッド、ワルブレ、劣等生、をパクって参考にして書いたので、GAでもそれなりの評価を受けられるんじゃないかなと、打算的に考えてました)



まあ、でも。もったいない。
この人は仕事しながら三か月で一作書けるようになれば、デビューできるのではないかなと思います。
僕も長い時間かかって受賞したタイプなので、あとちょっとの人を見るともどかしい気になります。
仕事の合間に頑張ってほしいものです。(ちなみに僕は、2~3週間で1作書けます)

ていうか、なんだか偉そうに言ってすみません。
僕も次回作を早く出せるよう、頑張ります。

終わり。

蒼海ガールズ! (GA文庫)