このページでは、PC版「Wizardry」及び、その移植であるFC版・SFC版・GBC版について扱います。判定はいずれも「良作」です。
【うぃざーどりぃ】
| ジャンル | RPG | 画像はWindows版 |
| 対応機種 | Apple II、IBM-PC、国産パソコン、Windows他多数 | |
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開発元 原語版発売元 |
Sir-Tech | |
| 日本版発売元 | アスキー他 | |
| 発売日 | 1981年9月 | |
| 判定 | 良作 | |
| Wizardryシリーズ | ||
『ウルティマ』『ローグ』と並び、黎明期のコンピューターRPGの傑作と言える作品の一つ。
かつては『ウルティマ』や、後に発売された『マイトアンドマジック』とともに、「世界3大RPG」と称された。
1作目である本作は「Proving Grounds of the Mad Overlord(定訳としては「狂王の試練場」)」という副題が付けられている。
プレイヤーが作ったキャラクター達で、3D視点のダンジョンを探索する。ストーリー上の目標は設定されているものの、それを達成した後もひたすらレベルアップとアイテム収集(*1)を楽しめるRPG。一般販売されたCPRGとしては最初期の作品ではあるがシステムの完成度は高く、キャラメイクや個有名を持つ魔法体系など、すでに導入されている。
アスキーが国内PC向けに販売開始したのが1985年。オリジナルのApple II版から実に5年近い月日が経っての移植である。このことから当時どれほどの人気があったかが窺い知れる。
原作は英語であるが、本項目では各種の用語について日本でも馴染みの深い表記を主に使用して解説する。
圧倒的な武力をもって周辺諸国を統一し、「狂王(the Mad Overlord)」と称されたトレボー。 その強さの裏には、彼の持つ「魔除け」の存在があった。 しかし、ワードナという魔法使いがトレボーから魔除けを盗み出し、さらにトレボーの居城近くに一夜にして地下迷宮を建造。そこに立てこもって魔除けの研究をし始めた。 トレボーは激怒し軍隊を差し向けたが、迷宮のトラップとワードナが召喚した魔物によって軍隊は壊滅。 ワードナを倒さねば腹の虫がおさまらないが、これ以上自軍の精鋭を失うわけにもいかない。 そんなトレボーの前に臣下が一つの提案を出した。 「『ワードナを倒し、奴の持つ魔除けを取り戻した者には、莫大な恩賞金を与えるとともに近衛兵への登用を認める』と街にお触れを出してはいかがでしょう?」 魔除けを取り戻しつつ、さらに優秀な人材の登用も見込める一石二鳥のこの案にトレボーは賛成し、さっそく街にはお触れが出されることとなった。 こうしてトレボーの命の元、街に集まった冒険者達はワードナの潜む大迷宮へと向かうのだった。
キャラクターメイキング、ターン制戦闘、職業とクラスチェンジ……今でも多くのRPGで採用されるシステムは、本作で既に基礎が出来上がっている。ただし、それらはゼロから作られたものではない。
そして例にもれず、当然『Wizardry』も
| + | 職業解説 |
| + | その他の設定ミス疑惑。長くなるので格納 |
コンピューターRPGの基本的なフォーマットを作り上げ、発展させた作品。
現代から見ると非常にシンプルであるが、当時は6色のカラーで描かれたモンスター、擬似主観視点、アニメーションするタイトル画面と、当時の技術で可能な限りのビジュアルを詰め込んだ革新的なタイトルでもあった。
「人生を変えたレベル」のゲームとして語られることも、決して珍しくない。それだけ、当時としては突出したものを内包した良作であったと言えるだろう。
上記、シナリオ1『Proving Grounds of the Mad Overlord』の移植。
若干の調整及び変更(B6~B8の全面改装、ゲームバランスの調整)が行われているが、全体の雰囲気は損なわれていない。ただし、これらの変更を「オリジナルに忠実ではない」とするオールドファンも存在した。
移植に際してアレンジした事は多少の賛否は分かれるものの良質な移植作といえる。
新たなバグも存在するが、全体的なクオリティは高かったため、バグの多さを考慮してなお高く評価したプレイヤーは多い。
ちなみにメーカーは「13歳以上の方に特にオススメします」としていた(*41)。
| ジャンル | RPG |
| 対応機種 | スーパーファミコン(書き換え専用) |
| 発売元 | メディアファクトリー |
| 開発元 | ゲームスタジオ(監修)、Gung-Ho! |
| 発売日 | 1999年6月1日 |
| 定価 | 3,000円 |
| 判定 | 良作 |
FC版#1~3の移植。
ゲームスタジオは監修に回り、プログラミング作業はGung-Ho!(*42)が担当している。また、この作品のみ発売元がアスキーではなくメディアファクトリーとなっている。
FC版#1~3の移植。
こちらはそれぞれ単独発売で、Gung-Ho!がプログラミング作業を担当しつつも、アレンジ要素やバランス調整をゲームスタジオ、Gung-Ho!、ローカスの3社で分担した。(*44)
「いろんなバージョンが出回っているからもういいだろう」と判断したのか、大幅なアレンジが施されている。三作全てにおいて新アイテム、新モンスター、新規フロアが追加され、ゲームシステム上の変更点も多数。基本システムはSFC版に近いが、もはや別物といえる程のアレンジっぷりである。とはいえ、16*16になってもマップの基本形状やイベント箇所とその内容はほぼ同じ、追加要素も旧来のバランスを壊していない等、決して悪くはないアレンジである。
全体的なUIはSFC版に近く、ボタン数が少ないにも関わらずプレイ感覚はかなり快適。
その後、本家のタイトルは、米Sir-Tech社の倒産などにより8作目で終了。
生みの親であるSir-Tech社はナンバリングタイトルを8作品出した。それらはアスキーやローカスなどによる移植作業が行われ、中でもFC版#1は原作者をして「これは今までで一番良くできたウィザードリィだ」とのお墨付きをもらうほどのクオリティであった。しかしFC版発売当初は「オリジナルを尊重していない」などといった批判的な意見もあった。
*1 当時の見解ではアイテム収集は日本独自の遊びという見方があり、国外ではさほど重要ではないらしい。海外との文化の違いを表しているともとれる。
*2 ウィザードリィも初期はマルチプレイヤーも想定しており、キャラにパスワードで鍵をかけて本人がいないときに勝手にキャラを使えなくしたりもできた。
*3 PLATO移植版のファイル名『m199h』の名でも知られる。
*4 1976年製のタクティカルコンバットRPG『think15』の改変版『sorcery』とは別物
*7 正十面体と言うのは存在しないので、これだけは疑似正十面体を使用している(実は見やすさのために疑似正十面体でさえないのだが)。
*8 レベルが上がるとサイコロの目にボーナスがつくので、20以上の数字を要求されても高レベルなら問題はない。また特例として、サイコロの目が20だった場合は無条件で命中する。
*9 なお2000年以降のD&Dでは計算式が変わったので(二十面サイコロで相手のAC(初期値は同じく10)以上を出せば命中)、防具を着けるとACが上昇するようになった。
*10 ゲーム内ではノーヒントだが『AD&D』プレイヤーにとっては基礎知識であるようだ。
*12 同じく『D&D』の影響が顕著な初代『FF』も類似のシステムであり、また同時代の『Ultima』は「購入した個数が使用回数」であったなど、むしろ現代で言うところの「MP」が後発の概念であった
*17 解除の前に罠の種類を正しく識別しておかないと、必ず解除失敗してしまう
*18 やり込みの域の高LVになれば、盗賊・忍者以外でも宝箱の罠を確実に解除できるようにはなる。
*19 プレイヤー側にはアンデッドはいない。むしろバンパイアロード自身がこの魔法の格好の標的である。
*20 ブレスの属性がモンスターによって異なるため万能な対策ではない。
*21 少なくともFC版においては、他にレベル、職業、種族も影響するらしい。
*23 HPについては各キャラクターの職業とバイタリティをもとに修正が入る。ただしよほど極端に高いか低いかでない限り修正はない。
*25 高レベルの魔法を使える状態であれば、レベルダウンと引き替えに確実な復活も可能。だがこちらもこちらで別の意味で運ゲーの要素があるのだが・・・
*26 故にシナリオ5で追加された「ツザリク(TZALIK)」が不評だったとか(この魔法のせいで、「TI」までタイプする必要が出来たため)。
*27 +表記はTRPGにおいて「魔法が付与された武器」という扱い。+3は伝説の武器LVの強さ。
*28 悪は性格維持の為に、友好的なモンスターに対しても襲いかかる必要があり戦闘回避の機会が少なくなるので、そのバランス調整のためとする説もある。
*31 実はエレベーターから数歩の距離で行ける。その場所は普通の部屋にしか見えないためいつも脇を通るか一見しただけで踏まなかったのだろうが
*32 システム流用元である『AD&D』と比べると、プレイヤーがとれる対抗手段が極めて限られている
*33 最も♯2においてこの情報を知るためには10万ゴールドもの大金が必要だが…
*34 「CREEPING COIN?(這いまわる硬貨?)」という名前もボーナスキャラっぽい
*36 そもそもD&Dの「性格:正義」な僧侶は「逆呪文は邪悪な呪文」だとして嫌っている。
*37 ぶっちゃけD&Dでも「魔術師のLV2呪文は使い方が難しい」等の話がある。
*38 内訳は「#1」「#2」「#3(2種)」「外伝1」「外伝2(2種)」「村正獲得(GBC3作)」。
*39 「Arch」の読みは「アーチ」の方がネイティブの発音には近い。ただし、日本語の片仮名表記にする時は「アーク」の方が一般的で、多くの作品で用いられている。
*40 「みをまもる」効果によるAC-2効果だけが正常に機能している。だからといって「みをまもる」を選べば正常処理になるわけではない。
*42 読みは「ガンホー」。『ラグナロクオンライン』等で知られるガンホーとは別会社で、現在は閉鎖している。
*44 ゲームスタジオが#1を、Gung-Ho!が#2を、ローカスが#3を担当。
*45 後者については、同時期にGBCに移植された『ドラゴンクエスト』シリーズ等と比較しても明らかに過剰なので、単なる表現規制だけではない意図があったと思われるが真意は不明。
*46 本来は75%の確率で各特性値の変動判定が行われるのだが、設定ミスで確率が反転して25%の確率でしか変動判定が発生しない。
*47 #3の追加アイテムのデストラクションブレード、しっこくのよろい、しっこくのこて、しっこくのマントは主人公ガッツのドラゴンころしと風貌を意識したものと思われる。
*48 #1、#3に登場するフェーリスがゴッド・ハンドのスランに類似している。表現規制で肌は露出していないが髪の形やシルエットはほぼ一致。
*50 携帯電話と接続して、追加コンテンツをダウンロードするシステム。
*53 アメリカのフードプロセッサーで有名なクイジナート社の綴りをもじったもの
*54 例えば、「ドルアーガの塔」では武器の候補に「メイジマッシャー(シナリオ#1に登場する、「魔術師殺し」の短剣)」があったりした。