じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日に続いて、水星の写真。この日は、南東の空に薄い雲がかかっており、双眼鏡で覗いた時には水星の下にもっと明るい木星が輝いていたが、写真を撮ろうとした時は木星は雲に隠れてしまい、水星だけしか見えなくなっていた。水星と木星は3月5日の15時46分に0°20′まで接近するが、3月5日と6日は雨または曇りの予報が出ており、残念ながら観察できそうにない。

2021年3月4日(木)



【連載】サイエンスZERO「“羽毛のある類人猿” カラス 驚異の知力に迫る」その1

 NHKの「サイエンスZERO」を録画再生でほぼ毎回視聴しているが、3月6日の11時~11時半に、

●「“羽毛のある類人猿” カラス 驚異の知力に迫る」

というタイトルのアンコール放送が行われるようである。私の録画記録では、この放送は2020年10月25日に放送されており【これもアンコール放送であったようだ】、なかなか興味深い内容であったが、まだ感想を書いていなかった。

 都市空間では烏はもっぱら悪者にされており、岡大構内でも、自転車の買い物かごに食べ物の入ったレジ袋を置いておくと、数分も経たないうちに袋ごとカラスに奪われることがある。しかし、それだけ賢い動物であることは間違いない。

 まず、番組冒頭では、
  • 公園の水飲みの蛇口をくちばしで開けて水を呑んだり行水をする。
  • ボールを転がして遊ぶことがある。
  • 自分で道具をつくり出すことがある。
  • 他の鳥に比べると桁違いに発達した脳を持っている。
  • 道路にクルミを置いて車に割らせる。
といった特徴が紹介された。なお、日本で生息するカラスは主に2種類であり、このうちハシブトガラスは都市部、ハシボソガラスは田園などに住んでいる。世界では40種類以上にのぼるという。

 つづいて番組では、カラス研究の権威、杉田昭栄先生が登場され、いくつかの行動実験が紹介された。
  1. 覆いをかぶせた2個の小さな容器がある。覆いにはAまたはBの顔写真がプリントされている。そのうちのAの容器には餌を入れておくと、カラスは、そのうちAで覆われた容器のみをつつくようになる。
  2. 覆いをかぶせた2個の小さな容器がある。覆いには、同じ形の模様がいくつかプリントされている。模様の数が多いほうの容器に餌をいれておくと、カラスは、数の多いほうの容器をつつくようになる。
  3. 覆いをかぶせた2個の小さな容器がある。覆いにはカワラバトとキジバトの写真がプリントされている。カワラバトの写真で覆われた容器に餌を入れておくと、カラスはカワラバトの写真のほうを選ぶようになるばかりでなく、カワラバトの写真がモザイク状に切断されバラバラに配置されていてもそちらを選ぶようになる。
 杉田昭栄先生の研究は、動物心理学会のシンポや、2015年発行の『心理学ワールド』でも紹介されており、上記の御研究の概要は、こちらに記されている。動物行動の研究者ばかりでなく、心理学研究者のあいだでも注目されているようだ。

 もっとも、カラスを研究対象にしている心理学者はそれほど多くないように思われる。ネットでざっと検索したところ、
  1. 「車を利用してクルミを割らせる」行動
  2. 鳥類の共感性進化の生態因としての一夫一妻システム―カラスのつがいにおける協力関係の維持と形成―【心理学評論。コメント論文もあり。】
  3. カラスが人間の子どもと同じ自制心を持つことが「マシュマロ実験」で示される【原典は、こちら
などがヒットした。このうち3.については、今回の番組でも紹介されていた。

 次回に続く。