現実:制度『 皇帝の居ない帝国 』
最も大抵の作品では、帝国には悪の皇帝が付き物ですが。
★帝国とはなんぞや:
Q:大英帝国には皇帝がいないのに、なぜ帝国と呼ばれたのか?
A:別に皇帝がいる国を帝国と呼ぶ訳でもないから。
帝国とは、複数のより小さな国や民族などを含めた広大な領域を統治する国家なら何でもよく、語句に「帝」という字が入りますが、帝政とは限らなく王制・寡頭制・共和制などの場合も帝国はありうる。
一般的には、ある国家が権威を背景とし国境外の人々に対して支配権を及ぼそうとする膨張主義的政策を言う19世紀後半から使われた用語で、帝国主義の国こそが帝国なのである。
▼帝国主義とは:
帝国主義の歴史的現象としては紀元前の古代において、シュメール/バビロニアの帝国・エジプト王朝・アレクサンドロス大王のヘレニズム国家・ローマ帝国・古代中国の帝国、後の中東はイスラム帝国、中央アジアは匈奴・突厥・モンゴル帝国などの騎馬民族国家などの『世界征服者』達にも、その傾向がみられる。
また15~18世紀の西欧諸国による南北アメリカ・インド・アジア・オーストラリア・アフリカでの『領土獲得』(大航海時代から20世紀後半にかけて、特に19世紀後半から激化し強国が盛んに植民地を獲得し、たがいに覇を競っていた)や、国境外の領域を植民地として獲得し支配する政策活動とそれを正当化して推し進める思考『植民地政策』は『帝国主義的』な支配とされている。
しかし理論的には古代から現代にいたるまで多くの学説があり、一致した見解はない。
最も、帝国主義(imperialism)という用語が使われたのは19世紀後半以降だが。
●「帝国」の語源:
「帝国」の語源をたどれば皇帝が居ない帝国は普通にあるとわかる。
例えば、ナポレオン・ボナパルトが1804年に国民投票によってフランス皇帝となるまで、長きにわたって(エジプト・メソポタミア・ペルシャとは違い歴史の浅い)ヨーロッパにおける皇帝の称号は(若干の例外を除いて基本的に)「ローマ皇帝の後継者」としての称号であった。
つまりヨーロッパ諸国で皇帝を意味する単語とは、本来ローマ帝国の支配者の称号が起源なのである。
その語源は「皇帝国家(インペリウム imperium)」から由来しており、元来「帝国主義」という語は、皇帝政治や帝国政治を意味するのだ。
古代ローマの「皇帝」と呼ぶが、あれは後世の当て字であら、当時の感覚としては「大将軍」のような指揮官を意味するに過ぎなかった。
▼帝国主義の変遷:
帝国主義ということばはきわめて多義的に用いられる。
広義かつ一般的には、その語源がローマ皇帝の支配する皇帝国家(インペリウムimperium)に由来することからも明らかなように、政治的、経済的、軍事的、さらには文化的な権力・権威をもってする他民族の領土や国家への侵略と支配、を意味する。
近代では19世紀初めナポレオンによる皇帝国家実現の企てに関連して用いられ、ついで1870年代後半イギリスの植民地帝国の拡大強化をめぐる論争のなかで、領土膨張主義ないし植民地主義をさす政治上の用語として普及した。
しかし、その後20世紀への転換期を挟んで帝国主義は、近代資本主義の自由競争段階から独占と金融資本が支配的となる独占段階への移行転化を背景に、列強資本主義諸国による世界市場支配と植民地獲得をめぐる経済上の対立と紛争に関連して用いられるのが一般的な傾向となった。
なお"imperialist"の意味は「帝国主義者」「皇帝支持者」「帝政主義者」などであり、"imperialism"は元は「帝位」とも訳されている。
たとえ近代の皇帝(ナポレオン三世)が統治するような近代的帝国であっても、帝政(Imperialism)であるという。
国家が「帝国」を国号として公式に使用する場合(大日本帝国など)、国号ではないが通称として使用する場合(共和制ローマなど)、歴史的または比喩的に「帝国」と他称される場合など(米帝=アメリカ帝国)も全部帝国である。