福島で被災し石川に避難した医師がいます。

 種市靖行さん。郡山市で開業医をしていましたが、原発事故で家族と共に金沢に移住しました。

 そんな種市さんは毎月、休みを利用して福島に戻っています。福島の子供に放射線の影響がないか調べる甲状腺がんを検査するためです。

種市医師:

「独立してやる医師がいないかと頼まれて探していたけど、ほとんどやってくれないので自分がやるしかない」

 1986年、旧ソ連で起きたチェルノブイリの原発事故。この事故で多くの子どもに甲状腺がんの発生が報告されました。

 そこで、福島県は事故当時18歳以下だったおよそ38万人の子供を対象に甲状腺の検査をしているのです。

 毎月のように福島に通った種市さん。これまでに検査した子供は1000人を超えます。

 福島県のこれまでの検査でガンの疑いがあるとされたのは252人。このうち、がんと確定したのは202人です。これは1万人に5人の割合です。

種市医師:

「元々は100万人に対して1人2人。多いということは確かです。手術をした結果、がんが浸潤しているとか肺に転移しているという症例がほとんど。手術をしないでよかったというものはほとんどない」

 しかし国と県はがんは原発事故の影響とは考えにくいとした中間報告をまとめました。さらに今、検査が過剰ではないかと言う議論も起きているのです。

細野豪志議員:

「本当は死ぬまで手術しなくていいかもしれないがんで、傷を負い薬を飲み続ける。保険も入れないというそのデメリット。私が親だったら検査させません」

 甲状腺がんの多くを占める乳頭がんは予後がよく、発見しなくてもよいガンを見つけているのではないかと言うのです。

 しかし、毎月福島で検査をしてきた種市医師は…。

種市医師:

「(過剰診断を)主張している先生が調べたら15歳以下の子供には潜在がんは見つからないと言っている。いくら調べても過剰診断はおこらない。10年しかたっていない段階で、がんが見つかったから過剰診断だといって臭い物に蓋をするのは問題だと感じている」

 福島第一原発の事故から10年。廃炉作業は困難を極めています。

 安心して故郷で暮らしたい…。その声にこたえるためにも種市さんはこれからも故郷で検査を続ける予定です。