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さかた えみ

さかた えみ

大学卒業後、生命保険業界に勤務。結婚退職し、二児の母となる。転勤を経験したことから「地方にいても働く方法」を模索し、ライターとして活動を始めた。現在は、ライター活動の他、広報やSNSの管理などもおこなっている。

2020年8月31日

エッセンシャルワーカーとは?社会に必要不可欠な仕事や職業を知ろう

新型コロナウイルス感染症の流行によって緊急事態宣言が発せられた後、さまざまな業種の店舗で時短営業や休業が広がり、一般企業でもテレワークや時差出勤などの対策が講じられました。そのなかでわたしたちの暮らしに欠かせない仕事に従事するエッセンシャルワーカーが話題になりました。今回は就活生にも注目されつつあるエッセンシャルワーカーについて紹介します。

エッセンシャルワーカーとは?

わたしたちの生活に欠かせないエッセンシャルワーカー

エッセンシャルワーカーとは、社会生活を営むうえで必要不可欠な仕事に従事している人たちのこと。治安維持をはじめ食料の生産や医療や物流などに携わる労働者のことをいいます。

世界中で 新型コロナウイルスの感染拡大防止策が取られるなか、エッセンシャルワーカーという言葉が広く使われるようになり「人々の暮らしを支えるために働く必要不可欠な人たち」として仕事の重要性が再認識されました。

エッセンシャルワーカーとは具体的にはどんな職業を指す?

医師・看護師もエッセンシャルワーカーのひとつ

わたしたちが食べ物を購入できるのは、農家や漁師、食品製造業が活動を続け、コンビニやスーパーが営業をしているおかげです。またネット通販やデリバリーを快適に利用できるのも、トラックの運転手と宅配スタッフがいるからです。

このほかにもエッセンシャルワーカーと呼ばれている職業には、以下のようなものが挙げられます。

  • 小売り・販売(スーパーマーケット店員・コンビニ店員・ドラッグストア店員)
  • 物流(交通局の職員・鉄道会社職員・トラックの運転手、バスの運転手・宅配スタッフ・倉庫内のスタッフ)
  • 医療福祉(医師・看護師・薬剤師・介護士など)
  • 行政(市役所や区役所の職員・ごみ収集業者)
  • 教育・保育(教師・保育士)
  • 保安(警察官・消防士)
  • 一次産業(農家・漁師・酪農家・畜産家)

なぜエッセンシャルワーカーが注目されているのか

ロックダウンにより食糧の輸入が停止する可能性もある

生活を維持するうえで重要な役割を担うエッセンシャルワーカーの存在は、今年に入ってから大きく注目されるようになりました。そのきっかけは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐために実施された、活動自粛要請やロックダウン(都市封鎖)です。

たとえ活動自粛要請やロックダウンをされても、人間が生活するためには食料はもちろんのこと電気・ガス・水道、通信などのインフラを維持する必要があります。また警察や消防、医療機関や介護施設、交通機関の業務も止めることはできません。

そのためこれらの仕事に従事する人たちは、ステイホームで多くの人々が自宅で巣ごもり生活を送っているときも、感染リスクがあるなかで職務を全うしました。

こうした活躍に対して感謝と敬意を届けるために、各国の大統領や首相が感謝のメッセージを送ることもありました。さらにメディアがエッセンシャルワーカーについて大きく報道することで、その存在に一気に注目が集まりました。

安倍晋三首相も2020年4月17日の記者会見で、電力や鉄道、ごみ収集などの仕事を挙げながらそれらの従事者に感謝の言葉を述べています。

今後、新型コロナウイルスの流行が収まったとしても、エッセンシャルワーカーの重要性が失われることはないでしょう。

コロナ禍で大きくなるエッセンシャルワーカーの存在感

ドラッグストアではマスクの品切れが起こった

世界各地がロックダウンとなり国境閉鎖された際に懸念されたのが、食料や物流の輸出規制です。実際に海外で生産されていたマスクが入手困難になったり、工業製品の部品調達が遅れたりと、さまざまな場面で混乱が起こりました。

その結果、食料自給率や生活必需品の国内製造に対する危機意識が高まり、一次産業や製造・物流業に従事するエッセンシャルワーカーの存在感が強くなったのです。

エッセンシャルワーカーの重要性は一過性のものではなく、今後も増すと考えられます。なぜなら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まった後も、すべて元通りの生活に戻るとは考えにくいからです。

今後も、「アフターコロナ」「ウィズコロナ」の新しい生活様式は継続するでしょう。新しい生活様式では、テレワークやローテーション勤務が推奨されます。自宅にいる時間が増えることで宅配スタッフの需要が高まったり、家庭ゴミの量が増えることでゴミ収集業者の負担が大きくなったりするためエッセンシャルワーカーの存在がますます重要になります。

エッセンシャルワーカーに対する国や企業の支援

エッセンシャルワーカーに感謝を表すライトアップ

エッセンシャルワーカーに対して、激励や感謝の言葉だけではなく具体的な支援も始まりました。ここからは国や企業別に行われている支援についてご紹介します。

エッセンシャルワーカーに対する国や全国自治体の支援[出典2]

厚生労働省は、現場の最前線で新型コロナウイルス感染症と闘っている医療従事者に対して最大20万円を給付する「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」を発表しました。

また、同省から介護サービスの従事者に対して最大20万円を慰労金として給付する事業も発表されています。

東京都では、医療関係者らに感謝や支援の気持ちを示すことを目的とした都庁舎やスカイツリーなどを青色にライトアップする取り組みも行いました。

エッセンシャルワーカーに対する企業の支援[出典3]

スーパーの従業員にも支援をおこなっている

国や全国自治体だけでなく、一般企業でも支援の輪が広がっています。

ホテル宿泊予約サイトを運営するCHILLNNは、感染リスクを自宅に持ち込むことに不安を抱くエッセンシャルワーカーを対象に、「ホテルシェルター」プロジェクトを展開しています。これは感染対策が行われているホテルに「1泊3000円(税別)~」の低価格で宿泊できるというものです。

ドラッグストアのトモズは、今年の4月に社員には一律2万円を、パートとアルバイトには1万円を支給しました。

スーパーのライフを運営するライフコーポレーションも同じく4月にパートやアルバイトを含めた全従業員約4万人に総額約3億円の特別手当を支給すると発表しました。

それまで当たり前として受け取っていたエッセンシャルワーカーの働きに感謝し、心身にかかる負担を少しでも軽減しようとさまざまな支援が行われています。

エッセンシャルワーカーの需要が急増

生活必需品が買えるのはスーパーで働く人たちのおかげ

エッセンシャルワーカーの仕事(エッセンシャルワーク)に対する需要の高まりは、就活市場にも影響を及ぼしています。実際にIndeed Japanの調査結果からは、緊急事態宣言が発令された4月にエッセンシャルワークの求人割合や仕事検索割合が大きく増加していることがうかがえます。

エッセンシャルワークのなかでもとくに求人割合が大きく増加したのが「介護」「看護」といった医療・福祉に関わる仕事です。5月には昨年比で「介護」が83.7%、「看護」が71.9%、「薬剤師」が49.5%増えています。

そのほか「ドラッグストア」「トラック運転手」の需要も高まっているようです。ドラッグストアは昨年比で4月には48.5%、5月には63.2%増えています。同じくトラック運転手も、昨年比で4月には14.8%、5月には28.9%増加しています。

仕事探しにおいては「スーパーマーケット」「コンビニ」「配達・デリバリー」に関する仕事検索割合が4月以降急増。昨年比で80%以上も増加しました。

新型コロナウイルス感染症の影響によりエッセンシャルワーカーに対する需要が増しているといえるでしょう。

まとめ:アフターコロナでも、エッセンシャルワーカーは重要な存在に

わたしたちの暮らしに欠かせない仕事に従事しているにもかかわらず、なかなか注目されてこなかったエッセンシャルワーカー。しかし、新型コロナウイルス感染症による影響がきっかけとなり、人々の認識が変わりました。

「アフターコロナ」「ウィズコロナ」の日本では、いままで意識してこなかった食料自給率をはじめ生活必需品の国内製造に対する関心と危機意識がより一層高まっていくでしょう。それはつまり、一次産業や製造・物流業に従事するエッセンシャルワーカーの存在感が今後も強くなっていくことにつながります。

事実、データが示す通りエッセンシャルワークの求人割合や仕事検索割合は、緊急事態宣言以降に増加しています。以前と比べて仕事の需要と供給は大きく変わってきているのです。

これからの就職活動においても、エッセンシャルワーカーは注目の職種といえるでしょう。

[出典1]新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました-厚生労働省
[出典2]「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」について-厚生労働省
[出典3]
「介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」について-厚生労働省
居場所を失った方やエッセンシャルワーカーへの支援を開始。継続的かつ今後に備えた感染防止対策への支援-PR TIMS
コロナ禍でも、社会生活維持のために欠かせない医療・小売・物流等に携わる「エッセンシャルワーカー」の仕事動向をIndeedが調査-PR TIMS

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