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世田谷一家殺人 警視庁が公表しない真犯人の正体 宮澤さん母「生きているうちに真相を…」【平成事件史】

森下香枝dot.
2000年大晦日、変わり果てた姿で発見された宮澤みきおさん一家(遺族提供)

2000年大晦日、変わり果てた姿で発見された宮澤みきおさん一家(遺族提供)

 東京都世田谷区上祖師谷で会社員、宮澤みきおさん(当時44)、妻の泰子さん(同41)、長女にいなちゃん(同8)、礼君(同6)が変わり果てた姿で2000年大晦日に発見されてから18年になる。

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 2018年12月30日午後、宮澤さん宅の最寄駅となる京王線・千歳烏山駅前(東京都世田谷区)で小柄な87歳の女性が事件の情報提供を呼びかけるチラシを配っていた。みきおさんの母親、節子さんだ――。しめ飾りなど正月の準備のため、買い物に来た親子連れに懸命に話しかけていた。

「私が生きているうちに犯人は逮捕される可能性は少しでも残されているんでしょうか……。そんなことを考えると、最近は眠れない時もあるんです」

 節子さんは少し前に会った時、こう漏らしていた。だが、この日は寒空の中、殺人事件の被害者遺族の会「宙の会」のメンバーらと約1時間、ビラ配りで歩き回り、「犯人は自首してほしい」と気丈に訴えた。

2018年12月30日午後、事件現場に近い千歳烏山駅でチラシを配る宮澤節子さん(撮影・森下香枝)

2018年12月30日午後、事件現場に近い千歳烏山駅でチラシを配る宮澤節子さん(撮影・森下香枝)



 事件解決を一緒に願い続けた夫の良行さん(享年84)は12年に亡くなった。良行さんは09年2月に結成した「殺人事件被害者遺族の会」(宙(そら)の会)の会長に就任し、世田谷事件も含め、一向に解決しない凶悪事件の時効撤廃を求める運動の先頭に立った。

 その運動は実を結び、10年4月の刑事訴訟法改正に伴い、殺人事件の時効が撤廃された。その喜びもつかの間、翌年10月には、みきおさん一家のすぐ隣に住み、事件の第一発見者となった泰子さんの母親(享年82)、良行さんも次の年に相次いで亡くなった。

 現在、捜査本部には約40人の専従捜査員がいるが、発生当時から担当していた警視庁捜査一課のベテラン捜査員は数年前にガンで死去し、ペアを組んだ捜査員もすでに定年退職した。

 最も長く捜査にかかわっていた節子さんら遺族ケアを担当する女性捜査員も14年に定年退職。雇用延長し、捜査に携わったが、18年3月に引退した。捜査一課で事件を指揮した元幹部は、口惜し気にこう語った。

「事件当初から捜査に携わっていた捜査員がほとんどおらず、捜査本部は完全に迷走している。犯人がもう一度、どこかで事件でも起こすなど偶発的なことがない限り、逮捕は無理だろう。もう迷宮入りだ」

 警視庁は18年5月、「事件当時15歳~20代のやせ形の男」という新たな犯人像を発表した。警視庁はこれまで犯人像を15歳~40歳前後としてきたが、ここまでなぜ、絞り込めたのか。



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