ニコ動でバズった
ハルヒダンス
ハルヒで外せないのは、アニメのエンディングで流れる主要キャラクターによるダンス、通称ハルヒダンスだ。アニメ放送終了から5カ月後の2006年12月にサービスが開始されたニコニコ動画では「ハルヒダンス踊ってみた」という動画が多数アップされ、07年4月には使用されている楽曲『ハレ晴レユカイ』をオリコンチャート1位にすべく、秋葉原の歩行者天国では大勢のコスプレイヤーによる同ダンスのフラッシュモブが撮影された。
「CG技術がない当時に、あれだけなめらかな動きの映像を非常にコストがかかる手書きで実現させたのは画期的でした。当時、ゲームソフト『サクラ大戦3』のオープニングアニメが同じようななめらかな映像で評価されていましたが、その映像はプロモーションなどで使うこともできる、いわば汎用性が利くもの。ハルヒのエンディングは原作にはない描写で、本編との脈絡もないものです」
その衝撃も黎明期のニコニコ動画でバズった要因だろう。映像を実現させたのは京アニの技術力だ。エンディングと同様、その技術力が発揮されたのが「神回」と評されるアニメ第12話「ライブアライブ」でのハルヒたちによるバンド演奏シーンだ。
「ドラム、ギター、ベース、それぞれの演奏描写やボーカルの口の動きも歌詞とシンクロし、それまでのアニメと一線を画す書き込みでした。深夜アニメの制作会社を“格下”とみるむきも当時少なくない中、京アニの技術力の高さを業界内外に見せつけた格好で、深夜アニメの地位向上にも間違いなく寄与しています」
常識を覆す手法を次々と行い、ビジネス的にも大ヒットを飛ばしたハルヒシリーズ。アニメに疎いビジネスマンでも、その軌跡から学ぶことは多いはずだ。