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cutting edge
国連再考 第6部 (05) ‐ 総裁
2003年12月21日
 世界銀行のジェームズ・ウォルフェンソン総裁は十二月一日夕、七十歳の誕生日をニューヨークのカーネギーホールで祝った。 豪勢といえばこれほど豪勢な誕生パーティーもまずない。 自分の誕生日だけのためのコンサートを天下のカーネギーホールで催したのである。

 ウォルフェンソン氏の多様な趣味の中にはチェロ演奏がある。 同氏は七十歳の祝いにカーネギーホールを借り切って、有名音楽家を含むオーケストラに演奏を依頼し、自分も加わり、チェロを奏でた。 モーツァルトやメンデルスゾーンの名曲が流れた。 会場には友人知人や家族親類が五百人以上、コフィ・アナン国連事務総長やテッド・ケネディ米国上院議員ら各界著名人の姿も目立った。

 同氏の誕生日祝賀コンサートは三日後、首都ワシントンでもまた盛大に開かれた。 場所は議会図書館内の由緒ある音楽ホールだった。 招待された客の中にはクリントン前大統領やヨルダンのアブドラ国王の姿もあった。 きらびやかな誕生の祝いだった。 白髪で大柄なウォルフェンソン氏はステージを下りたり上がったり、「このコンサートは自分への誕生日の粋なプレゼントだ」と、もらしていたという。

 「貧困なき世界」の標語の下に貧しい諸国を救うことを任務とする世銀では、総裁の豪華きわまる貴族趣味の誕生祝いが象徴するスタイルと、開発途上国の貧困や抑圧のイメージとのコントラストが奇妙な特徴となってきた。 この対照は世銀の若い職員でも援助を与える遠隔の国に出張する際の空の旅はファースト・クラスという実務の次元から、貧困救済を熱心に唱える一方で誕生日に超豪華コンサートを開くという幹部職員の私生活の次元にまで及ぶのである。

 ウォルフェンソン総裁は世銀グループを統括する。 世銀グループというのは国債復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)を合わせた世銀本体に加え、五六年に設立された国際金融公社(IFC)と八八年設立の多国間投資保証機関(MIGA)をも含む。 IBRDの総裁は自動的にIDAやIFCの総裁をも兼ねるのだ。

 IFCは世銀本体の援助の相手が開発途上国の政府など公的機関が主体なのに対し、途上国の民間分野を対象とする。 MIGAは途上国への投資の非商業的リスクに対する保証を提供して、その種の投資を促進する。 これら二機関は世銀の姉妹機関とも呼ばれ、世銀グループを構成する。

 世銀の加盟国はいま百八十四カ国、職員は約一万人を数える。

 世銀の総裁はこれまでずっと米国人である。 初代のユージン・メイヤー氏から数えて現在のウォルフェンソン氏は第九代の総裁となる。 任期は五年だが、再任も多く、三代目のユージン・ブラック氏と五代目のロバート・マクナマラ氏はいずれも十三年間、在任した。

 米国代表が総裁となるのは世銀が米国の主導で創設されたことだけでなく、現在に至るまでの世銀の運営面でも米国が最大の権限や影響力を有してきたからだ。 世銀で政策を決める際の表決制度は国連とは異なり、一国一票の一律平等ではなく、出資額に応じて投票権の規模が決まる「加重投票制」である。 だから出資の拠出金の最も多い米国がIBRDで全体票の17.0%、IDAで22.1%を保持することとなる。

 歴代の世銀総裁の中でもウォルフェンソン氏は単に世銀の枠を超えて話題になることが多い。 カーネギーホールでの誕生祝いコンサート一つとっても、派手な言動が目立つのだ。 世銀の運営の方法でも激しい賛否の論議を呼んできた。

 ウォルフェンソン氏はオーストラリア人ながら米国の金融界で頭角を現し、自分で小さな投資銀行をウォール街で設立して、大成功した。

 一九九〇年代前半、世銀の総裁への任命の話が出ると、彼はアメリカ国籍に切り替えた。 もともと米国では民主党リベラル派と親しく、クリントン大統領によって九五年に世銀総裁に任命された。

 ウォルフェンソン氏は世銀の機構を改革し、人事を刷新し、効率の向上を大胆な手法で図った。 カリスマ性があるともされる同氏は二〇〇〇年に再任され、五人の専務理事全員と、三十八人の副総裁のうち三十六人をそれぞれ自分で任命し、自身の下での機構を強化していった。 だが世銀の基本政策については同総裁はそのときの流行に影響される傾向が強すぎる、と内外から批判されるのだった。


古森義久氏 産経新聞2003年12月21日付朝刊記事

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