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cutting edge
国連再考 第6部 (03) ‐ 官僚主導の日本
2003年12月19日
 世界銀行とIMF(国際通貨基金)の政策や理念を根幹から揺さぶったのは米国の経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏の一連の見解発表だった。 なにしろ二〇〇一年頃まで世銀の上級副総裁と主任エコノミストを同時に務めた著名な経済学者が辞任したとたんに世銀とIMFのあり方を激しく批判し始めたのだ。 しかも同氏は批判を始めた年に情報経済学という新分野での業績でノーベル経済学賞を受けた。

 スティグリッツ氏は九三年三月、発足間もないクリントン政権の大統領経済諮問委員会の委員に任命され、九五年六月には同委員長となった。 この間、米国の経済政策の運営にあたる。 そして九七年には世銀へと移ったのだった。 同氏の世銀・IMF批判は昨年、米国で出版された「グローバリズムとその不満要因」(日本語訳は「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」)という著書でまとめて発表された。

 スティグリッツ氏の世銀・IMF批判は大略すると、以下のようになる。

 「世銀は貧困の救済を、IMFは世界経済の安定を、それぞれ使命とするが、九〇年代以来、いずれも開発途上国の経済開発に対しては、貿易の自由化、資本の自由化、国内の経済の自由化、民営化などグローバルな市場経済至上主義をとるようになった」

 「だが開発途上国にとっては貿易の自由化による市場開放は国際競争力のない産業分野に打撃を与え、雇用体系を破壊し、資本の自由化は銀行システムが機能していない途上国に大混乱を起こした」

 「一九九七年のアジア金融危機でもIMFは被害国の救済に『構造調整融資』として過激な改革と自由化の措置をとることを条件に融資を供したが、この自由化の押しつけも無理が多く、かえって被害国の経済を傷つける結果ともなった」

 要するに、自由経済を最高至上とする観点から途上国の開発にとってもグローバルな市場開放が最善策だとみなす世銀やIMFの思考は間違っていると批判するわけだ。 だからスティグリッツ氏はアジア的とされる縁故主義や不透明な企業統治も、全面否定はせず、それなりに効用がある、と説く。 日本の当時の大蔵省が唱えた「アジア通貨基金」の発想にも賛意を表する。

 となると、同氏の主張は日本にとっても、世銀やIMFに出向する日本官僚にとっても、共鳴しやすい素地が十分にあるということになる。 逆に日本側が同氏にその種の考えを一生懸命に訴え、説いたのだろう、とも思えてくる。

 ところが、である。
 スティグリッツ氏はこの書の冒頭の「謝辞」で執筆の上で世話になった人や教えを得た人の名をあげていく。 「これらの人たちの助けなしには、この本は書けなかった」という相手として、その名前をリストアップしていくのだ。 最初はビル・クリントン大統領とジム・ウォルフェンソン世銀総裁があげられ、そのほかに計百六十三人の学者、官僚、政治家、言論人らの名が数多く記されていた。 世銀やIMFにいま勤めるという人たちの名も多数あった。

 だがこの助けを借りた相手である各国の男女総計百六十五人のうち日本人はただの一人、しかも世銀やIMFとは直接、何の関係もないスタンフォード大学での同僚だった青木昌彦氏(現在は日本の経済産業研究所長)だけである。 スティグリッツ氏は結果として日本の立場を正当化するような主張をしながらも、日本側の関係者からは本題に関して何のインプットも得ていない、ということのようなのだ。

 こんな状況について世銀の日本人ベテラン正規職員は率直な診断を語った。

 「スティグリッツ氏が日本側の代表からは全く話を聞いていないということは、世銀やIMFの政策討議の場では日本代表が全く重視されていない、プレゼンスがない、ということだといえる。 日本代表はイコール財務官僚だから、やはり官僚主導の日本のアプローチは国際経済・金融機関の世界では、ほとんど認められていないわけだ。 他の主要国はみなトップには開発や金融に一家言を持つ学者や論客を送り込んでいる」

 日本のように財務省内での出世レースの先が見えた退官直前の官僚の変形天下りとか、国際的な開発や金融に経験のない若手官僚の研修人事によって世銀、IMFに接するとなると、政策論に加わる動機も能力も出ては来ない、ということなのだろう。


古森義久氏 産経新聞2003年12月19日付朝刊記事

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