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cutting edge
国連再考 第5部 (08) ‐ 日本人の専門職員
2003年12月03日
 国連への期待が高いのとは対照的に、国連での日本人の存在がきわめて希薄なことも、日本の国連観のアイロニーの一つであろう。 日本の国連への分担金の額と日本人国連職員の人数との極端な落差はこれまでもさんざん提起されてきた。

 私自身が国連本部を実際に初めて訪れた一九七〇年の時点では事務局の日本人の専門職員は三十六人だった。 補助的職務の一般職や短期の臨時職を除く職員の数だが、国ごとの分担金を主要基準とする「望ましい職員数」は日本の場合、当時は四十八人から六十七人とされていた。 つまり当然の割り当てとみられる職員数の62%ほどしか埋まっていなかったのだ。

 ところが以後の三十三年間、日本の国連への分担金の額がふくれあがるのに反比例して、日本人の職員の充足率は下がる一方である。 二〇〇二年は33%と、一九七〇年の半分ほどに落ちてしまったのだ。

 日本人専門職員の絶対数をみても、八〇年が八〇人、八五年が百二十一人、九九年が百六人、昨年が百十一人と、ほとんど増えていない。 国連事務局全体の職員数が二〇〇二年だと約二千五百人だから、日本人職員の比率は全体の4%ほど、分担金の約20%よりもはるかに低い。 しかも日本の場合、最も気にかかるのはその職員数が「望ましい職員数」からどんどん下へと落ちている点である。

 私が三十三年前にニューヨークの摩天楼で感じた日本人の国連職員男女の飛ぶような活動の輝きぶりはもはや日本の若者達にはアピールを失ってしまったのか。 日本人の国際機関への進出が少ない理由としては、かつては何となく国際性と呼ばれるような国際舞台での英語をはじめとする適応能力の不在や、日本の終身雇用パターンの硬直性があげられていた。

 国連の日本代表部で長年、政治担当公使などを務めた吉川元偉氏はその背景を説明する。

 「国連はかつて明石康氏が働き始めたとき、その給料は日本の閣僚よりも高かった。 今の日本の基準でもなお高いが、国連で通用する才能や技術を持つ日本人には給料でも職務内容でももっと魅力のある仕事が多く存在するようになった。 その一方、国連で通用する能力を持つ日本の若者は少ない。 中高年で能力がある人材は現在の所属組織が離さない」

 開発途上国の人材なら高給の魅力だけでも国連に引っ張れるが、日本の人材はそうはいかない、ということだろう。 それに日本の雇用スタイルも確かに中堅が組織を途中で自由に出入りできるほどには変わっていない。

 国連職員には正規の採用試験を経て入るキャリア職員の他に、各国が自国の政府機関からの官僚を二年とか三年の期限で送り込む政府出向組と、国連と加盟国との間の政治的関係に基づき国連内の一定ポストに選ばれる政治任命組とがある。 更に各国政府が費用を出して若者を二年間だけ試用で雇うという准専門職員制度というのもある。

 正規の専門職員は四年生大学卒業の学歴が最低要件とされるが、実際には日本以外の大学院修了資格がほぼ不可欠となる。 正規採用はまず公正とされるが、政府出向や政治任命で入ってくる官僚達にはムラがあり、国連勤務をほぼ一生のキャリアとする正規採用組と、ほんの二,三年の腰掛けできて、正規採用職員よりも上位に置かれる政府出向組との間には微妙な摩擦も起きるという。

 では国連職員にはどんな身の処し方が求められるのか。 明石氏は自書の中で理想の国際官僚の要件についていろいろ述べている。

 「国連の利益をはかるためだけに献身する国際的公僕の面と、母国の文化や体験で国連にプラスする民族的基盤の面とがともに要請される。 謙虚さとともにみずみずしい感性と柔軟な知性が要る」

 「民族感情を人類社会への帰属感と調和できる人には国際官僚の資格がある。 国際官僚は外務官僚が一国の利益を推進するのとは異なり、多次元な世界のすべての国の利害を理解し、全体の利益を推進せねばならない」

 根を失ってただようデラシネではなく、自己の帰属母体しか考えられないナショナリストでもなく、ということなのだろう。

 だが現実には 三十三年前に会った当時の国連管理局次長の多賀谷祥生氏は「本当の意味の国連人など火星人と同じで実際にはいやしない」ともらしたものだった。


古森義久氏 産経新聞2003年12月3日付朝刊記事

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