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cutting edge
国連再考 第4部 (11) ‐ 冷戦の終わり
2003年11月03日
 ポール・サーベンズ上院議員といえば、民主党リベラル派、国連に対しても前向きな政治家である。 同議員がこの十月下旬、ワシントンで国連について演説した。 ブッシュ政権を批判しながら国連へのより多くの協力を訴えたのだが、国連の過去の実績についてはさらりと以下の言葉を述べた。

 「東西冷戦の間は安全保障に関する実効的な機能を果たす事は不可能に近かった。 五十年もの米ソ対立が国連を無効にしてきたのだ」

 国連不信がなお根深い米国議会で国連重視のおそらく筆頭といえるサーベンズ議員でさえも、冷戦中の国連の不毛は明確に認めるのだ。

 政治理念が正面衝突する二つの超大国がグローバルな規模でせめぎあう冷戦では、本来なら小さな地域紛争や内戦が超大国の介入で大きな国際紛争となってしまう。 戦後の早い時期ではギリシャの内戦やインドネシアの独立闘争がその典型だった。 近年ではカンボジア、モザンビーク、アンゴラの紛争が同様だった。

 こうした紛争の国際化は必ず国連安保理での対決となる。 互いに拒否権を持つ米国とソ連が激突する。 そうなると、国連自体はもうなすすべがなかった。 国連総会で絶対多数を占める開発途上国も本来ならば米ソ両陣営のいずれにも属さないという国が多かったが、米ソ両国の側が働きかけるため、東西対立に巻き込まれることとなった。

 その一方、それら開発途上の第三世界諸国が七〇年代に唱えた「新国際経済秩序」は自壊していった。 第三世界諸国は八〇年代前半には計画経済に失敗するところが多く、世界的不況にも影響され、債務が累積し、先進国との経済相互依存を主体とする方向へと変わっていった。

 しかし国連本体の冷戦での機能の金縛りは変わらなかった。 一九八三年に当時のデクエヤル国連事務総長は自らが責任を持つ国連の機能について総会への報告書でずばりと記していた。

 「エンジンも車輪も回転しているが、車両は前に進んでいない」

 デクエヤル総長の指示で国連創設四十周年の八五年に国連合同監察団のモーリス・ベルトラン氏がまとめた内部批判の報告書はさらに辛辣だった。

 「現実主義の欠落と単なる口舌が国連の活動でも本質的な役割を果たすにいたった。 その結果、国連は各国国民の間での信頼を失っていった。 それでもなお気丈の理想主義の人工的な雰囲気は各国の政治指導者の一部を誤解させ、国連での活動が実効を生むかのように錯覚させてきた」

 四十周年の記念総会ではこの自己批判の書は公開されず、国連地下の倉庫に眠ったままだったのが、これまた象徴的だった。 国連本部のあるニューヨークでは特に米国市民の間で「国連は駐車違反の切符を何枚渡されても決して罰金を払わない外交官たちがひしめく無用の場所」という冷笑までが広まっていた。

 現実に国連と取り組む各国代表の間でも、国連の機能はもはやエイズの国際的な予防や拷問の国際的禁止というようなごく特定のテーマに限ったときだけ、実効を果たすという受け止め方が定着しかかっていた。

 こうした国連の無力はほぼ全て米国とソ連という両超大国の対立、つまり東西冷戦のため、だというのが普遍に近い見方だったわけである。

 だから一九九〇年にソ連のゴルバチョフ書記長が共産党の一党独裁の放棄を宣言し、九一年にはソ連邦自体が崩壊して東西冷戦が完全に終わると、国連への期待は全世界で膨れ上がった。 もはや国連安保理での超大国、両陣営の年来の衝突はないのである。 実際に九〇年から九一年にかけてのイラクのクウェート占領から始まった湾岸戦争での国連の足並みは前例のないほどスムーズな一致を見せた。

 冷戦の終わりにより、国連はやっと創設者たちの四十数年前の夢を実現できるようになった、という希望と興奮が全世界で高まったのだった。 国際社会では世界のどの地域ででも、ちょっとしたトラブルがあればすぐ、「とにかく国連に解決させよう」という言葉が口にされるようになった。

 しかし現実は決してバラ色ではなかった。 まず国連自体が長年の肥大と非効率で敏速に動けなかった。 九三年から米国の国連大使となるマドレーン・オルブライト氏は「国連の機構はすっかり肥大して体重を増した象が突然、体操競技をせよと命じられたような状態となった」と評していた。


古森義久氏 産経新聞2003年11月3日付朝刊記事

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