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cutting edge
国連再考 第4部 (10) ‐ 国連職員
2003年11月01日
 国連の事務総長の下で組織の実際の運営にあたるのが各国出身の国連職員である。 この職員たちは国連憲章で「いかなる政府からも、他の当局からも指示を受けてはならない」と規定され、各国政府が国連職員の「国際的な性質を尊重する」と保証されている。

 国連職員は外交官と同様に個々の言動では特権や免責を有する「国際公務員」とされる。 国連職員は同時に自国をも含めての特定の国家への忠誠ではなく、国際的忠誠を求められる。

 国連職員の総数は国連第一回総会が開かれた一九四六年には約千二百人だった。 だがその後は増え続け、国連本部とその傘下機関(国連開発計画など)の職員は約二万九千六百人、ユネスコや国際労働機関(ILO)などの国連専門機関では二万二千五百人と、合計五万二千人を超えるようになった。

 そのほかにコンサルタントなど臨時雇いが一万人ぐらいはいるという。 勤務地もニューヨーク、ジュネーブ、パリ、ウィーンなどを中心に全世界にわたる。

 国連職員には各国からの超優秀な人材も多いが、その一方、雇用に地域的なバランスを取り入れること、各国政府からの派遣職員を多数受け入れること、さらに個人の縁故が重視されること、などのためにムラも激しくなった。 エジプト外交担当副首相だったガリ国連総長が九二年に就任してすぐに「世界で最も非効率な官僚組織はエジプト外務省だと思ってきたが、もっと非効率な組織があった」と述べ、国連事務局の効率の低さを批判したほどである。

 しかし国連職員の待遇は恵まれている。 まず大学卒の学歴を要する専門職やそれ以上の管理職は世界最高の公務員給与を払う国の水準に合致した待遇を受けるという原則がある。 現在はそのモデル国家は米国とされる。 専門職以上はさらに世界のどこで勤務してもニューヨークの生活水準を維持できるだけの地域調整給が与えられる。

 また世界各地の国連関連機関に現地採用される一般事務職などにはその勤務地で最高水準の組織と同じ給与が支払われる、というのだ。 その結果、国連の通常予算の七割は職員の給与や経費に使われる。

 国連職員はさらに国連のための活動を国家その他の存在から阻まれないように特権や免責が事務総長から保証される事になっている。 国連のための活動を一定の国家から犯罪などとして非難されたのでは、やっていけないからだ。 ところがここでも特定国家の政府が国連職員のそうした免責などを平気で踏みにじろうとする事件が起きて、国連の弱さを改めて印象付けた。

 マレーシアの大手企業二社は九六年十二月、マレーシア国籍の法律家ダトパラム・クマラスワミ氏を名誉毀損で訴え、二千五百万ドルの損害賠償を求めた。 同氏の名前は日本語表記だと慰安婦問題で虚偽発言に基づく報告書を発表した国連人権委員会のスリランカ人のクマラスワミ女史と同じだが、無関係の別人である。

 クマラスワミ氏も国連人権委員会の特別報告者として各国の司法制度を調査し、自国マレーシアの判事らの腐敗の証拠を集めた。 その結果をイギリスの法律専門雑誌に「マレーシアの大企業は判事まで買収してしまう」と語り、企業の実名をあげた。 企業側はその記事を見て名誉毀損の訴訟を起こしたのだ。

 アナン国連事務総長はクマラスワミ氏が国連の活動をしていたのだからマレーシアの法律からは免責されると主張した。 だがマレーシアの法廷も政府もその主張を無視して、同氏を被告とする裁判手続きを進めた。 九九年四月に国際司法裁判所が国連の免責の主張を支持する裁定を下したものの、国連職員の免責はあっさりと無視されるところだった。

 九〇年二月には中国政府が中国籍の国連職員三人の解雇と帰国を求める訴訟を国連行政裁判所に対して起こした。 この三人は八四年九月に中国から国連に来て、職を得た。 中国政府の割り当て分の中国語記録担当官ポストで、中国政府の主張だと、三人と中国政府の間には任期は五年という明確な約束があった。 だがその五年が過ぎると、三人は国連勤務の継続を望み、国連側もそれをいれた。

 この事件では行政裁判所は中国政府の訴えを退け、三人に国連勤務継続を認めた。 この事件でも国連職員の特権や免責は特定国家、特に職員の本来、帰属する国家の意思によって簡単に揺らいでしまう危険が明示されたのだった。


古森義久氏 産経新聞2003年11月1日付朝刊記事

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