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cutting edge
国連再考 第4部 (04) ‐ シオニズム糾弾
2003年10月23日
 米国が国連への反発を強めていった一九七〇年代、その流れを決定的にした象徴的な出来事はイスラエル非難だった。

 一九七五年十一月、国連総会はシオニズムを人種差別主義だと断じる決議案を可決した。 その後、長く国連の変質にからめて語られる国連決議三三七九である。

 シオニズムとはユダヤ民族主義であり、より具体的にはパレスチナにユダヤ民族の郷土としての国家を築こうとする運動を意味していた。 その運動は十九世紀後半からヨーロッパのユダヤ人の間で始まり、一九八四年にはイスラエルが実際に建国されたから、その後のシオニズムという言葉はイスラエル自体を指すに等しかった。

 決議三三七九はシオニズムを植民地主義やアパルトヘイトと並べて「人種主義と人種差別の一種」と断じ、人間の尊厳や誠実に対する弾圧であるとともに、世界の平和と安全への脅威、さらには帝国主義のイデオロギーだと糾弾していた。

 この決議を最も熱をこめて共同提案したのは当然ながらイラク、サウジアラビア、アルジェリア、エジプト、レバノン、リビアなどイスラエルの宿敵のアラブ諸国が中心の計二十四カ国だった。 賛成票を投じたのはアラブ、イスラム系に加えて、ソ連や東欧の共産主義諸国、さらにアフリカ、アジアの非同盟諸国など合計七十二カ国である。

 一方、シオニズム糾弾に猛反対したのはまず米国であった。 そのほかイギリスやフランスを筆頭とするNATO(北大西洋条約機構)加盟諸国、中南米諸国なども反発し、同決議への公式反対は計三十五カ国、棄権は日本も含めて計三十二カ国だった。

 この決議の内容はどうみても過激だった。 民族解放や民族独立闘争の戦いはまず国連自身が積極的に認めてきた。 シオニズムも客観的に見れば民族解放の主義主張に入るだろう。 それに国連自身が一九四七年には総会でイスラエル建国を前提としたパレスチナ分割を認めていたのだ。

 そうした経緯を逆転させる七五年のシオニズム糾弾決議は新しい政治意図に満ちあふれていた。 真の標的はイスラエルと緊密な米国だったのだ。 その点の本音は同年十月の国連総会での同決議審議で演説したウガンダのイディ・アミン大統領の言葉でドラマチックに表明されていた。

 「米国はシオニストに植民地化されてしまった。 米国のシオニストたちは銀行、製造業、加工業、主なマスコミなどを事実上、全て所有し、CIA(米中央情報局)もシオニストの侵入により世界にとっての危険となった」

 「イスラエルが国連から追放され、国家としてのイスラエルが滅亡することを求める。 そうすればパレスチナの領土は保証され、保持される」

 アミン大統領はこの米国攻撃のスピーチの翌日、当時の国連の事務総長と総会議長とが主催した夕食会に主賓として招かれた。 ちなみにアミン大統領はウガンダ本国では政敵側の一般市民約三十万人を虐殺したとされる悪名高い暴君である。

 だがさらに重要なのはソ連の役割だった。 七五年のシオニスト糾弾決議を熱心に推進したソ連はその十年も前からユダヤ問題に関与して、「米国・イスラエル」の結び付きをあの手この手で攻撃していた。 六五年にはソ連はその二年前に国連総会が可決した「あらゆる形の人種差別廃止宣言」を修正する案を出した。

 その修正案はシオニズムを反ユダヤ主義、ナチズム、植民地主義、新ナチズムなどと並べて明記していた。 ナチスの犠牲になったユダヤ人たちがこの時点でついにそのナチスの思想と同等の「悪」とされたのだった。

 ソ連はこうしてイスラエルを激しく攻撃することでその背後に立つ米国にも切りつけて打撃を与え、アラブ諸国の支持を得ようとした。 同時にソ連は自国内でもユダヤ系住民の国外流出が続いており、ユダヤへの強圧的な態度は自国のユダヤ対策にも役立った。

 国連でイスラエルがこうして集中砲火を浴びたのと比べて対照的なのはパレスチナ解放機構(PLO)だった。 ヤセル・アラファト議長は七四年に総会で演説をして翌年はPLOが国連への事実上の加盟を認められた。

 決議三三七九に対し当時の米国のパトリック・モイニハン国連大使は「こんな恥ずべき表明を米国は認めず、守らず、黙認もしない」と怒りの宣言をしたのだった。


古森義久氏 産経新聞2003年10月23日付朝刊記事

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