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cutting edge
国連再考 第4部 (02) ‐ 米国の反発
2003年10月21日
 国連の創設を最も熱心に推進した米国が国連に最も激しく反発するようになった、というのも歴史の皮肉だろう。

 今回のイラク戦争にいたる過程で米国の広範な層が国連への不信や忌避を強め、国連無効論が勢いを増したことはこの連載の冒頭で報告したとおりである。 だが米国では国連に反対する底流はずっと以前からとうとうと流れていた。 過去にさかのぼれば、その反発が理としても情として、最も激しくなったのがおそらく一九八四年前後だといえよう。 そして当時の米国の対国連認識には今の米国の国連観と重なる部分も多いのだ。

 一九八四年といえばロナルド・レーガン大統領の時代だった。 この年の末に米国はユネスコ(国連教育科学文化機関)を脱退している。 ヘリテージ財団の「国連なき世界」という研究が公表されたのも八四年だった。 国連のない世界のあり方を正面から探るというのも過激に響くが、こうした国連否定のアプローチは当時の米国では決して一シンクタンクの発意だけではなかった。

 「いまのままの国連では保持することは出来ない。 もし国連が真実の潜在能力を発揮することを目指さないならば、果てしのない無意味な討論に息を詰まらせるか、あるいは各国の国内政治のかたわらのサイドショーと化してしまう。 国連が無意味になる危険はすぐそこに迫っている」

 米国議会共和党では穏健派で国際派ともされたナンシー・カッセバウム上院議員までがこんな主張をしていたのだ。 カッセバウム氏はいまの駐日米国大使のハワード・ベーカー氏の夫人である。

 一九八四年当時、カッセバウム議員は米国政府が国連に毎年、拠出する分担金の年間約十億ドルをその後の四年間で半額にまで削ってしまうという主旨の法案を上院に出していた。 しかも同法案は上院で賛成六十六、反対二十三で可決された。

 時のレーガン大統領が後に法案の主旨を骨抜きにしたため、拠出金半額は実現しなかったものの、当時の上院の圧倒的多数が超党派で国連への激しい不満を抱いていたことが明白だった。

 米国民一般の国連への支持も一貫して下がっていた。 各種の世論調査を見ると、一九五九年には米国民の87%が「国連はまあまあの仕事をしていると思う」と答えた。 それが七一年になると、「国連はまあまあの仕事をしていると思う」と答えた米国民が全体の35%という数字が出た。 同じ答えをした人は八〇年には30%に落ちた。 さらに八一年には「国連はきわめて効率良く機能している」と答えた人が全体のわずか10%にまで下がったというのだ。

 だから「国連なき世界」の模擬演習をするのも、研究報告をするのも、当時の米国全体の風潮あってこそであり、孤立した動きではなかった。

 カッセバウム上院議員は八四年にはジャック・ケンプ下院議員(共和党)らと共同で米国政府が国連に対し費用対効果の厳格な基準を適用することを求める声明を出していた。 米国からの資金は無益に使わないことの要求だった。 米国の国連の否定や批判はこの支出の額と絡み合うことが多いのである。

 八四年に米国が国連に拠出した約十億ドルは国連への全世界からの分担金のうち、約25%を占めていた。 一方、ソ連の拠出は全体の10.3%であり、しかもうち二億ドル近くが支払い延滞だった。 こうした不均衡はなにも米ソ両国間に限らず、先進国と開発途上国の間でも顕著となっていた。

 米国が一国で国連財政の四分の一を負担するのに対し、国連総会では八四年の時点ですでに「永遠の圧倒的多数派」となった開発途上国は合計百二十ヶ国総計しても、国連の財政負担は全体のわずか9%だった。 そのなかでもサウジアラビアは国家財政が豊富にもかかわらず、国連予算全体の0.91%を支出するに過ぎず、隣のクウェートの拠出は国連予算の0.28%に過ぎなかった。 米国から見ての露骨な不平等というわけだった。

 国連ではこの間、常に加盟国家の数が増えていた。 出発時点一九四五年に五十一ヶ国だったのが、五八年には八十二、六四年には百十五ヶ国へとなっていた。 八四年には百五十八ヶ国に達した。 この期間の新加入の国家は大多数、旧植民地であり、反西欧、反米の政治傾向があらわだった。 米国から見れば自国に敵対する国際機関への資金だけの提供と映ってきたのである。


古森義久氏 産経新聞2003年10月21日付朝刊記事

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