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cutting edge
国連再考 第3部 (02) ‐ 丸抱えの招致
2003年09月23日
 日本の官民がかつて国連大学を国内に開くことにどれほど熱意を示したか。 その熱意に国連の他の諸国がどれほど冷淡に対したか。 その記録をたどると、日本の国連にかける情念のようなひたむきさが改めて浮かび上がる。

 国連大学は一九六九年に当時ノウ・タント国連事務総長により構想が提示された。「多数の国からの教授陣と若い男女の学生からなる」という教育機関としての大学の構想だった。ところが国連の主体となる先進諸国はみな反対だった。

 それら諸国は膨張を続ける国連機関の新設にまた経費を負担させられることへの不満に加え、国連と大学の組合せを奇異としていた。国連は単に各国の政治の協議の場に過ぎないから、特定の国や社会が長年の文化や価値観の粋を集めて作る高等教育機関である大学を開くことには適さない、という思考だった。

 国連自体が政治的に動くことも多いから、その政治に大学を従属させたくない、という配慮もあったようだ。

 だが日本は熱狂的な対応を見せた。 時の佐藤栄作首相を先頭に与野党も外務省もマスコミも、国連大学の日本への招致を求めた。 日本が一途に「国連中心外交」を唱える時期だった。 国連大学構想は国連本体とユネスコ(国連教育科学文化機関)の共同のプロジェクトとなったものの、主要諸国はなお無視して、審議の対象とはならなかった。

 日本が施設や経費を提供すると申し出て、なお熱心に動き、やっと一九七三年に国連本会議は国連大学設置の決議案を審議し、可決した。だが米欧諸国もソ連をはじめとする東側諸国もみな棄権していた。国連大学の設立も運営も国連予算には全く頼らず、全て自発的拠出金でまかなうと日本が提案していたため、自分たちが資金を出さなくてよいなら、勝手に、という態度だった。

 国連大学が単なる研究機関に留まるという案にまとまったことも多くの国の反対を抑える結果となった。だが主要国はどこも賛成はしなかったのである。

 日本は東京都心の時価二十億ドル以上の一等地を国連大学用地として無償提供するとともに一億ドルを寄付して国連大学基金とし、運営の資金とすることを決めた。何からなにまで日本の丸抱えとなった。 だからこそ国連大学は七五年にオープンしたのだった。 外務省にあって国連局社会課長やチリ大使を歴任した色摩力男氏はこの辺の動きを酷評している。

 「『国連大学』とは名のみであり、事実上、日本が国連の名を借りて作ったわけの分からぬ学術機関となった。日本の横車に国際社会が根負けして設置を認めることになったのだ。 無用の長物として国際社会の軽侮の的となる筋の悪い発想を崇高な文化事業であるかのように錯覚したといえる。 当時、外務省事務当局には国際社会を見据えた真摯な反対論もあった」

 国連大学自体の案内プロフィールでは、誘致の理由の一つとして、当時の日本の大学が大学紛争などのために「伝統的な習慣や制度に過度に拘束され、社会の構造的変化に十分に対応できていなかったことが指摘される」と述べている。 日本の大学の体質改善のために国連大学を作るという趣旨らしいが、この主張も国連がそもそも何たるかを無視した主客転倒の議論としてひびく。

 発足以来二十八年の国連大学はいま、オランダ人のハンス・ファン・ヒンゲル学長の下に東京の本部以外に世界各地十二ヶ所に専門分野ごとの国連大学研究所をおいているが、現地の大学などとのタイアップが多い。常勤職員は二百十一人、年間予算は約三千八百万ドルとされる。

 この予算もほとんどが日本の事実上の負担となる。二〇〇一年度でみると、国連大学の歳入は日本が当初に提供した資金から一千五百万ドル、日本の政府や民間からの寄付による拠出金が約九百万ドルと、全体の7割近くを占めた。

 国連大学が国連や国際社会にとってどんな寄与を果たすかという疑問はともかく、これだけ日本からの恒常的な出費が多いとなると、日本にとってどんな利益をもたらすのか、という議論も当然なされるべきだろう。

 国連大学はしかも一九六〇年代から七〇年代にかけての日本が願った大学ではなく、単なる一研究機関となったのだから、費用対効果は改めて厳しく計算されるべきである。


古森義久氏 産経新聞2003年9月23日付朝刊記事

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