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cutting edge
国連再考 第2部 (8) ‐ 朝鮮戦争
2003年09月18日
 国連が本来、意図した機能を果たしたのはただの一回、単なる事故のような偶然からだった‐‐‐。

 東西冷戦時代を通じての国連の無力が論じられた際によく聞かれた指摘である。 このただ一回の例外が朝鮮戦争への国連の対応だとされるのだ。

 一九五〇年六月二十五日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の大部隊がなだれをうって、北緯三八度線を越え、大韓民国(韓国)領内への攻撃を開始した。

 朝鮮半島にはたまたま将来の統一を検討する「国連朝鮮委員会」という組織が出来ていた。 この組織がすぐトリグプ・リー国連事務総長に北朝鮮の侵攻による全面戦争が起きつつあることを報告した。 同時に二十五日のうちに国連安保理で米国の要請により「朝鮮での侵略行動による平和侵犯」を審議する緊急会議が開かれた。

 この会議でリー総長は「朝鮮半島の情勢は国際平和への重大な脅威であり、平和回復に必要な措置をとることは国連安保理の明白な責務だ」と言明した。 米国代表が「北朝鮮による韓国への武力行動の即時停止と北朝鮮軍の三八度線以北への撤退を求める」という決議案を提出した。決議案は安保理で反対もなく可決された。

 同決議は「すべての国連加盟国に対しこの決議の実行のためのあらゆる支援を供することを要請する」ともうたっていた。 この決議はそれ以前も以後も同様の紛争への対応が必ず両当事者への停戦呼びかけとなったのに比べて、北朝鮮の武力攻撃の責任だけを明確に非難した点でまったく異例だった。

 だが現地ではソ連製T34戦車を先頭とする七個師団もの北朝鮮軍が不意を突かれた韓国軍を撃破して、首都ソウルに襲いかかっていた。 国連朝鮮委員会は六月二十七日、「北朝鮮軍は国連安保理決議を守らず、韓国に対し周到に計画され、調整された全面侵略を実行している」と報告した。

 ちなみに朝鮮戦争が北朝鮮の全面攻撃で始まった経緯は国連がこう明確に報告していたにもかかわらず、その後、日本では左翼系の学者やマスコミは長年、「戦争は米韓側の挑発や侵略から始まった」という北朝鮮・中国側の主張をそのまま繰り返してきた。 今でも北朝鮮の攻撃を客観的な史実と認めず、「朝鮮戦争が勃発」(共同通信社刊『世界年鑑』)というふうに曖昧にする向きも多い

 国連安保理は同二十七日にまた会議を開き、加盟国が北朝鮮の侵略を阻むための武力行動をとるという決議を採択した。 米国提出の同決議は「国連加盟国は北朝鮮の攻撃を撃退し、国際平和と安全を回復するための必要な支援を韓国に与える」ことをはっきり求めていた。 反対したのはユーゴスラビア一国だった。

 この結果、初めて国連軍が北朝鮮と戦うこととなった。 米軍が主体となり、艦砲射撃や空爆を開始した。 海上封鎖も始まった。 在日米軍の二個師団が急派された。 イギリス、オーストラリア、ニュージーランドが部隊を投入した。 翌五一年には国連軍への参加は計十六ヶ国となった。 ただし国連軍の主体はあくまで米軍で、陸軍の五〇%、海軍の八六%、空軍の九三%をも占めていた。

 それでも国連としてのこの動きは画期的だった。「国連の歴史・一九四五‐五五年」の著者エバン・ルアード氏がその意義を強調する。

 「国連が攻撃を受けた国の防衛のために加盟諸国に国連としての軍事行動をとることを求めたのは初めてだった。 集団安全保障の原則が実施された古典的な実例だった」

 その意味では朝鮮戦争での国連軍は国連憲章第七章が規定する「平和の破壊」への国連自体としての軍事的措置に限りなく近かった。 この第七章こそ国連が究極目標とした集団安全保障の構想をうたっていた。 その後の国連の長い歴史でも、歴史でも、名目上にせよ、これほど集団安保の原則の実現に近づいた例はなかった。

 国連が当時、こうした行動をスムーズにとれた理由はただ一つ、ソ連が安保理に出ていないことだった。

 一九四九年十月に成立した中華人民共和国の周恩来首相は翌月、国連に中華民国の追放を求めた。ソ連がこの動きを全面的に支援して、安保理に中華民国追放案を出した。だが五〇年一月、六対三で否決された。その結果に抗議してソ連は以後の安保理の会議を一切、ボイコットしていたのだった。 そんな偶然こそが最初で最後の真の国連軍を生んだのである。


古森義久氏 産経新聞2003年9月18日付朝刊記事

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