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cutting edge
国連再考 第2部 (7) ‐ 芝居の舞台
2003年09月17日
 「国連は芝居の舞台として機能するようになった」

 国連合同監査団の監査官だったフランス人国際政治学者のモーリス・ベルトラン氏は一九四五年十月に発足してから数年後の国連についてこう総括した。 加盟各国は国連をただ相手への非難をぶちまける政治宣伝の場所とみなすようになった、という痛烈な批判だった。

 イギリスの国連代表団の高官だった国連の歴史研究家エバン・ルアード氏は白書「国連の歴史・一九四五ー五五年」のなかで新たに門出したばかりの国連に対し、さらに手厳しい診断を下していた。

 「一九四五年から五五年までの国連は失敗に終わった。 大多数の加盟国は国連を大国やその他の国が紛争を解決するための場所とはみなしていなかった。 国連はむしろ公然と論議し、反対側を公的に非難し、決議案を示し、世論を一定方向へ扇動する場と見ていた」

 だから国連は政治プロパガンダを演じる場であり、その意味ではドラマの舞台というわけだった。 四五年十月に正式に創設された国連は当初は加盟各国から間違いなく「平和の守護者」としてあがめられていたのに、その後すぐに単なる「芝居の舞台」と冷笑されるようになってしまったのだ。

 その理由はごく簡単だった。 米国とソ連と、二つの超大国とその両陣営の対立による東西冷戦が始まったからだった。国連はすでに述べたように第二次大戦で枢軸側と戦って勝った連合国、とくに米国、イギリス、ソ連の三大国が運営の主体だった。 戦争が続く限り、連合国の団結は強かったが、終わってみると、その団結は意外なほど早くほぐれ、逆に対立へと変わっていったのだ。

 チャーチル首相は四五年十二月のヤルタ会談ではスターリン首相と乾杯し、「戦争の火がソ連との間の過去の誤解を燃やしてしまった」と述べ、イギリスとソ連との過去のしがらみを捨てての和解や連帯を祝った。 ところがその同じチャーチル首相が翌四六年三月には「鉄のカーテンが欧州大陸に降りた」と宣言し、ソ連の東欧支配を非難したのだ。

 連合国同士だったはずのソ連と米英両国の間はソ連が降ろした「鉄のカーテン」で仕切られ、対立がはじまったわけである。 国連では対立し始めた主要連合国が安全保障理事会の常任理事国としてみなオールマイティの拒否権を持っていた。 対立した当事者たちがみな個別に拒否権を持ち、自説を曲げないで、拒否権を使うとなれば、当然、組織全体が機能を果たさなくなってしまう。

 安保理への最初の提訴は四六年一月十九日にイランからでた。イラン領内北部のアゼルバイジャンにソ連軍が駐留しているのは内政干渉だから即時、引き揚げを、という訴えだった。ソ連側はイランの背後に米英側がいるとみた。

 ソ連もその二日後、報復するような形で、イギリス軍がギリシアの内政に干渉するのをやめよ、として、その引き揚げを求める訴えを安保理に出した。 あっという間に国連は東西両陣営の激突の舞台となっていった。 しかも双方が拒否権を持つから、国連の行動を止めるのも容易だった。国連は東西冷戦の外交闘争の手段となり、国連の平和・安全の維持の機能は麻痺していったのである。

 ルアード氏が述べる。

 「国連は平和を模索する場というよりは戦場であり、互いを理解しあう場というよりは、互いをだますための場であり、和解よりは対立のための道具として認識されるようになった。 一九四五年からの十年間、国連は冷戦の一手段に過ぎなくなった。国連は東側諸国にとって自分の意見を世界に宣伝するための場だった。西側諸国にとって国連は多数票を獲得し、世界が自分たちの側についていることを示せる、という場になった」

 第二次大戦での同盟が東西冷戦での対立へと変わるにつれて、国連は世界の平和と安全の維持に関しては、すぐに無力な存在となっていったのである。 国連憲章が壮大にうたった「集団的安全保障」からはまったく離れた組織となっていったのだ。

 この間、世界では緊迫や紛争が相次いだ。

 シリア・レバノンからイギリス、フランス両国軍を撤退させるという案件、ギリシヤ国内の共産ゲリラを掃討する案件、インドネシア独立戦争、パレスチナ戦争、カシミール紛争、ベルリン封鎖事件、ベトナム独立戦争と、世界の動乱は国連を傍観させる形で展開するのだった。


古森義久氏 産経新聞2003年9月17日付朝刊記事

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