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cutting edge
第2部 (3) ‐ 国際連盟の教訓
2003年09月10日
 「『効果的な国際機関』という表現を明記するだけでも国内には疑惑や反対が渦巻いてしまう」

 国連の最大の推進者となる米国のルーズベルト大統領はイギリスのチャーチル首相に当初はそう告げて、国連ふう国際機関の設立意図の表明へのためらいを伝えていた。 第二次大戦でドイツ軍の進撃が激しい一九四一年八月に米英首脳が発表した大西洋憲章の草案作りでのやりとりだった。

 チャーチル首相が同憲章に将来の国際平和の保持のために「効果的な国際機関」の創設を明記することを求めたのに対し、ルーズベルト大統領は反対したのだった。 その結果、憲章では単に「一般的な安全保障制度」の構築への期待を述べるに留まった。

 ルーズベルト大統領に複雑なブレーキをかけていたのは、国際連盟の失敗だった。 いや同大統領だけでなく、第二次世界大戦の終わりに戦後の新国際機構を作ろうとした連合国首脳たちは皆国際連盟の教訓を大きな影として意識していたといえる。

 第一次世界大戦の悲惨を繰り返さないという希求から一九二〇年に生まれた国際連盟を提唱したのはルーズベルト大統領と同じ米国、しかも同じ民主党のウッドロー・ウィルソン大統領だった。 だが米国内では国際連盟への加入に対し雨あられのような激しい反対が起きて、ウィルソン大統領は文字どおりそのために病に倒れ、政治生命を縮めてしまった。

 同大統領が「各国の政治的独立と領土安全を保証する国際機関」として提唱した国際連盟の創設は、第一次大戦の講和をまとめたベルサイユ条約の一部規定として実現した。一九二〇年一月、連合国と中立国あわせて四十五ヶ国が参加した。 世界史でも初めての国際的な集団安全保証の試みではあった。

 だが肝心の米国では国内の猛反対をウィルソン大統領が抑えきれなかった。 病弱の同大統領は医師の制止にもかかわらず、国内各所を回り、国際連盟加入をアピールした。 だが旅中に血栓症に倒れ、上院は加盟条約の批准を否決してしまった。 米国内の一部の伝統的な孤立志向が反戦感情と結びつき、勢いを得た形だった。

 米国なしの国際連盟には当初、ドイツもソ連も入れなかった。 フランスとイギリスが中心メンバーとなったものの、両国の利害は対立した。 日本やイタリアも加わったが、英仏主体の国際連盟には冷淡だった。加盟国は一時は五十九ヶ国に達したとはいえ、一九三〇年代には日本、ドイツ、イタリアが次々と脱退していった。 国際連盟は、三九年のドイツ軍のポーランド突入による第二次大戦の始まりにも全く無力となった。

 国際連盟の失敗の理由は米国やソ連が不参加だったことの他に、総会や理事会が大国も小国も全く同等の全会一致を基本としたため、連盟全体としての意志が決められなかったことだとされた。 決定も単なる「勧告」であり、紛争当時国にも加盟国にも拘束力を持たなかったことも、連盟の機能をすっかり弱めていた。

 このため一九四四年のダンバートンオークス会議からヤルタ会談での討議を経て、翌四五年四月に開くサンフランシスコ会議で正式に決まった国際連合のメカニズムは明らかに国際連盟の失敗からの教訓を反映させていた。

 まず第一には大国、小国まったく平等という連盟の基本に対し、国連は大国のパワーが世界の平和を左右する現実を認めて、安全保証理事国という形で米国、イギリス、ソ連、中国、フランスの先勝五ヶ国に特権を供し、しかも拒否権という究極のカードを与えていた。

 その一方、第二には議事はすべて全会一致制という連盟の基本に対し、国連は総会では多数決制を採っていた。 安保理の議事でも常任メンバーの拒否権行使の場合を除いては多数決となった。

 第三は平和や戦争に関する重要決定も所詮は拘束力がないという連盟の基本に対し、国連は安保理の決定に拘束力を与えていた。 国連はしかも独自の軍隊を有し、その拘束力の裏付けとして軍事力を実際に行使できることをも自らに認めていた。

 国連がこうして反面教師とした国際連盟は国連が正式にスタートした一九四五年十月二十四日の時点でもなお存続していた。 正式に解散したのは翌四六年四月だった。 だから国際連盟は国連の前身であって、前身ではないのである。


古森義久氏 産経新聞2003年9月10日付朝刊記事

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