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cutting edge
国連再考 第1部 (10) ‐ 国益との共存
2003年08月07日
 国連の失態や欠陥をこれまで報告して来た。 だがもちろん国連の存在自体を否定するわけでは決してない。 国連が成し遂げてきた着実な実績を無視するわけでもない。 国連への反発や不信がすっかり高まった米国でも、その国連批判の先頭に立つ元国連大使のジーン・カークパトリック氏でさえ、国連批判の過剰を戒める。

 「米国が排しても嫌っても国連は今後も存在していくだろう。 だからその存在自体をあまり批判しても意味がない。 米国も国連の一部という状態が続いていくからだ。 要は国連に対し米国の利益を守りながら、うまく機能させていくことだ」

 大切なのはなんといっても自国の利益、つまりは国益の優先、その上での国連との共存という事なのだろう。

 全世界で話題となった書「歴史の終わり」で知られる国際政治・歴史学者フランシス・フクヤマ氏(現ジョンズホプキンス大学院教授)も国連の効用を全て否定してしまう事への反対を明言する。

 「国連は安全保障に関しては確かにその機能は疑問だが、その他の機能は重要であり、米国もその価値は認めてきた。 開発途上国の国づくりに象徴される国連の技術的な専門能力は高く評価されるべきだろう」

 確かに国連はその目的として「平和と安全の維持」と並び、「経済的、社会的文化的または人道的性質を有する国際問題を解決すること」をうたっている。 貧しく恵まれない諸国への経済支援、虐げられた社会の不平等、不公正の是正、不幸な人々の人権の尊重や医療の救済など、いずれも国連が長年、主に常設・補助機関を通じて活動してきた分野である。 緒方貞子氏が代表だった国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はその象徴的な実例だろう。

 しかしそれでもなお国連が最大任務として掲げる「平和と安全の維持」となると、いまの米国での国連否定の激しさは注視せざるをえない。 なにしろ国連を結成した最大の主導役も、国連の運営資金の最大額を負担するのも米国なのだ。 その最大の担い役が担ってきた相手にすっかり愛想をつかしたような言動を見せているのだ。

 保守派の政治評論家ジョージ・ウィル氏は国連の存在自体をしりぞけるような主張を繰り返し述べている。
 「米国の保守主義の核心となる原則は国連を排することにより米国という国家の主権と行動の自由を保つ事だ」
 反国連主義が米国の年来の保守主義と結びつき、イデオロギーとしても確立されたようなのである。

 フクヤマ氏はこの種のイデオロギーを少し離れた距離から解説する。
 「米国人の大多数は保守もリベラルも、人間集団に対し権力、権限を行使できる唯一の存在は民主的手順で選ばれた政府だけだと固く信じている。 民主的選挙で生まれた政府に代表される主権国家こそが正当なパワーを有する機関であり、世界秩序も国際パワー政治もそうした主権国家に従属するという考え方だ。 国連がその主権国家の正当なパワーを奪うという印象があれば、米国人は激しく反発することになる」

 世界秩序と国家主権というのは新世紀のこれからの国際社会でも最も重要で最も難しい課題であろう。 フクヤマ氏は既に現在でも米国の思考がグローバルにみて絶対ではないことを付言する。

 「この点では米国と欧州とでは世界を見る目が異なる。欧州は主権国家の衝突という二度の世界大戦での悲惨な体験のせいから国家主権を薄め、一部を放棄する姿勢をみせる。 欧州連合(EU)がその結果だといえる。 だが米国は反対の立場をとる」

 フクヤマ氏はアジアでは欧州諸国のような民主主義など共通の基盤が少ないためにも国家主権の一部放棄は不可能だと述べながら、国連への自身の考えを率直に語った。

 「現実の世界では強制的パワー、つまり軍事力も、その行使も主権国家が独占している。 その主権国家が予見しうる将来、なくなるという考えはナンセンスだ。 だから民主主義の正当性を有する主権国家が国連のような多国間機関に自国の生死である安全保障を委ねることはできない。 この点で冷戦の終結後、米国も含めて世界には大きな幻想が生まれていたようだ」

 国連をめぐるこの種の幻想とは一体、なんだったのか。

 第二部では国連の歴史をさかのぼり、そのへんに光を当ててみたい。


古森義久氏 産経新聞2003年8月7日付朝刊記事

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