骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

何処へ冒険に行こうか迷いました。
デミウルゴス並みに看破されているかと思いますが、
行き当たりばったりで話を進めているので
何処でも良いんです。(汗)

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その17 チョイ役は出番が少ない。

行った事の無い竜王国へ転移出来ないので

3人はカッツェ平野を横切るルートを取った。

 

簡単なテーブルセットを出して珈琲を楽しんでいる。

「いやぁ、ドリップセット持ってきて正解だったな!」

「結構長い道中ですからね。」

「そうだ!ツアレがクッキーくれたんだ。食べる?」

「良く気がつくコですよね。」

「そーなんだよ。ちゃんと俺が食えないからってシナモン入れてくれて、これなら匂いが楽しめるって。」

 

 

「ご歓談中すいませんがね!少し手伝ってもらえますっ!?」

アンデットと戦闘中のクレマンティーヌが大声を出す。

 

「なーに言ってんの。リハビリだよ、リハビリ。最近、雑魚ばかりで鈍ってるって言ってたじゃん。」

「そりゃ言いましたよ!でも、やたら湧くしドンドン強いの来るし!」

「だって俺たちが居るもん。集まってくんだよ。知らなかった?」

「そんなアンデットトリビア知らないですよっ!」

「大体、そのスティレットに細工したから使えばイイじゃん。」

「え?」

「雷撃と火球が打てる様に魔化したって言ってなかったっけ?出掛ける前にさ。」

「聞いてないですっ!」

「アイムソーリー、髭ソーリー。」

「父上!それウケる!」

「ぜんっぜんウケないんですけどっ!?」

「怒りっぽいなぁ、そんなんじゃ、血管切れるよ?」

「その前に死んじゃいます!早く助けて!」

「しょーがないなー。トリプレットマキシマイズマジックライトニング。」

「ひゃあああああー!アタシに当たったらどーすんですか!」

「ちゃーんと狙ってるって。ホラ、全滅したろ?お疲れ。こっち来てクッキー食べなよ、美味しいらしいよ?」

「ゼッタイ、帰ったら皆んなに言いつけますからね!」

 

ーーーーー

 

「ところで。法国が来るとして。気を付ける事ってある?」

「そうですね、、、1人の規格外と2つのマジックアイテム、ですかね。」

「マジックアイテム!?」

パンドラズ・アクターが食いつく。

「はい。まず規格外の方ですが神の子が居るんです。なんでも"ぷれいやー"の血を引くらしくって半端なく強いです。多分、聖典が束になっても敵わないぐらい。でも神殿から出た事がないので今回も出て来ないかと。特徴は、女で髪が白と黒に真ん中で色分けされてますから直ぐ分かります。」

「なるほど。白黒には注意、か。それでマジックアイテムは?」

「これも法国の秘宝でアタシも見た事ないんですが、なんでも使った相手を自由に出来る奴と必ず相打ちに持ち込める槍って聞いてます。」

「ナニっ!?」

「ひぇ!ど、どーしました!?」「父上!?」

「アクター。それら二つはワールドアイテムだ。」

「ワールドアイテム!世界を変える秘宝!禁断の武器!ワールド!アイテム!ですか?」

「うむ。特徴から"傾城傾国"と“ 聖者殺しの槍(ロンギヌス)"だと思う。まさかこの世界にあったとはな。アクター、よく聞け。1つは服だ。チャイナドレスと言うのだがなこれは精神支配無効の者でも一定期間は支配される。槍の方はまんま槍だから直ぐ分かる。この2つが出た場合はお前は直ぐに逃げろ。いいな、これは命令だ。」

「しかし父上。」

「ワールドアイテムに対抗するにはワールドアイテムしか無いのだ。私は体内にワールドアイテムを所持しているから効果はない。しかしお前には無い、だから即時撤退するんだ。」

「わかりました。仰せの通りに致します。」

「お前はこの世でたった1人の大切な息子。失くす訳にはいかんのだ。」

「ち、父上!」

「そ、そんなにスゴい物なんですか?」

「クレマンティーヌ。良くぞ教えてくれた。ありがとう。この情報があるとないでは大違いだ。」

「えへ。褒められちった。」

 

(そうか。ピクニック気分だったが少し気を引き締めてかからんとな。)

 

ーーーーー

 

「それで妾はいつまでこんな格好をすれば良いのじゃ?」

下着が見える程に丈の短いフリル付きドレスを纏った幼い少女は横の男に問いかけた。

「何事も我慢。我慢ですぞ、女王。我が軍も視力を尽くしております、更に法国からも応援が来ると連絡が来ております。もう暫くの御辛抱を、何卒。」

「む〜。にしてもじゃ。何もこんなに脚を出さずとも良いのではないか?これでは、その、下着が丸見えじゃ。」

「我が国唯一のアダマンタイト冒険者チーム"クリスタル・ティア"のセラブレイトをご存知のでしょう?あの者は変わった性癖の持ち主。アレの機嫌を損ねる訳にいかんのです。」

「それじゃ。あの我を舐める様な視線がの〜。」

 

「ドラウディロン・オーリウクルス女王様!法国よりクアイエッセ・ハゼイア・クインティア様、ご到着です!」

 

「おお!参いられたか!直ぐにお通しせよ!」

 

「女王陛下。クアイエッセ・ハゼイア・クインティア、御身の前に。」

「よくぞ、参られた。長旅ご苦労であった。そして此度は我が国の窮地に手厚い救援を差し伸べてくれて、法国には深く感謝している。」

「勿体ない御言葉。このクアイエッセ、粉骨砕身の覚悟でございます。」

「では、クアイエッセ殿。部屋を用意しております。一度お疲れを取っていただき、その後軍部の者が現状のご説明をさせていただきます。」

「宰相殿、感謝する。では陛下、これにて御免。」

 

「ふう。これでビーストマンどもを撤退させられたら良いのだが、、、。しかし、数が足らん。もはやこれまでか。」

幼き女王は天を仰いだ。

 

ーーーーー

 

「なんじゃああー!これわああああ!」

ライオンやトラの頭を持つ獣人が街の人々を襲っていた。

その数ざっと数万は超えていた。

迎え撃つ兵士たちもその剛腕に投げ飛ばされ、またその爪で引き裂かれている。

「助けて!」「逃げろ!」「この子だけは!」

彼方此方で悲鳴が上がる。

ビーストマンは人々を捕まえ引き裂き食う。

「地獄絵図だ」鈴木は思わず呟いた。

 

「助けるぞ!」

「サトル様!お待ちください!」

「なんだ?!クレマンティーヌ!一刻の猶予も出来んぞ!」

苛立っだ鈴木はクレマンティーヌを睨みつける。

「違うのです。サトル様の魔法では生き残った人々も巻き添えになる恐れがあります。アタシとアクター様でビーストマンを離れた所へ誘い出します。そこで派手なのをお願いします!」

「分かった!では、頼んだぞ!行け!」

「「ハッ!」」

パンドラズ・アクターは真紅の軍服姿に、クレマンティーヌは武技を重ね掛けし疾風の如く走り去った。

 

「ほらほらナニ弱い者虐めしてんのさ!これでも食らいな!

クレマンティーヌのスティレットから雷撃が放たれる!

「あなた方のお相手は私ですよ?」

パンドラズ・アクターの指から放たれた雷の龍がビーストマンの間を縫う様に駆け巡る!

(ぶっつけ本番なのに見事な連携じゃないか!)

「なら俺もイイとこを見せんとな!」

ビーストマン達は2人に追い込まれ知らず知らずの内に街から離されて居た。

「失墜する天空・フォールンダウン!」

巨大な魔法陣が現れ付近の空気を巻き込み渦になる。

超高熱源体によって生じた絶熱が一気に膨れ上がり、効果範囲内の全てを貪欲に貪り尽くす。

「スゲー・・・」

「父上の超位魔法です。最も私も初めて見ましたが。」

 

「さて、一先ずは大丈夫だ。」

鈴木は生き残った人々の方を振り返る。

 

「アンデット!」「アンデットだ!」

人々は口々に叫び出す。

 

(なんだよ?だからどうしたっての?アンタら助けてくれたのに違いないだろ?)

クレマンティーヌは口を尖らせた。

 

すると1人の少女がフラフラと前に出て来て膝を折った。

そして両手を胸の前で組み、怯えながらもはっきりとこう言った。

「神様、ありがとうございます。」

その言葉で周りの大人達も次々と両手を組み言った。

「神様、ありがとうございました。」

 

(えー!俺、神様になっちゃった?)

 

ーーーーー

 

「なんじゃああー!これわああああ!」

神殿の様な建物の最上階の部屋で1匹の龍が怒鳴った。

 

ーーーーー

 

「なんじゃああー!これわああああ!」

王宮からも見える巨大な火柱にドラウディロンは怒鳴った。

 

「陛下!言葉!言葉!」

宰相は慌てて嗜める。

「んな事言ってもよ!オメーも見たべ?」

「どの口ですか?!この口ですか?!」

「痛い!痛い!口が!口が裂ける!」

 

ーーーーー

 

「なんです!?これは一体!?」

与えられた部屋で策を練っていたクアイエッセは轟音に驚き窓の外を見た。離れてはいるが見た事もない火柱が天に向けて上がっていた。

(これは何かの魔法?しかし、これ程のものは見た事も聞いた事もない。やはり"ぷれいやー"様が?)

 

ーーーーー

 

「あの〜、神様、私はこの地区の防衛を任せられていた隊の者なのですが、出来れば、そのう、我が国の女王に会っては貰えないでしょうか。神様にお礼などは失礼なのですが私たちにはそれくらいしか思いつかないのです。」

「うむ。断っておくが、私は神様などではない。親が付けてくれた立派な名前がある。それで女王か?良いだろう。会おう。案内せい。」

(アンデットなのに親が?)

その場の者は皆首を傾げたが、それを口に出す勇者もまた居なかった。

「父上、宜しいので?」

「構わん。その女王とやらも竜なんだろ?なら別にアンデットが会いに行っても問題ないだろう。」

(そんなもん?なんか違う気がするんだけど。ヤバいな〜、アタシも感覚が麻痺して来たかも)

 

ーーーーー

 

「陛下!例の火柱の上がった地区の担当者が御目通り許可を求めております。」

「何?許可する。早う連れて来い!」

 

「それでお前たちを助けてくれた人物を連れて来た、と申すのだな?良くやった。妾も逢うてお礼が言いたい。連れてまいれ。」

「はあ〜。それがその〜。」

「なんじゃ?身なりが見窄らしいとかか?それとも振る舞いが乱暴なのか?構わぬ、構わぬ。妾はそんな小さな事を気にはせぬぞ。」

「畏まりました。では早速に。」

 

 

(って!ヒトじゃないじゃん!これって小さな事?)

 

(って!幼い少女って言うよりモロに幼女ぢゃん!しかもパンツ見えてるし!ワカメちゃんかよ!)

既に伝説になっている日曜日放送のメガ長寿アニメに出てくるオカッパの小学生を思い出した。

 

「初めまして。ドラウディロン女王陛下。私はサトル・スズキと申します。そして、息子のパンドラズ・アクターと旅の仲間のクレマンティーヌと申します。」

 

「あ、ああ。妾はこの国を治めるドラウディロン・オーリウクルスじゃ。此度は街と兵の命を救ってくれたそうで感謝する。それでだな。そのぉ〜、其方はニンゲンではないと思うのだが、違うか?」

(見たまんまやな!しかもアンタも龍じゃん!)

宰相は心の中でツッコミを入れた。

「仰る通り。アンデットです。息子はドッペルゲンガー。しかしクレマンティーヌは正真正銘、人間です。はは」

「そ、そうか!皆仲良しなのだな!はは」

(駄目だこりゃ。テンパってるよ。助け舟出すか。)

「ま、まあ。スズキ様。陛下も突然の救世主登場に戸惑っておられます。今夜はお粗末ながら皆様の慰労会の予定ですので、それまでは部屋でお寛ぎ下さい。」

「宰相殿。御心遣い感謝する。では陛下、後程。」

(まだ小さなもんなぁ。無理は無いよ。)

3人は謁見の間を後にした。

 

ーーーーー

 

「しまった!クレマンティーヌの服が無い!」

鈴木は焦った。女物の服は持ってない。今夜のパーティーに着せて行く服が無いのだ。

「えー。別にコレで良いですぅー」

「駄目だよ。そんな下着みたいなの。露出狂だと思われるだろ?大丈夫、後でメイドさんに言って借りるわ。」

 

「お〜!似合ってるじゃん!」

淡いピンクのロングドレス姿のクレマンティーヌは顔を真っ赤にして照れていた。

「アタシ、こんなの来た事ないんです。変じゃないですか?」

「よくお似合いですよ、クレマンティーヌ。元々が可愛いお顔をしてらっしゃるのです。もっと自信を持って!」

「か、可愛い!?」

「ハイ。目も口も大きくてとてもキュートですよ。」

「あ、アリガトゴザマス」もう湯気が出そうだ。

(あ〜。パンドラズ・アクターはあんな顔だから目と口の大きいのお気に入りになっちゃうんだ〜。)

「じゃ用意も出来たしそろそろ行こうか」

 

ーーーーー

 

扉を開けると既に多くの人が集まっておりグラスを片手に歓談している。

しかし鈴木たちが入室した途端に会場は水を打ったような静けさに包まれた。

(やっぱ、こーなるよなー)

魔王衣装の鈴木と軍服パンドラ、ドレスのクレマン。

服装もバラバラだが何より鈴木だ。

3人が歩くと人混みが別れ女王までの一本道が出来た。

その女王の前には先客が2人立って居たが鈴木達に気付き振り返った。

 

「お兄ちゃん!?」

 

「クーレ、なのかい?」

 

「「!!クーレ?!!!」」

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

クレマンティーヌさんて言い易いですが
書くと長い名前ですよね。
お兄さんと違ってミドルネームわかんないし。
そこで捏造です。
けど、なんかそんな名前の妹がどっかに居た様な?

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。

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