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三宅 啓史 院長の独自取材記事

三宅医院

(横浜市戸塚区/踊場駅)

最終更新日:2020/12/24

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市営地下鉄線ブルーライン・踊場駅から程近い、内科・小児科・外科クリニック「三宅医院」。昭和44年に開業以来、町のかかりつけ医として、子どもからお年寄りまで多くの人々に頼りにされている。父から医院を譲り受け、2代目院長を務めるのが三宅啓史先生。どこか人懐っこい笑顔とテンポのよい語り口が印象的だ。三宅先生のもともとの専門は消化器外科。10年在籍していた大学病院では、数々のオペを行ってきた外科医でもあった。現在は内視鏡検査に力を入れながら、生活習慣病の治療にも根気強く取り組んでいる。医院は三宅医院長がここで診療を始めた平成11年に全面改装。明るく広々とした院内には、年季の入った診療机や木製ベンチなども置かれ、医院の40年の歴史を感じさせる。インタビューでは、クリニックの診療スタンスや医師としてのこれまでの道のり、尊敬する父のこと……たっぷりお話しいただいた。
(取材日2012年2月23日)

昭和44年開業。以来長きにわたり町のホームドクターとして信頼を集める

クリニックにはどのような疾患の患者さんが来院されるのでしょう?

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一番多いのは、高血圧、高脂血症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病の患者さんです。なので、おのずと中高年の方が多くなり患者さんの年齢層は高めですが、このような住宅街のなかにある医院ですので、風邪のシーズンなどには小さいお子さんや若い方も大勢いらっしゃいます。この町で診療を続けて40年以上、私が引き継いでからも10年が経ちますが、父の代からの患者さんも少なくありません。なかには、おじいちゃん、おばあちゃんとその子ども夫婦、そしてお孫さんの3世代で来てくださるご家族もいらっしゃるんですよ。こうして患者さんたちと長いお付き合いができるのも親父のおかげだとありがたく思っています。

現在、力を入れている治療について教えてください。

私自身が大学で消化器外科を専門にしてきたので、胃、腸など消化器疾患の検査、診断、治療に力を入れています。画像が鮮明な最新のデジタル内視鏡を導入し、内視鏡検査によるがん検診も熱心に取り組んでいます。あとはやはり、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病ですね。当院は横浜市指定の特定健診実践医療機関として特定健康診断、通称「メタボ健診」にも対応しています。生活習慣病の治療は長い期間継続して行うのが特徴です。その名の通り、生活習慣に深く根ざしているため、治療の成果は患者さんに負う部分が当然大きくなります。そのことをまずご本人に理解をしていただき、自分の状況、体にちゃんと向き合えるよう、患者さんの意識を変えることが、一番重要であり一番難しいところでもあります。

クリニックの診療スタンスは?

クリニックでは「対話と説明を大切に、患者さんと共に進む、患者さん主体の医療を」をポリシーに、患者さんとの密なコミュニケーションとわかりやすい説明に努めています。よく医者の前に出ると、言いたいことが言えなくなってしまう人いらっしゃいませんか?  本当は自分の意見や疑問点をぶつけてみたいけれどそれができない、「こんなこと聞いてもいいのだろうか?」と躊躇してしまう……。しかしそれは、患者さんと医者、互いにとって無駄な遠慮であり、医療において必要のないものだと私は思っています。わからないことがあればぜひ尋ねてもらいたいし、話したいことがあるのならぜひお聞きしたいですね。大事なのは最初の一歩。その一歩を患者さんが踏み出しやすいそんな雰囲気の医院にしたいですね。

診療の際、具体的に心がけていることは何でしょう?

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患者さんへの説明では、一気に話さず、途中まで話して「ここまでは大丈夫ですか?」、また途中まで話して「わからないところはありませんか?」と、少しずつ区切って確認しながら前に進むようにしています。そして話すときは専門用語をできるだけ使わず、難しい言葉や意味を噛み砕いて、どんな年齢の方にも理解していただけるように気をつけています。診察室では「ふんふん」と理解していても、ドアを出た途端に「あれ、どういうことだっけ?」となってしまう患者さんもけっこう多いので、そういう時は、受付のスタッフに尋ねてもらってもいいですし、もう一回診察室に入ってきてもらっても全然かまいません。きちんとご理解いただけるまで、しっかりご説明いたします。

「切れる内科医になれ」。先輩の言葉を糧に、外科医としての腕を磨いた勤務医時代

お父様と同じく医師の道に進むと決めたのはいつでしたか?

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正直に言うと、小さい頃は医師になりたいという気持ちはありませんでした。なぜ医師になろうと思わなかったのか。それは……何と言ったらいいのか、ようするに私にとって親父はすごい人なんですよ。父は医者の息子ではありません。貧しい学生生活のなか奨学金をもらって医学を学び医者になりました。そして九州の大分から上京し、勤務医で何年か勤めた後、この土地に開業。ゼロからのスタートでこの医院を作り上げたのです。尊敬? そうですね、でっかすぎる存在でした。そんな父と同じ職業に果たして自分なれるのか、いや、なっていいものだろうか、迷いがあった。しかし無意識ながら親父の後を追いかけたいという気持ちも心のどこかにずっとあったんですね。その気持ちが大学受験の頃にどんどん大きくなっていき、医学部へ進むことに決めたのです。

家業の内科ではなく、外科を専攻された理由は?

手術がしたかったんです。実際に自分の手を動かし、切って・つなげて・縫うという仕事に魅かれました。それと、外科には起承転結があって、手術をして、患者さんが回復し、治癒して退院、という明確な流れが自分の性に合っていると感じたのです。もちろん、将来のことも考えていました。内科から外科へは無理でも、外科から内科へ移ることは可能だと思っていましたし、当時は親父も元気でしたから、しばらくは自分のやりたいように外科をやらせてもらい、家業を継ぐ時期になったら、その時は内科にシフトしようと考えました。しかし、そもそも内科と外科というのは、かっちりと分けられるものではないと思うんです。私が尊敬する外科医時代の先輩は、「切れる内科医にならなくてはだめだ」とよく話していました。

「切れる内科医」、ですか?

そうです。外科医といえども、ただ切って縫ってだけでは、いい手術はできない。なぜかというと、オペには全身管理が必要だからです。患部を取り除くことはできても、血圧でだめになってしまったら元も子もないでしょう。実際、多くの優れた外科医の先生たちは、内科医と遜色ないくらいの内科の知識を持っておられます。手術をするにも、治療をするにも、患部だけでなく全身を診ることの重要さを学んだ外科医時代の経験は、地域のホームドクターになった今、さまざまな症状を抱える患者さんを診療するにあたって大変生かされていると思います。大学ではおよそ10年在籍し消化器を専門に胃や大腸の手術を数多く手掛けました。その後総合病院で3年間内科のトレーニングを行い、平成11年、父が院長を勤める三宅医院に移り、父が亡くなるまでの2年間、2人体制で診療を行いました。

尊敬するお父様の診療スタイルは、どのようなものだったのでしょう?

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それはたぶん、私の診療方法と同じだと思います。何かをバシッと教えられたわけではありませんが、ただ長い間息子として、そして1人の医師として父の仕事ぶりを見てきたことで、自分のなかに自然に刷り込まれていったのだと思っています。先ほどお話しした、診療で心がけてることなども、私の意見のように話していますが、結局父から受け継いだものだと思うんですよ。

地域医療の交通整理係。それがホームドクターの大切な役目

三宅医院がめざす地域のかかりつけ医(ホームドクター)、その役割とは?

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内科、外科、小児科を標榜していますが、すべての分野において高い専門性を保つのは容易ではありません。しかし、幅広い分野を持つからこそできることもあると考えます。例えば、皆さんはどこか体が不調になったときに、はたしてこれはどこの科目に行けばいいんだろうと悩んだことはありませんか? 花粉症ひとつとっても、耳鼻科でいいのか、内科なのか、眼科でも診てもらえるのかわからないですよね。そういう時の窓口として、私どものようなかかりつけ医、ホームドクターを利用してほしいと思います。当院で対応できるものなら対応し、そこから外れるものに関しては、○科に行ってこういう検査受けけてくださいと、しかるべき病院やクリニックをご紹介します。病診連携、診診連携を強みにして、どこの診療科目行ったらいいかわからない人、より専門的な治療や検査が必要な人のために交通整理をしてさしあげることが、私たちのような町のクリニック、ホームドクターの大きな役目じゃないでしょうか。こっちに行ってください、あっちに行ってくださいと最低限の道筋を付けられる。そこに存在価値があると思っています。

ところで、先生ご自身は、日頃どのようにして健康管理をされていますか?

巷のおじさんたちの例に漏れず、私もメタボ対策が必要になりまして(笑)、自転車に乗り始めました。始めてからも3年ほど経ちます。楽しいですよ。自転車って、乗ってる時はただもう乗ることしか考えない、漕ぐことにひたすら集中してる、そんなところがいいんじゃないでしょうかね。スピードはかなり出ますが、あまり出さないようにはしています。ケガなどしたら大変ですからね。よく走りに行くのは、自宅から近い多摩川の河川敷や鶴見川沿い。週一回のペースでけっこうな距離を走っているので健康づくりには一役買っているのではないでしょうか。メタボ対策はなかなか成果をあげてくれませんが、爽快で楽しいですね。

では最後に、クリニックの今後の展望についてお聞かせください。

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これからは、病気にならないための予防医療、例えば健康診断や各種検診といったものをシステム化し、患者さんの健康を管理できるような体制や医療環境づくりをすすめていきたいと思っています。病院やクリニックというのは、本来、病気になってから行く場所ですが、そうではなくて、毎日の健康管理の段階から、地域の人々の健康に携われるような環境にすることが理想ですね。一人の患者さんを予防や健康管理の観点からずっと見守っていけるシステムができたら、地域に根ざす家庭医、ホームドクターの役目をよりまっとうできると思います。具体的に何をどうするか、それは現在まだ模索しているところですが、病気にならないための医療は、これからもっともっと世の中的にも求められるはずですし、私たちのような幅広く症状を診ることができる交通整理の役目を持つホームドクターのニーズも今後さらに高まってくると思うんですよ。