原作者のまいん氏によるTwitterでの“差別発言”が発端となり、出演予定だった声優が続々と降板。放送・製作中止という顛末になってしまったテレビアニメ『二度目の人生を異世界で』。
この騒動では、渦中の作者が「なろう系」出身であったことも注目されている。しかし、ラノベ作家の不祥事というものは、なにも「なろう系」に限った話ではない。
過去、ラノベ作家の不祥事でもっとも大きな騒動になったのは、2010年に刊行された哀川譲氏の『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』(電撃文庫)の事件だろう。
これは作品を刊行した後に『バカとテストと召喚獣』(ファミ通文庫)などからの盗作だったことが発覚したというもの。
盗作自体も問題なのだが、作品が第16回電撃小説大賞で最終選考まで残った作品であったことから騒動は大きくなった。最終選考まで残りながら、盗作に気づかなかったことで、作品の審査員や、出版社の能力まで疑問視されたのである。
「この事件が今も語り継がれるのは、盗作騒動で作家人生が終わったかと思われた哀川氏が、数年後に同じ電撃文庫で復活を遂げたことです。盗作をしてしまったとはいえ、作家としての才能はあったのでしょう。見捨てなかった編集者も偉いですよ」(ラノベ編集者)
『狼と香辛料』(電撃文庫)の支倉凍砂氏に至っては、13年の2ちゃんねる個人情報流出事件の際に、同業者の杉井光氏らと共謀して、やはり同業者の橋本紡氏を誹謗中傷していたことが発覚し、問題となった。
「出版社もビジネスですから、作品が面白く、売れているうちは、作家がどんな人間だとしても下には置かない扱いはします。ただ、売れなくなったら関係も精算するのは当たり前ですよね」(別の編集者)
作者自身が、あちこちで「クズ呼ばわり」されてしまっている代表格は『IS〈インフィニット・ストラトス〉』(オーバーラップ文庫)の作者・弓弦イズル氏だろう。
弓弦氏は、一時はTwitterでの暴言が、もはや“芸の域”に達していることで知られた人物。編集者をなじったり、誕生日にワインをもらえなかったから〆切を破ったことを告白したりと言いたい放題を書き散らし、注目を集めた。ネットのあちこちには、その暴言がまとめられていることからも、注目度はわかる。
そんな弓弦氏であるが、毀誉褒貶がありながらも「売れる」がゆえに作家生命は続いている。
最近刊行された『IS〈インフィニット・ストラトス〉』第12巻(同)は、評価するファンですら内容の薄さを指摘。アンチはアンチで「読者をバカにするな!」といいつつも、ひとまずは買って読むといった原則は踏まえている。
作品以外でも言いたい放題をしたい。世の中に訴えたいものがあるというならば、まずは売れる実績が欠かせないのかもしれない。
(文=隅田歌子)
Twitterで暴言、人気作品をパクリ、匿名で中傷……「ラノベ作家」過去の“不祥事”3件
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