[東京 1日 ロイター] - 政府・与党内で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた生活困窮者を対象とした給付金の支給案が浮上している。現在国会で審議中の2021年度予算案成立後の4月以降の取りまとめを目指す。昨年一律に支給された給付金は富裕層にも配られたことなどから政府内には慎重な意見もあり、今回は対象を限定したい意向だ。複数の関係筋が1日までに明らかにした。
政府は昨年、緊急事態宣言を全国で発令した際に取りまとめた20年度1次補正予算で全国民に対して1人当たり10万円、総額約12兆9000億円の給付金を配布した。財源は全額国債で賄った上、給付金の一部は貯蓄に回ったことなどから、麻生太郎財務相を中心とした財政再建を重視する政府・与党幹部らは、給付金の再支給には慎重姿勢を示してきた。
現在審議中の21年度予算案にはすでに不測のコロナ対応などに充当するため5兆円と巨額の予備費が盛り込まれており、当面の必要経費は予備費の範囲内で賄う方針とみられる。
菅内閣の支持率は昨年末の感染拡大と共に急落、報道各社の調査では3─4割の水準にとどまっている。年初からの大都市圏での緊急事態宣言などで飲食店・観光関連業者の苦境が続いており、女性の自殺増加など社会不安が拡大しかねないコロナ禍長期化を懸念する与党議員は多い。自民党の高鳥修一衆院議員ら有志は9日、生活困窮者への10万円の給付金の再支給や児童扶養手当の特別増額、フードバンクや市区町村に対するコメなど農産品の給付といった経済対策を、自民党の下村博文政調会長に求めている。
21年度予算案は昨年末にコロナ第3波が本格化する直前に取りまとめられていたため、脱炭素などの環境技術やデジタル化などの成長戦略に軸足があり、コロナ対策が不十分との見方がある。このため野党は予算案の組み替え動議を提出している。
竹本能文
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