「牧場物語」はスーパーファミコン,GAMECUBE,GBA,PSなどさまざまなプラットホームでシリーズを展開してきた,ほのぼの生活アドベンチャーゲームだ。
今回は,11月11日にリリースされる最新のPS2版「牧場物語Oh!ワンダフルライフ」の開発プロデューサーを勤めるおぐら氏と,「牧場物語」の生みの親であり,シリーズ全般の指揮をとる和田氏に,「牧場物語」シリーズ開発コンセプトをはじめ,新要素など秘話を聞いた。 |
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SBG:牧場物語ワンダフルライフシリーズは,箱庭的な「わすれ谷」を自由に歩き回れ,そして一生懸命仕事をすることも,全く働かなくてもゲームを楽しめるユーザーに対し自由度の高いゲームですが,開発コンセプトはどのように考えていたのですか?
和田:もともと「牧場物語」は,ユーザーに自由に遊んで欲しい,という考えから作られたシリーズです。
例えば砂場なら,「砂場はこう遊ばなきゃいけないんだ」とビシッと決まっているのは変ですよね。僕としては自由な砂場を用意して,お城みたいなものを作る子どももいれば,砂を掘って,バケツで水を流して「川だー!」って喜んでもいい。
そういう遊び方をして欲しいと思って作ったゲームだったんです。
そんなわけで,牧場経営に全力を注ぐユーザーさんも,畑仕事に精を出す人も,住人とのお話やイベントを楽しむこともでき来る,選択肢の広いゲームに仕上げました。
また「ワンダフルライフ」は,長~い時間遊んでもらうことを一つのテーマにした作品として作りたかった。
開発にかかったのは2年半くらいです。そのうち,1年半ぐらいはずっと地形を作りこんでました。今考えるとやりすぎでしたね(笑)。
SBG:自由度が高いと言えば,編集部では,主人公がずっと食べ物を食べないでどこまで行動出来るのか?とか,牛は薬の投与だけで生き抜けるのか?牧場経営のみに専念して,住人と全く話さなかったらなど,色々試してみたのですが,問題なくゲームは進行しますね。そう言った遊び方もありですか?
和田・おぐら:ありですよ(笑)。
和田:何でもできるのがウリなので,そのようなプレイの仕方もありだとは思いますが,そんなことは普通試しませんよ(笑)。
おぐら:そうそう,GAMESさんだけですよきっと。まあ,毎日ぶらぶらして過ごすことも実際できますけどね。
SBG:な,なるほど。でも一応行商や,喋る怪しい植物の飼育にも挑戦してるんですよ。
和田:植物の飼育や,商品を売ることも楽しみの一つなのは確かです。まともな方向でプレイしましょうよ(笑)。
SBG:木々や川,海などの自然環境に加え,四季の表現などが素晴らしい「わすれ谷」ですが,どこか参考にした街はあるのですか?そして設計コンセプトを教えてください。
和田:「わすれ谷」の製作にあたって基本的に参考にした街はありませんので全くのオリジナルです。
開発のコンセプトとして一番大切にしたのは,主人公はそこで,牧場経営,結婚,子育てなど30年という人生を過ごす以上マップを飽きさせないような環境を作りたいと思いました。
そこで「わすれ谷」には山があって,海があって,こじんまりとした集落に木々が生い茂る自然豊でありながら都会からちょっと離れている“集落”をイメージして製作しています。
また時間の経過や光と影の微妙な陰影,風の吹く方向まで,自然を“画面から感じられる”ようにこだわり,“どこか懐かしさを感じる自然”ということを表現したつもりです。
おぐら:見る楽しみも重要な要素だと思います。さらに「ワンダフルライフ」では3Dマップ上を自由に移動できますし,場所によっては色々楽しい仕掛けや出会いがあったりします。川や池での魚釣りも可能ですよ。
■プレイ中,わすれ谷の自然は常に変化する。季節の移り変わりはもちろん,朝夕表現,さらに雨までもが再現されている。 |
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■竿を手に入れれば魚釣りも楽しめる。その他にもミニゲームをプレイすることが出来るので,住人の家を訪問してみよう。 |
また,春には満開の花が咲く並木道なども見ることができるので,「わすれ谷」全体を探索してほしいですね。
また徒歩移動のスピードに限界を感じた人は,馬に乗って「わすれ谷」(マップ上)を移動することも出来ますので是非馬を入手してください。今回は白馬も用意しました。
4人の結婚相手と子育て
SBG:「牧場物語」と言えば,結婚と子育ても重要なファクターですね。
おぐら:セピリア,ムームー,ナミの3人に加え,PS2版では4人目の女の子,ルミナを攻略要素として投入しました。
■ルミナ,セピリア,ナミ,ムームーのうち一人と結婚することになる。
3人ともそれぞれ方向性の違う個性を持っていて十分かと思ったのですが,
ルミナの人気が異常に高かったのでよし,ルミナを追加してみようと。
結果的に,攻略要素が増え,ユーザーさんには喜んでもらえるのではないかと思います。ただ制作側としてちょっと誤算だったのは,考えていたより作るのが大変だったってことですね。
SBG:今作ではシリーズ初となる娘が登場しますね。生まれる条件とかがあるのですか?
おぐら:今回,娘要素を入れたのは単純に息子がいるなら娘もOKだろう,と思ったからです(笑)。
実は娘には産まれる条件があります。追々インプレッションなどで公開されると思いますが,今ヒントを言うとすれば第一章で街の人との交流をちゃんと遊んでいれば気が付くと言ったところです。
■ファン待望の女の子が生まれる。もちろん男の子が生まれる場合もある。はたして生みわけ方法とは……。
子どもの成長は3歳・9歳・15歳と進みますが,僕的に一番オススメなのは9歳でしょうか(笑)。ちょっと口答えする様になったところが一番可愛いいと思いますよ。
SBG:漏れ聞いたところによると離婚出来るシステムにしてほしいと言ったユーザーの声も多かったと聞きましたが本当ですか?
おぐら・和田:本当です(笑)。
和田:世相を反映してるんでしょうか(笑)。結婚できるなら離婚できなきゃおかしいってユーザーからの声は意外に多かったですね。
おぐら:ただ,離婚しちゃうと,じゃあ再婚するのか? 子どもはどうなるの? など考えると,凄く難しいゲーム設計を迫られるんですよ(笑)。
和田:そう。そこが一番難しい(悩む)ところなんだよね。でもユーザーの声は大切にしたいし(ゴニョゴニョゴニョ……)。
おぐら:そのうち何か考えます(笑)。
SBG:ゲーム内では30年の人生を送ることになるわけですが,全体のプレイ時間はどのくらいになるのですか?
おぐら:普通に急いで遊べば40時間ぐらいでクリアしますよ。ただし,全イベントや全アイテムを一回のプレイで見たり体験することは不可能です(笑)。
「牧場物語Oh!ワンダフルライフ」では一度ゲームクリアした後にもう一度ゲームを楽しみたい人のために,「エターナルモード」を搭載しています。これは最初から牧場経営をやり直すことなく,クリアした状態の牧場でゲームを最初からプレイすることができる機能です。
牧場が完備されていてば収入面を気にすることもないので,村人との交友を中心にゲームを再プレイすることが可能です。一回では絶対見逃すイベントなどもありますので,今回は釣り三昧するぞ!とか,住民との会話を大切にするぞとか,色々な事が試せると思います。
そう言った意味では遊ぼうと思えば,半永久的に遊べますね。
「Oh!ワンダフルライフ」は,都会生活にはないたくさんの仕掛けを用意しています。
また前作であるGAMECUBE版とはまたちょっと違う“わすれ谷”を体験できるようにしていますので,GAMECUBEユーザーの人にも楽しんで欲しいですね。
番外編「牧場物語」気になるPSP&DS版はどうなる?
SBG:ところで,「牧場物語」はPSPとDSでも開発が発表されていますが,こちらはどんな展開になりますか?
和田:PSP版の開発度は5%(笑)! DS版は30%ぐらいです。PSP版とDS版は全く違うゲームになりますよ。
DS版は任天堂のタッチ&トライイベントに出展する予定です。
SBG:どんなゲーム内容になりそうですか?
和田:実はDS版の舞台は「わすれ谷」です。その中に GBA版「ミネラルタウンのなかまたち」に登場したキャラクターが出てきます。システム的にも「ミネラル~」に近いですね。ワンダフルライフのキャラ+ミネラルタウンのキャラが大集合です。
操作方法もDS版の特徴であるタッチペンを使用して作物の収穫を行ったり,ごしごし動物を洗ってあげたりできます。また住人との会話にもタッチペンを使用したアクションを考えてます。
SBG:初めてのDS版ソフトだと思うのですが,開発は大変ですか?
和田:新デバイスと言うこともあって,相当面白いですね。
やることは多いですし,とにかく入力デバイスがタッチペンも使えるということもあり,何もかも手探り,考えることが多いんですよ。
単純に高度化したマシンに対応するためにどんな絵作りをしなければいけないなどよりも,新しい入力デバイスであるタッチペンと,二分割されたゲーム画面をいかに有効に使い,面白さを演出するかを日々考えてます。
とにかくDSにあった“異質な面白さ”を発明するしかない。タッチペン使いながらボタン操作はどうなんだ? とか,いっそタッチペンのみでゲームを進行させようとか様々な試行錯誤の最中です。DSは今後が面白いハードですね。
PSPに関しては,本体価格が1万9,800円と非常に手ごろな値段で発売されることもあって,市場的に凄く期待してます。ゲームはPSPの特徴を活かしたものになります。PSP版に関してはまた次の機会にお話したいと思います。
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