稲田保育園の保育士で、今年度の神奈川県保育賞を受賞した 田通(たどおり) 順子さん 登戸在勤 55歳
生きる力、育てる保育を
○…県内の児童福祉施設に長年勤務し、他の模範となる働きが認められた人を表彰する神奈川県保育賞。保育士のみを対象とした神奈川県だけにある賞で、自身も学生の頃、表彰式を見学したことがあった。「保育士の仕事を続けて、いつかもらえたらすごいなと思っていた。とっても嬉しい」
○…登戸の稲田保育園に勤めて35年が経つ。一昨年度は、市内の民間保育園52園で構成される「川崎市保育会」で会長を務めた。現場の代表として全国規模で行われる研修や会議に出席。同じ立場の仲間と知り合い刺激を受けた。「保育士の横のつながりを実感できた。悩みや課題を共有して、勉強させてもらった」と振り返る。現在は同園の主任保育士として、園児だけでなく後輩職員も含めて見守っている。「(責任者として)何かあった時だけ出て行っても、保護者にも職員にも信じてもらえない」と、普段からあいさつを基本に声をかけ、園児や保護者はもちろん同僚ともコミュニケーションの積み重ねを大切にしている。
○…中原区にある商店街で生まれ育った。電気工事店を営む両親に代わり、幼い頃から弟の面倒を見ていた。小さい子どもが好きで、いとこや近所の子どもたちの面倒を見るうちに、自然と保育士の道へ。働くようになり、子どもと遊ぶだけではなく、保育のプロとして使う言葉や伝え方など、考えることの多さに驚いた。「若い頃は保護者や先輩に温かく見守られていた。周りが自分を育ててくれた」
○…子育てや保育とは「生きていく力を育てること」だと感じている。「できた、できないという結果ではなく、子どもたちに何を経験させてあげられるかが大切」と明るい笑顔に。同園では区内でじゃがいも堀りやみかん狩りを行っている。「自然が残っている多摩区はすごい。地域の方に助けてもらっている。次の代でもっとこの園がよくなるように、育ててもらった恩を返していきたい」
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2021年2月26日号
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