SKIPシティ国際Dシネマ映画祭とは
21世紀、映画のスタンダード、デジタルシネマにフォーカスした映画祭
デジタルツールの普及によって、映像クリエイターの表現は年齢や経験、国境をも越え、新たな広がりを見せると同時に、様々なビジネスチャンスも生まれています。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、第一回開催の2004年当初から、現在では映画製作の主流となったデジタルで撮影・制作された作品のみにフォーカスした国際コンペティション映画祭です。
世界中から、エンターテインメント性と新たな表現の可能性を感じる作品を公募し、次代を担うクリエイターを発掘することにより、新たな映像産業の発展に寄与することを目的に、毎年開催しています。
本映画祭の中核である「コンペティション」には、国際コンペティションと国内コンペティションがあり、長編作品を対象にした国際コンペティションは広く世界中から応募された作品を、長編部門と短編部門の二部門で構成される国内コンペティションは、日本の若手映像クリエイターの作品を厳選して上映します。2020年は過去最多となる106の国と地域から、合計1,169本の応募がありました。
第一次審査を経てノミネートされた作品は、国際コンペティション、国内コンペティションともに国内外の映画業界の第一線で活躍する方々で構成される審査員によって審査を行い、最終日に最優秀作品賞をはじめとする各賞を発表します。また両コンペティションを通じた国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対し「SKIPシティアワード」が贈られます。
全作品は、4Kデジタルシネマプロジェクターにて最高クラスの上映環境でお届けします。
また期間中には、審査員や作品関係者をはじめ、世界各国からゲストが参加し、観客の皆様との交流も図っています。
続々と羽ばたく新世代の才能
これまで本映画祭で上映された作品や監督の多くが、その後国内外で目覚ましい活躍を見せています。 海外作品では、2007年に『うつろいの季節(とき)』で長編部門(国際コンペティション)最優秀作品賞を受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督が『スリー・モンキーズ』(08)でカンヌ国際映画祭監督賞、『昔々、アナトリアで』(11)で同グランプリ、『雪の轍』(14)で同パルムドールと、3作連続での受賞を果たしました。
また本映画祭の上映を経て劇場公開された『シンプル・シモン』[2011年長編部門(国際コンペティション)審査員特別賞]や、『孤独のススメ』[2014年長編部門(国際コンペティション)最優秀作品賞/映画祭上映タイトル『約束のマッターホルン』]、『彼の見つめる先に』[2014年長編部門(国際コンペティション)脚本賞]、『世界で一番ゴッホを描いた男』[2017年長編部門(国際コンペティション)監督賞/映画祭上映タイトル『中国のゴッホ』]、『家へ帰ろう』[2018年国際コンペティション観客賞/映画祭上映タイトル『ザ・ラスト・スーツ(仮題)』]、韓国の名優キム・ユンソクの監督デビュー作『未成年』[2019年国際コンペティションノミネート]といった作品のスマッシュ・ヒットは大きな話題となりました。
国内作品では、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で2009年長編部門(国際コンペティション) SKIPシティアワードを受賞した白石和彌監督が『孤狼の血』(18)、『凪待ち』(19)をはじめ立て続けに話題作を手掛け、今年は『孤狼の血 LEVEL2』(21)の公開が待ち望まれるなど、今や日本映画界のトップランナーへと飛躍しています。
また、2012年長編部門(国際コンペティション)で監督賞・SKIPシティアワードをW受賞した『チチを撮りに』の中野量太監督は、商業映画デビュー作『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)が日本アカデミー賞の二部門で最優秀賞を受賞し、続く『長いお別れ』(19)、『浅田家!』(20)でも国内外から高い評価を受けているほか、2013年長編部門(国際コンペティション)審査員特別賞受賞『神奈川芸術大学映像学科研究室』の坂下雄一郎監督は、その後『東京ウィンドオーケストラ』(17)、『ピンカートンに会いにいく』(18)と二作連続でオリジナル脚本による商業映画を発表しています。
ほかにも、2015年に『テイク8』で短編部門(国内コンペティション)奨励賞を受賞した上田慎一郎監督は『カメラを止めるな!』(17)で社会現象を巻き起こし、2018年の国内コンペティション(長編部門)優秀作品賞・観客賞をW受賞した片山慎三監督の『岬の兄妹』は興行的にも大きな成功を収めるとともに、第29回日本映画批評家大賞新人監督賞を受賞しました。直近では、昨年公開された『滑走路』(20)の大庭功睦監督(『キュクロプス』で2018年国内コンペティションノミネート)、今年公開の『写真の女』(20)の串田壮史監督(2020年同作でSKIPシティアワード受賞)、『コントラ』(19)のアンシュル・チョウハン監督(2020年同作で国内コンペティション長編部門優秀作品賞受賞)など、今後の活躍が大いに期待される新鋭監督が本映画祭から輩出されています。
本映画祭は、“若手映像クリエイターの登竜門”として、まだ知られていない新たな才能の輩出を目指すとともに、チャレンジ精神に溢れたクリエイターが世界に羽ばたいていくことを願っています。