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では、ここから具体的な勉強方法に入りましょう。まず、英語という言語の性質を踏まえた英語力アップの方法を理解することがとても大切です。
わかりやすい比較対象として、日本語と比較しながら、英語という言語の性質について話をします。この表をみてください。
日本語 | 英語 | |
1.文法 | 複雑 | かんたん |
2.日常会話に必要な最低単語数 | 約2,000余りの常用漢字 | 最低10,000の単語 |
3.言葉のリズム | 抑揚なし | 抑揚あり |
僕が、過去の留学経験なども踏まえて整理すると、まず、英語は文法がとても単純なので、これで苦労する人はまずいません。受験勉強などをやっていた際に、SVOやSVCと行った英語の基本文法を学んだことを覚えていると思いますが、英語は、この二つの文型に3つを加えた基本5文型で、大半のことが表現できる、とてもシンプルな言語なんですね。
あとは、省略や倒置などありますが、実際の会話では、ネイティブでも頻繁には使っておらず、大変の人は、この基本5文型で会話していいます。一方、日本語は、助詞や助動詞も含めてかなり文法が複雑です。僕のアメリカの友人の多くも、日本語は世界でももっとも複雑な言葉の一つだとよく言っているのでこれは間違いないですね。
しかし、ここにトレードオフがあって、英語が文法がシンプルな分、複雑な表現ができなかったりするので、例えば、ブレインストーミングのような抽象的な会話をする場合は、僕の体験上、英語より日本語の方が向いています。英語は、この文法の単純さを補うために、ボキャブラリー力(単語力)を要求します。留学時代にお世話になった現地のTOEFLの試験問題などを作っている語学の先生に教えてもらったのですが、日常会話に必要な単語数は、日本の新聞を読むための常用漢字2,000の約5倍の10,000は最低あった方が良いと言われました。これで、更に大学や大学院留学を考えているなら、30,000単語ぐらいは身につけた方が良いと言われました。英語=ボキャブラリーがキーの言語であると理解してください。ボキャブラリー力を継続的に上げていくのが、英語上達の第1のカギです。
なので、英語力アップにおいて、文法については、中学時代や高校時代に使っていた文法の参考書を復習するレベルで十分です。
そして、言葉のリズムについてもお話すると、ここが日本人が、スピーキングが苦手な人が多い理由の一つなのですが、英語の持つ言葉のリズムに慣れていないからです。日本語というのは、言葉の発音が英語に比べると圧倒的に平坦なんですね。冷静に話がしやすい言葉でもあるのですが、英語は抑揚のリズムがあるので、このリズムに合わせて話せないと聞き取りずらいのです。この点のトレーニングについては、リスニング・スピーキング編にまとめているので参考にしてください。
目次 [閉じる]
ニュース読解+要約トレーニングでボキャブラリー力をあげる
これは、実際に、僕がニューヨークで仕事をしていた際にやっていた手法です。まず、事前にお伝えすると、よく受験勉強などで使う単語帳の丸暗記というボキャブラリーの身につけ方がありますが、あれは、実践的に使える英語力をアップさせるという観点からいうと、最悪なほど効率が悪い勉強方法です。絶対に止めましょう。単語は、文脈に沿って適切なものを選択しなければなりません。僕は実際に留学時代に、語学の先生に「意味の理解は間違っていないけど、その単語はこういうときには使わないよ」ということを幾度も指摘され、日本で流行りの受験勉強による単語力アップが如何に役に立たないかを身にしみて体験させられました。
Step1.仕事や好きな分野の英語のニュースサイトを1つか2つピックアップする
例えば、ファッション系、金融系、など自分がよくニュースをチェックする分野の英語版メディアを見つけるということです。僕の場合は、当時は、金融にいたので、Finantial TimesとWall Street Journalを選択しました。仕事で関わっている業界のボキャブラリーは第1に必要ですし、仕事でもよく使うので、特定の文脈で正しい単語を使って話せるようになるまでのスピードが早いです。
Step2. 1日1つ、そのサイトから記事を選ぶ
ここで、まず、リーディングのトレーニングをします。記事はあまり長いと、1時間という時間内に最終のトレーニングの目標まで終わらないので、A4の紙で1ページぐらいのサイズの記事を選んでください。どうしても気になる記事であれば長くても仕方ありませんが、加減は自分で判断しましょう。
Step3. 1回目は、辞書は使わず読む
先ほどお話したように、英語というのはボキャブラリー力がかなり重要ですが、単語力がまだ十分ない中でも、相手が何を言っているのかある程度、予想する理解力が大切です。その内容を予想する力を養うために、1回目は、辞書なしで読んでください。そして、ここで、自分が1回目でどの程度内容が把握できるのかを絶えずチェックしてください。理由は、1回目のリーディングで、ほとんど辞書なしで正確に意味が理解できるようになってきているという実感があれば、ボキャブラリー力がかなり上がってきているので、このリーディングトレーニングはそろそろ終了しても良いサインになります。
Step4.辞書で単語の意味を調べながら記事の内容を正確に理解する
2回目のリーディングでは、しっかり辞書を調べて、文章内容を正確に理解してください。この時に、1回目の文章理解との差に気づくと思います。この理解の差=ボキャブラリー力です。後、この際に、日本語版サイトがある英語メディアで、同じ記事の日本語訳を参考にしたりすれば良いと考えるかもしれませんが、絶対に止めましょう。これをやってしまうと、意味類推を日本語訳でできてしまうので、英語の記事を「分かった気になってしまう」のですね。これでは、一向に、ボキャブラリーや文脈を理解しながら、正確に意味を類推するという能力が養われて行かないので、折角のトレーニングの効果が半減します。
英語辞書については、英辞郎がもっとも使えます。後、最近は、Google検索で、「英単語(例:Flower)スペース意味」と検索すると、Google翻訳の回答がすぐ出るのでたまに使っています。
英辞郎はこちら
Step5.記事の内容を、3分の一に要約する
次に、文章を自分で要約してください。この要約というのは、元の記事を削るということではありません。元の記事の内容を損なわず、自分なりの表現で、短い文章にまとめあげる作業です。つまり、ライティングのトレーニングです。これと同時に、実際に文脈に沿った単語を選択するトレーニング効果も得られますし、文法のチェックにもなります。そうすることで、最終的に、この作業をすると、英語でものを考える力(=僕は英語脳と呼んでいます)がかなり鍛えられます。そして、最近のMicroSoftのWordやAppleのPagesには文法チェック機能も入っているので、それも上手く使ってください。いきなり完璧にできなくてもいいので、続けてください。この作業をすると、英語でものを考えられるようになってくるのでかなり効果的です。
Step6.要約した文章を3回音読する
この目的は、単語の発音をきちんと覚えることと、英語のリズムに沿った言い回しができるているか確認することです。リーディング・リスニング編でお伝えしますが、日本人がよくアメリカ人などのネイティブ・スピーカーに指摘されるのが「文法的に正しいのだけど、そういう言い回しはあまりしないよ。こうやって言うんだよ」ということです。これは、英語のリズムに関係しています。英語のリズムが理解できてくると、要約した文章の内容もより英語らしい表現になって行きます。それを自分で体験して改善して行けるようにあえて声に出して読むのです。1回読んだ後に、言い回しを修正、これをもう2回行い、3回目の要約の音読のときには、ほぼネイティブらしい言い回しができるようになって行きましょう。この言い回し改善をしていくと、スピーキング・トレーニングと合わせて行った際に、学習効果が倍増して行きます。
まずは3ヶ月続けてください。できれば、週5ぐらいの頻度でできると短期間でボキャブラリーと英語脳がかなり短期間に鍛えることができます。
そして、これに慣れてきたなと思ったら、次のレベルに進みます。
英語で日記をつける
これをやると、更にボキャブラリー力と英語脳を鍛えることができます。なぜなら、先ほどのニュース記事の要約文を考える場合は、すでに元のネタがあるので、ゼロから文章を考える必要がないのですね。この日記をつける方はゼロから英語で考えるのでなかなか大変です。ゼロから文章を考える=スピーキングの予備トレーニングの効果があります。スピーキングは、僕の感覚からすると、ライティングをよりスプリントのように瞬発的に文章を考えながら相手と会話するような世界です。なので、ライティングで基礎トレーニングを積んでおけば、後は、その英語脳の瞬発力を上げていくような感じでスピーキング力をアップさせていくことができるので、スピーキング力のアップがスムーズに達成していけます。
書く文章内容は、初めは、本当に、今日1日あった出来事やそれに対して感じたことなどから初めてください。とても書きやすいです。だんだん、それに慣れてきたなと感じたら、自分の関心が強い何か1つの問題や課題に対する意見や考えをまとめてみましょう。けっこう、深く考えないと書けません。僕は、これを実際に公開ブログとしてやっていました。日本経済の問題とか、日本の文化と海外の文化との違いなんかを書くのですね。かなり、いいトレーニングになります。
この日記も書き終わったら、必ず音読して、言い回しを3回修正するようにしてください。
一つ目の読解+要約のトレーニングでも、慣れていないと1時間はかかると思います。慣れてこれば、30分ぐらいでできるようになります。二つ目の英語による日記も同じぐらいです。なので、まず、一つ目からスタートして、慣れてきたら、二つ目を1日交代でやるようにするのが良いです。ボキャブラリー力がかなりついてきたら、二つ目の意見や考えを辞書などを使いながら書いていくだけにするのが良いです。
そして、別途、まとめているリスニング・スピーキング編と合わせて実践することで、更に学習効果は倍増します。
1日60分毎日続けられる英語力アップの方法ースピーキング・リスニング編
いかがでしたでしょうか?
皆さんの英語力が1日でも早くアップし、より豊かな人生を送れることを祈っています!