ハイヒールをはいた外科医 アメリカ臨床留学の道

純日本人。日本の片田舎で生れ育ち、特別な語学教育はなく日本の医学部を卒業。そんな私がアメリカで外科ResidencyおよびFellowshipを修了し、Attendingとして働いています。 これから臨床留学を目指す方へ、少しでも参考になればと思います。

面接のコツ 話し方

ついに今年のResidency応募のプロセスが本格的に開始になりましたね。
以前 ”面接に呼ばれたら" というタイトルでも少し述べましたが、
今回はもう少し面接の際の会話のコツについてまとめられればと思います。
まずは話し方と態度から。

面接ってどんなものでも多少緊張すると思います。これまで一生懸命目指してきた
臨床留学が出来るかを決めるような面接ならなおさらですよね。
でも相手に過度の緊張が伝わってしまい、余裕のない人だなと受け取られて
しまっては残念です。緊張の具合は話し方にも表れることが多いです。
早口になってしまったり、どもってしまったりすることがあるので、
緊張している時には普段よりゆっくりと話すように気を付けてください。
特に英語にアクセントのある日本人の場合は早口になると聞き取りにくく
なることがありますので、はっきりゆっくり話すことを心掛けてみてください。

また、会話が終わりそうになると焦って何か話さなければと言わなくても
いいことをぺらぺらと話し続けてしまう、そんなこともよくあります。
言いたいことを言い終わったら何も言わず相手の出方をうかがって構いません。
一人でずっと話し続けていると、コミュニケーションがとりにくいような
印象を与えてしまいます。会話はキャッチボールなので、聞かれてないことまで
どんどん答えたり同じ答えを繰り返したりするよりも、相手の出方を伺いながら
話を進めていくのがいいのではないかなと思います。
もちろん場合によっては少しくらいの脱線はかまいません。

とはいえ、静かすぎてそのプログラムに興味がないような印象を与えるのも逆効果です。
面接に呼んでもらった喜びや臨床留学に対する熱意はぞんぶんに伝えましょう。
自分が話すだけでなく、多少自分から話を振るということができれば印象はさらに
良くなると思います。上手に相手に質問できるといいですね。

要するに、落ち着いた余裕を見せつつ自分の夢や希望への熱意にあふれ、相手の
誘導に合わせて上手に会話のキャッチボールができる人が面接で好印象ということ。
大変そうですが、しっかり練習すれば上手になっていきます。

〇〇がないから臨床留学できない?

アメリカでResidencyやFellowshipを目指す方からよく、自分はUSMLEの点数が
低いので難しそうとか、コネクションがないので難しそう、というお話を聞きます。
でも臨床留学って、すべて完璧に試験の点数やCVが整っている人だけのものでは
ありません。逆に言うと、これさえできていれば100%留学できるというものは
ないと思うんです。

留学に必要な要素って、フィギュアスケートや体操競技の得点みたいなものです。
どれか一つの要素が優れていても他ができていないと全体の点数は低くなります。
1つの項目が低い点数でも、他の項目で頑張ればそれなりに全体点は上がりますし、
どれか飛びぬけていい項目がなくても全体がバランスよければ点数は高くなります。
そしてどの項目の点数が重視されるかは、プログラムによって変わったりもします。

以前 ”学生のうちからできること” というタイトルでResidency応募に関して何が重要か
上げましたが、医学生でもそうでなくても重要なことは同じだと思います。

1.英語、コミュニケーション能力
2.USMLEの点数
3.学校の成績
4.ボランティア活動
5.研究や発表
6.コネクション

これに多少の運の要素も加わりますが、各項目の内容を充実させておくことで
臨床留学できる可能性を上げることができます。
学校の成績は、他の項目よりも若干優先度低めかもしれません。
ちなみにこの中にあるコネクションも努力で得られるものです。
コネクションがないという方はアメリカの病院に見学に行く、学会に参加する、
留学経験者とコンタクトをとる、海軍病院でFellowshipをするなど色々な方法が
ありますので試してみてください。

フェローから行きやすい科 

Fellowshipの中にはアメリカでResidencyを終えていなくても入りやすい科と
入りにくい科があります。

内科の場合手技の多くなるような科は人気が高いですね。これは研修後のお給料が
高いことなども関係しています。呼吸器内科、消化器内科、心臓血管内科などが
これにあたります。Fellowshipのプログラムの中でもほとんどのポジションが
埋まってしまいますので、ACGMEの認可を受けているような正規のプログラムを
目指すならばResidencyから開始したほうが確実に入っていけるでしょう。
逆に老年医療、腎臓内科、感染症内科、終末期医療などはポジションの埋まらない
プログラムが毎年数多くあり、フェローシップからでも行きやすいと思います。
同じ心臓内科でもカテをする心血管内科と違って心不全や移殖を担当する科はあまり
人気がなくポジションが埋まらないのでおもしろいですね。

外科でいえば、専門医をとれる科はほぼポジションに空きがでません。
下部消化器外科、小児外科、腫瘍外科でフェローがマッチしないプログラムは0です。
胸部外科や血管外科でわずか数か所マッチングで埋まらないプログラムが出ますが、
内科で科によってアンマッチプログラムが数十件あるのと比べるとかなりの違いです。
唯一空きが多いのは集中治療のフェローシップですね。
逆に言うと専門医の認定のもともとないような科ではもう少し空きがでます。
外傷外科や移植外科などがこれにあたりますね。外科でResidencyを経ずに
Fellowshipから来ている先生が多いのはこの二つの専門科かなと思います。
(外傷外科はだいたい集中治療と一緒になっているので完全に認定外ではないですが)
もちろん人気の専門分野でも非正規のプログラムで日本人が採用されることは
あります。これは非正規なので、正規のプログラムとは違ってプログラムを修了しても
専門医試験を受けられずResidencyを修了した人からは人気がないからです。

どの専門分野であっても立場を選ばずにいればフェローシップからの留学が
不可能ではないとは思いますが、人気の科でフェローシップができる可能性を
上げるならResidencyから始めるのがいいのではないかと思います。
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