# 日本経済

大蔵省の「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」いまだからウラ話を明かそう!

銀行はあれから「安泰」ではなくなった
小野 一起, 高橋 洋一 プロフィール

「3メガバンク」だって安泰ではない

小野 銀行でいえば、かつては金利や店舗が規制された世界で確実に儲けられる仕組みがあった。それが、どんどん規制が外れていくプロセスで、利益が細っているわけですね。

高橋 長信銀がなぜ滅びたのかをきちんと理解すれば、これから中抜きがどんどん進むことを予測できなければいけない。あと銀行の人たちは不良債権問題で危機に陥った時、もっと知恵を出して、どうやって付加価値を生み出すかを考えないといけなかった。私にはいまの銀行員はさぼっているように見えます。

小野 ただ、大手銀行の再編がガーッと進みました。かつては大手20行体制でしたが、今や3大メガバンクとりそなグループ、それに三井住友信託の体制になりました。

高橋 3大メガバンクの体制も危ういと私は思っていますよ。

 

間に入って鞘を抜いているビジネスをしている限り、これから大変です。それから小野さんの出身業界のマスコミも、同じでしょう。インターネットを通じて、いろんな人が情報発信している。それで新聞や雑誌が売れなくなるのと一緒じゃないですか。

小野 それはその通りです。面白ものを作って、付加価値を生まなければ、マスコミも中抜きされて、将来を描けなくなるでしょうね。

▼4月13日(月)『よこどり 小説メガバンク人事抗争』発売 著者:小野一起

【内容紹介】

自分を失った男たちへのレクイエム!
組織は、あなたからどこまで奪うのか!

メガバンクを舞台に「失われた30年の真因」を問う、緊迫のエンタテインメント。

「細部の圧倒的なリアルさ。銀行小説の新たな金字塔だ」――楡周平(作家)
「失われた30年の真因と処方箋が鮮やかに浮かび上がる」――冨山和彦(経営共創基盤CEO)

【ストーリー】

AG住永フィナンシャルグループの広報部長、寺田俊介は記者とのインタビュー中に
社長の竜崎太一郎が漏らした一言から、自らの出世の可能性を嗅ぎ取る。
吸い寄せられるように竜崎に服従する寺田は、経営難に転落した大手不動産をめぐる情報戦や大手証券との再編、バランスシートの膿、竜崎と相談役の人事抗争…と次々に訪れる難題に直面。掟破りの手段へと手を染め、メガバンクを覆う深い闇へと足を踏み入れていく――。

元共同通信日銀キャップの著者が本作『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で巨大銀行の仁義なき権力闘争に迫る!

【著者】

小野一起(おの・かずき)

本名、小野展克(おの・のぶかつ)。1965年、北海道生まれ。慶應義塾大学卒。共同通信社の記者として、メガバンクや中央省庁等を担当、経済部次長、日銀キャップを歴任。現在は名古屋外国語大学教授、世界共生学科長。2014年に『マネー喰い 金融記者極秘ファイル』(文春文庫)で作家デビュー。本名の小野展克で『黒田日銀 最後の賭け』(文春新書)、『JAL 虚構の再生』(講談社文庫)など経済系のノンフィクションの著書多数。

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