Long-COVID──回復後に起こる筋痛症性脳脊髄炎/慢性疲労症候群
Frontiers in Medicine誌より

2021/02/25
平山幹生(春日井市総合保健医療センター参事)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症、いわゆるLong COVIDと呼ばれるCOVID-19回復後の慢性疾患に関するレビューである1)

 米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査陽性だった約300人を数週間追跡した。検査陽性の3週間後、患者のほぼ半数がまだ倦怠感や咳などの症状を示していた。特に高齢者や慢性疾患患者で顕著であった2)。イタリアの研究者らは、COVID-19患者143人について、重症から回復した段階で調査したところ、発病から60日後、患者の半数以上が引き続き幾つかの症状を呈し、41%が生活の質が悪化していたと報告した3)。アイルランドの研究者らは、PCRで確認されたCOVID-19患者128人を調査し、最初のCOVID-19関連症状から10週時点(中央値)で52%が持続的な疲労を感じ、31%が仕事に戻れなかったと報告した。疲労とCOVID-19の重症度の重症度、または炎症と細胞の代謝マーカーとの関連は認められなかった4)

 COVID-19の患者団体が英国ユニバーシティカレッジロンドン、米ウェイルコーネルメディシン、米オレゴン健康科学大学と共同で、2019年12月から2020年5月までの間にCOVID-19から続く症状に関する患者による自己申告をまとめるオンライン調査を実施した。調査は257の質問で構成され、56カ国の3762人の患者(18歳以上)が回答した。回答者のうち、8.4%が入院例、27%がPCR検査陽性例だった。発病後7カ月で、疲労、運動後の倦怠感、認知機能障害(筋痛症性脳脊髄炎[ME]/慢性疲労症候群[CFS]の全ての主要症状)を報告したケースはそれぞれ77.9、71.2、56.8%であった。67.5%は発病前と比較して、就労が困難、もしくは業務量を減らす必要があった5)

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