今回はスペイサイドモルトから、カーデュ スペシャルカスクリザーブを飲みます。

お手頃なシングルカスク

_DSC3546_01ゲール語で「黒い岩」という意味を持つカーデュ蒸溜所は、1811年に農家を営んでいたジョン・カミングによって創業しました。しかし当時はまだウイスキーに多額の税金をかけられていたため、農閑期にこっそり密造していました。
1824年に酒税法が改正され、カーデュ蒸溜所は政府公認となり堂々と製造を始めます。
経営はジョンの息子ルイス、その後彼の妻エリザベスへ引き継がれました。エリザベスは蒸溜所の改築を始め、ウイスキーの製造で大きな改善を図ったことで、カーデュの原酒は名を上げていきます。
そして1893年に、ジョン・ウォーカー&サンズ社が蒸溜所を買収、後にジョニーウォーカーのキーモルトの一つとして使われるようになりました。

今回飲むスペシャルカスクリザーブは限定ものであり、一つの樽だけから取り出された原酒のみを使うシングルカスクウイスキーです。

一般的なシングルモルトは、同一の蒸留所であっても異なる樽の原酒をヴァッティングして作られますので、ブレンダーの手によってある程度均一な香りと味わいが保たれます。

しかしシングルカスクになると、同じモルト原酒、樽材、チャーの度合いであっても、樽によって香りや味わいに差が生まれますので、使われる樽ごとに印象が異なる可能性があります。

このスペシャルカスクリザーブのボトルにはバッチナンバーがつけられていて、どの樽からボトリングしたかを明記しています。
ただ、バッチナンバーからどの時期の樽なのかを特定する方法は公開されていません。

海外のサイトで、私の手にした12.13というナンバーについて調べてみたところ、おそらくは2012年にボトリングされたという情報を手にしました(何年熟成されているかは不明)。

12年物よりマイルド

グラスからの香り、液色

グラスからは白ワインや日本酒のような華やかな香りを感じます。
液色は少々淡い琥珀色です。

ストレート

アルコールからの刺激は少なめで、白ブドウの香りのあと、シナモン、青りんごの香りが続きます。ほとんど香ばしさは感じられません。
味わいは、多少辛みがあるものの、酸味がしっかり広がり、奥からは軽く苦みが出ます。

ロック

白ブドウ、シナモン、青りんごの香りはさらに際立つようになり、奥からは樽のウッディな香りも感じられるようになります。

味わいは、少々苦みが増えるものの、依然として酸味が主体であり、後味に甘みを感じるようになります。
加水が進むと苦みが薄くなり、甘みが目立つようになります。

ハイボール

青りんごの香りが前に来るようになり、シナモンがそれに続く印象です。奥からははちみつを思わせる甘い香りが追いかけてきます。
味わいは苦みや酸味が抑えられ、甘みが支配するようになり、飲みやすさが増します。

まとめ

レギュラーの12年は苦みが目立って個人的にはおいしいとは思わなかったのですが、この12.13のカスクは苦みが抑えられ、12年以上の熟成感を感じるほどです。
ストレートでは酸味が強いですが、加水すると甘みが出てきます。

シングルカスク上に香りや味わいの幅はレギュラーよりも狭まりますが、却って雑味が少なく、ウイスキーを飲みなれていない人でもとっつきやすいように感じました。

700mL、アルコール度数40度、価格は4500円ほどです。
シングルカスクになると1万円を超えてもおかしくないことを考えると、このボトルはとてもお買い得に思えます。
ネットでも別のバッチナンバーのついたボトルが流通していますので、飲み比べるのもいいでしょう。

<個人的評価>

  • 香り B: 白ブドウの香りが先立ち、青りんご、シナモンが続く。加水でウッディさも。
  • 味わい C: ストレート、ロックでは苦みが目立つが、基本的には酸味がメイン。加水で甘みが増す。
  • 総評 B: シングルカスクがお手軽に飲めるのはうれしい。レギュラーよりも飲みやすい。


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