首都圏除く6府県、28日で緊急事態宣言解除を決定
時短要請は継続、協力金1日4万円目安

政府は26日、新型コロナウイルス対策で10都府県に発令している緊急事態宣言について、首都圏を除く6府県を28日で解除すると決めた。対象地域は飲食店の営業時間短縮などの感染防止対策を段階的に緩和する。首都圏1都3県は新規感染者数の減少が鈍く、宣言の期限である3月7日で解除できるか慎重に見極める。
28日をもって先行解除するのは関西圏の大阪、兵庫、京都、中部圏の愛知、岐阜と福岡の計6府県。首都圏は医療提供体制の状況もみながら来週に改めて判断する。
菅義偉首相は26日、首相官邸で開いた政府の新型コロナ対策本部で「新規感染者数は目に見えて大きく減らすことができた。入院者や重症者の数も少なくなり、医療機関の現場の負担も減ってきている」と説明した。
首都圏に関しては「感染者数は減少しているが、医療提供体制の状況が依然として厳しい」と対策本部後に記者団に語った。宣言再延長の可能性は「政府としてはあらゆることを考えている」と否定しなかった。
宣言を解除しても感染が再拡大しないように、感染防止対策は段階的に緩める。
これまで宣言の対象地域の飲食店に午後8時までの時短を求めてきた。要請に応じた事業者には1日最大6万円の時短協力金を支給してきた。
解除後も時短要請を継続するが自治体の判断で営業時間を延長できる。国は引き続き協力金を支給して時短要請を促す。
西村康稔経済財政・再生相は26日夜の記者会見で、解除した地域は午後9時までの時短要請に応じた事業者には1日あたり平均4万円、午後9時より遅ければ同2万円を支給すると発表した。自治体の判断で売上高などの規模に応じて支給額を変えられるようにする。3月末までを念頭に実施する。
大規模なイベントへの参加人数も徐々に増やす。これまでは最大5000人で定員の50%までに制限してきた。解除後1カ月程度は最大で1万人まで引き上げる。
感染力が強い変異ウイルスの海外からの流入を防ぐため、水際対策の強化も続ける。首相は対策本部で来月から「短時間で検出できる新たな方法の検査を全ての都道府県で実施する」と語った。
外国人の新規入国のほか中国や韓国など11カ国・地域を対象にしたビジネス往来の停止は宣言解除後も当面の間、維持する。国内外の感染状況を分析し、外国人の新規入国を認めるか協議する。
一時停止している国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」の再開は見送る。政府は昨年12月に全国でトラベル事業を一時停止した。再開する際は補助額の上限引き下げや、当面は県内や隣接地域の旅行に限るなど条件の変更を検討する。
宣言の解除は専門家が示した4段階の感染状況をもとに総合的に判断する。4段階で最も深刻な「ステージ4」からの脱却が条件で、病床や新規感染者数など6つの指標が基準になる。首都圏は感染者数の減少が鈍り、病床使用率は埼玉や千葉で「ステージ4」の基準の50%を上回っていた。
期限の3月7日までに解除できるよう、対策の徹底を呼びかける。不要不急の外出自粛や飲食店の午後8時までの時短要請、テレワークの徹底による出勤者7割削減などを求める。
専門家で構成する26日の基本的対処方針等諮問委員会では変異ウイルスへの懸念が示されるなど、今回の先行解除に慎重な声も上がった。西村氏は感染が再拡大する兆しがある場合は宣言に準じる「まん延防止等重点措置」を機動的に活用する方針を示した。
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