- 9月20日 中国四国ウイルス研究会(於 出雲市)にて成果の一部を発表
- 7月10日 広島ホームテレビ「みみよりライブ5up!2部」にて、県内コロナウイルス第2波について解説
- 5月22日 テレビ新広島「プライムニュース」にて、新型コロナウイルスについて解説
- 各種新聞へ関連記事多数掲載
研究者INTERVIEW 1
広島大学の叡知を結集して新型コロナウイルスに立ち向かう
大学院医系科学研究科 教授 坂口 剛正
新型コロナウイルスに立ち向かうべく、医学・歯学・薬学・保健学の医療系の研究室が一丸となって(名称:広島大学CoVピースプロジェクト)、PCR検査体制の確立、ウイルス治療薬の探索、ウイルス検査方法の簡便化などの多方面のプロジェクトを進めています。ウイルス学研究室は、その中心としてP3高度封じ込め実験施設での新型コロナウイルス培養実験を行っております。始まってまだ間もないですが、すでに学内の薬剤シーズの中からウイルス増殖を抑制する薬剤を見つけ、その標的である細胞側の蛋白質を同定しています。今後は早く成果を出してウイルス制御に貢献していきたいと考えています。
研究者INTERVIEW2
小分子RNA解析技術を用いた新型コロナウイルス診断・創薬への応用
大学院医系科学研究科 教授 田原 栄俊
私たちは、qRT-PCR法による新型コロナウイルス診断の感度、特異度および簡便性を考慮に入れた診断技術の開発を進めています。また、その検査の精度向上を目的に、簡便かつ多検体できる自動化の機器開発を推進しています。さらに、次世代シークエンス解析による新型コロナウイルスの遺伝子変異解析によりウイルスの質的な変化の解析を行っています。これに加えて、臨床的に、コロナウイルスの感染時に、新型コロナウイルスで重症化するかどうかを判別できる診断技術の開発が必要視されています。そこで、これまでに私たちが進めてきた創薬バイオマーカー拠点を主体としたがんやアルツハイマー型認知症バイオマーカーの開発技術を応用して、体液中にある小分子RNAなどの遺伝子を次世代シークエンスにより網羅的に解析することで、重症化予測できる診断技術の開発を行います。このような唾液や血液など多様な体液検体を用いた次世代シークエンス解析による網羅的遺伝子解析は、小分子RNA等の核酸を用いた新型コロナウイルスの治療薬へと展開できる可能性があります。本研究により、日本国内の検査センターで使用可能な検査の自動化を加速させ、新型コロナウイルスの診断精度を加速化できる技術の開発を行い、創薬応用可能な新型コロナウイルス遺伝子解析データベースを構築します。このようなデータベースは、小分子RNA等を用いた核酸医薬などを用いた革新的な新型コロナウイルスへの創薬応用が期待されます。
広島県で発生した新型コロナウイルス患者の一部の検体でウイルスゲノムを解読。
今後、更に検体を増やして新型コロナウイルスのゲノム解析を進める。
研究者INTERVIEW3
電力を必要としない、3Dプリント可能な人工呼吸器モデルで世界を救う
トランスレーショナルリサーチセンター 准教授 木阪 智彦
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界各地で人工呼吸器の需要が急増しています。特に新興国においては、もともと人工呼吸器の供給は極めて少なく、追加で購入する資金もほとんどないため、非常に深刻な状況にあります。
私たちの研究チームでは、電力を必要としない、図形データのみで制作できる「3Dプリント可能な人工呼吸器モデル」の開発を試みています。3Dプリンターと形成素材さえあれば、いつでも、どこでも、安価に大量生産することができ、また、使い捨てが可能なため、医療現場における二次感染リスクを抑えることができます。人を救い医療者の痛みを軽減するフルーガルイノベーション(frugal innovation: 低廉かつ高機能で臨床現場ニーズを捉えたイノベーション)で、必要とする患者のもとへいち早く届けられるよう努めます。
- 8月27日 欧州国の情報誌『euronews』に"The new Japanese technologies helping to fight COVID‐19"と題した特集を掲載
- 5月31日 国立病院機構の機関紙『NHOだより No.175』(令和2年5月発行)にCOVIDVENTILATORプロジェクトの紹介を掲載
- 5月21日 ITmedia NEWSに「3Dプリンタで作る人工呼吸器、経産省が補助金で支援」として掲載
- 4月9日 テレビ朝日「グッド!モーニング」にて、「3Dプリンターで作る人工呼吸器」プロジェクト紹介、他多数出演
- 各種新聞へ関連記事多数掲載
研究者INTERVIEW4
COVID-19による重症肺炎に立ち向かう: 体外式膜型肺(ECMO)を駆使した救命戦略に関する研究
大学院医系科学研究科 教授 志馬 伸朗
COVID-19肺炎は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を併発し、低酸素症性呼吸不全から致死的な転帰をとる重症病態です。これに対して、人工呼吸療法や体外式膜型肺(ECMO)を適用することで、低酸素症を一次的に回避し、肺を休ませることにより自己回復を期待する治療があります。当研究室では、COVID-19関連を含む急性呼吸不全に対するECMO治療を集約的に行い、肺障害悪化に関連するバイオマーカの探索をおこなっています。また、COVID-19関連ECMOに関する全国的レジストリの中心となり、良い転帰に関連する治療介入因子を同定し、より有効かつ安全なECMOの適用方法を模索していきます。COVID-19肺炎を"助かる病気にする"ことを目標に、研究を続けてまいります。
- 9月2日 中国新聞に「広島県のコロナ:第2波」として解説を掲載
- 6月27日 NHK広島にて、「ECMOnet・人工呼吸/ECMO講習会(広島)」について放送
- 4月22日 中国新聞に「新型コロナウイルスの重症化するケース」について解説を掲載
- 各種新聞へ関連記事多数掲載
研究者INTERVIEW5
病原体に対抗する抗体の解析を通じて、感染症を克服する
大学院医系科学研究科 教授 保田 朋波流
新型コロナウイルスなどの感染が起こった宿主ではウイルスを中和する活性を持った抗体が作られます。しかしこれは体の中に最初から存在するのでなく、弱く結合する抗体が形を変えながらより強い結合力を持った抗体へと進化を繰り返すことで生み出され、ウイルスの排除にとても重要です。私たちの研究室では抗体をつくるB細胞がリンパ組織の胚中心と呼ばれる場所で抗体の結合力を上昇させる仕組みについて研究しています。多岐に変異したウイルスに対し強力に結合する抗体遺伝子を体から取り出す技術や免疫反応を人工的に体外で起こす技術を開発することで有効な抗体を取得し、人類にとって脅威となる病原体に対抗するためのワクチン開発や医薬創生に貢献していきます。
9月12日 テレビ朝日「サタデーステーション」にて、COVID-19重症化予防を目的とした人工抗体治療について解説