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藍染めのはなし 完

さて仕込んだ藍はワークショップに
間に合うのでしょうか。。。

毎日3回撹拌して、水あめや泡盛を
与えて、過保護に過保護に育てました。


・・・結果から言うと

間に合いませんでした。


夏場は月に1回くらいのペースで
収穫ができるので泥藍作りも夏がメイン。

夏場のイメージが抜けきらず、
保険をかけて10日前から仕込んだんですが
前日までに間に合いませんでした。。。



     120312 1


ワークショップ前日の様子です。
少しだけ色が緑味を帯びています。

ただ、においもまだ泥藍のにおい。
試しに布を入れてみても液自体が青で、
一見染まったように見えるんですが
水洗いすると流れてしまいました。

前回のブログで書いたように
青の状態では染まらいのです。。。


今日中にポリの藍甕を会場に運んでおきたかたので
早々に「ムリ!」と判断。


     120312 2

ベテランで現役の藍甕から移しての
大移動作戦開始です。

この甕は大きくて100リットルくらい
入っているので40リットル2本は楽勝でした。


     120312 3

     120312 4

縁を泡盛で洗浄消毒殺菌。

車に積んで、夕方無事に会場へ搬入。
会場で撹拌して明日に備えました。


     120312 4-1

とても素直な藍で、キレイな色を出してくれました。



ワークショップもトラブルなく終わって2日後・・・。


     120312 5

キレイな藍の華が咲きました。

この藍色の泡が藍の華です。


     120312 6

この華は藍甕のバロメーター。
華の様子を見て健康状態を見極めます。

試し染めでも美しい色をだしてくれました。
全部で70リットルの新入社員です♪


さて、色々補足を入れておきましょうね。

その1での泥藍作りですが、ほとんどの場合
上澄みを捨てた後に泥藍を布などで濾して
どんどん水分量を減らしていきます。

濃厚な泥藍ができあがるはずです。

うちは還元菌のことを考えて上澄みを
多少混ぜ込んだ緩仕立てにしてあります。

インドからの輸入品だと


     120312 7
                   【写真:武庫川女子大学 牛田研究室より】

こんな感じの固形です。
王国時代の琉球も粘土の玉のようにして輸送していたそうです。

水分を抜いてしまった方が軽くなるので
輸送には適していたんですね。

ただ、完全に水分を抜いてしまうと
葉に含まれていた還元菌は全滅してしまいます。

固形の藍は薬品を使わないと建てれません。
苛性ソーダ+還元剤ハイドロという怖そうな組み合わせ。

このイメージがナンバンコマツナギのことを
よく知らない職人たちは、

「インド藍(ナンバンコマツナギ)は化学(薬品)建てだろ??」
「んなもん藍染めじゃねーよ!!」

と言ってしまうのです。
日本では育たない植物なんで
無理もないのですが・・・。

ちゃんと発酵建てできるんですよ。


上の方に3回撹拌して水あめ・・・と
書きましたが、これ建つまでの過保護政策です。

建ってしまった藍は、
うちでは朝、夕の2回撹拌。
正確には気温の上がる前と下がり始め
に撹拌しています。

染める朝は撹拌しません。

水あめ泡盛は、染めたあとに
ご褒美で与えています。


こんな感じです。
泥藍で藍染めしてみたいけど
やり方がわからない、という方へ
少しでも参考になればと書きました。

書ききれてないピヌムトゥ工房独自の
色々な工程はあるのですが、
ここだから有効ってこともあるので
あとは試行錯誤で色々試してみてください。


長々ありがとうございました。












     

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藍染めのはなし その2

藍染めのはなしの続きです。

前回、泥藍が完成しましたが
泥藍の状態では藍染めできません。

藍色のインディゴは水に溶けないからです。

化学的な難しい話になってしまうので
端折って簡単に書きますね。

インディゴは、無色のインドキシルと
酸素が結び付いて(酸化して)できています。
この無色のインドキシルは水に溶けます。

濃紺の泥藍を水に溶ける物質にしなければなりません。

どうするか??

藍の葉に含まれている発酵菌(還元菌)を
使って泥藍のインディゴから酸素を取って(還元して)
前の状態にもどしてあげるのです。

厳密にいうと、ロイコ化合物になるのですが
インディゴのひとつ前の水に溶けるものに
戻すと思ってくださいな♪

水に溶ける状態になれば、糸や布の繊維の中に
水と共にスゥーっと入っていきます。

繊維に入った所を空気に触れさせて酸化させれば
繊維の中でインディゴ(青・藍色)に変化して
水に溶けないものになります。
糸や布にしっかり染まるのです。

恐るべき先人の知恵ですね☆☆


さてさて工程の続きです。

ここからは「藍建て」の工程です。
還元が成功して染まる状態になったことを
「藍が建った」といいます。


まずは灰汁(アク)作りから


     120310 1

     120310 2

     120310 3

ピヌムトゥ工房ではガジュマルの木の
灰のみを使っていますが、雑木でいいので
炭を通り越して灰にします。

そこに水をたっぷりと注ぎます。

灰汁作りのマニュアルには
熱湯を注ぐと書いてあるのですが
スピードを求めなければ水でも良い
ということなので、今回は水で。

というか、70リットルの灰汁を
作りたかったので熱湯の準備が大変
だったというのが正直なところです♪

そのまま4,5日放置しました。
熱湯なら冷めて灰が沈殿すれば
使えるのですが。。

PHメーターで計ったところ
PH11~12になったので藍建て開始♪


     120310 4

前回のブログに載せた泥藍を
甕となる容器に入れます。


     120310 5

ここに先ほどの灰汁を注ぎます。


     120310 6

     120310 7

そして還元菌のご飯となる水あめや黒糖の糖分、
泡盛を入れていきます。
泡盛は必要ないという作家さんもいらっしゃいますが
うちでは、甕の縁の消毒効果と、建ってほしい希望や
染めたあとのお疲れ一杯の気持ちで泡盛入れています。

神事に酒を捧げるのに近いかな。

内地の藍の日本酒には意味があるみたいですが
その流れで蒸留酒である泡盛を入れてるみたいです。


     120310 8


そして撹拌。
さぁあとは菌頼み。

夏場だと3、4日あれば
建っちゃうこともあります。


泥藍と灰汁、糖分の分量ですが・・・。
正確なマニュアルがありません。。

ワタシが伝授されたマニュアルには
泥藍の倍くらいの灰汁をいれる、水を
まぜても良い。と書かれてはいるんですが、
すぐ横に「分量は勘で~」とありました(笑)

そして実際、倍以上の灰汁や水を入れて
建てていますが、ちゃんと建ちます。

それを作る場所(同じ八重山であっても各島で変わる)、
季節や気候、温度なんかに左右されるんで
カチっとしたマニュアルなんて作れないんですよね。

とにかく試行錯誤を繰り返すことに
尽きるんじゃないかなぁと思います。


この藍建てはワークショップの10日前です。
うまくたったら使う予定でしたが・・・。

気温が20℃以下の日がずっと続きました。
ナンバンコマツナギは、この八重山が
生息の北限とされているくらい暖かいところの
植物なので、気温が低いと反応鈍いのです。


さぁどうなることやら。。。


続きはまた・・・。



















藍染めのはなし その1

27℃くらいの暑い日がしばらく続きましたが
今日は夕方から20℃を下回りました。

夜になると少し肌寒いですね。


さて、先日開催したワークショップで使用した
藍のはなしです。

藍が染められるようになるまでには
なかなかの手間と天候がポイントなんです。

ちょっと順を追って書いてみます。

ただ、これうちの工房の場合です。
マニュアルってあってないようなものです。
同じ植物でも場所によって工程や条件が
変わってくるものなんですね。


     110416 2
     
これがうちで使っているナンバンコマツナギという
藍の木です。
そもそも藍ってインディゴを含んだ植物の総称なんです。

日本の代表的なものはタデ科のタデ藍(阿波藍、播磨藍、水藍)
沖縄はキツネノマゴ科の琉球藍、
そして八重山はマメ科のナンバンコマツナギ。

タデ藍は主に葉そのものを発酵させる 蒅(スクモ)。
沖縄地方では主に色素のみを抽出する 泥藍(ドロアイ)
を藍染めの素にします。

これからの工程は泥藍を使った藍建てです。


     110416 4

この枝葉を刈り取ります。


     110416 5

そして重石をして水に浸します。
これ、マニュアルによっては葉をギュウギュウに
詰め込むって書いてあるんですが、
うちはフワフワっと緩めに詰めて
途中で上下入れ替えます。


     110420 1

夏場だと18時間くらいで
こんな感じになります。
インディゴの素が水に抽出されます。
抽出時間は色とニオイで判断します。

これをネットなどで濾して葉を取り除きます。


     110420 3

そこに水で溶いた石灰を入れながら
撹拌します。
この石灰の量も場所によってマチマチ。
うちは少な目です。
色とPHで判断してます。

石灰なんで入れるの??って思いますよね。
ワタシもそう思ってました。

でもこれけっこう重要なものなのです。

石灰の沈殿効果、発酵を促す酵素がアルカリで
よく働くこと、腐敗防止などなどで必要なんです。


     110420 4

石灰の混ざった抽出液をこんどは
「すくっては落とし」を繰り返します。
空気を混ぜ込んで酸化させるためです。

400回~800回繰り返します。

これもマニュアルがあるのなら微妙ところです。
判断は水の抵抗の重さと泡の消え具合です。

最初は藍色の泡が白くなって、泡立たなくなるくらい。
葉や水の量、天候、温度で微妙に回数が変わります。

     
     110420 5

そこまで終わったら、そのまま
フタをして1日放置します。

次の日、上に溜まった茶色の上澄みを
丁寧に取り除くと・・・。


     DSC00741.jpg

泥藍ができます♪

これが藍染めの素の染料です。
ウチの工房では水分量を多めにしています。
のちのちの発酵がスムーズにいくようにとの思いで
現時点でのピヌムトゥ工房の泥藍はユルユルにして
作って使っています。

でもこの藍色の状態だと水に溶けないので
色は付いても染まりません。
これからこの泥藍を染まる状態にしなければ
ならないのですよ。。。

・・・と、長くなったので続きの工程はまた後日。


ナンバンコマツナギ、通称インド藍。
私たちの使っているこの植物での藍染めは
しばしば邪道だー!なんて言われたりします。

タデ藍こそが本藍染めと言っておられる
ほんの一部の方がそう言ったりしますが・・・

そんなこと言わないで!! (笑)

タデ藍のスクモは作るのに時間も掛かるし
加減とか職人技だと思います。
染めるまでに1年くらい掛かるそうです。

こちら夏場だと刈取りから染められる状態に
なるまで最短1週間とかで出来る場合もあります。

でもね、真剣にイイ色を出したいなって
思って試行錯誤を繰り返してるんです。

そこは同じでしょ??
色味もぜんぜん違うけど、
南国らしいキレイな青なんですよ。
また違う藍色なんです。

きっと職人のプライドなのでしょうが
邪道だーとか藍染めじゃねーとか言わないでね♪♪



この工程はあくまでウチの工房に適した工程です。
あまり詳しい作り方とかネット上で
見つけられないので参考までに。












     

プロフィール

RYO

Author:RYO
南国風色 改め 雪国風色
のRYOです!

八重山の離島に在住していましたが、現在は青森県弘前市に拠点を移しました。

Snow hand madeという染織工房を主宰。

企画店『風いろ食堂』でフロアと
写真展示、フライヤーや備品等のデザイン、製作の担当大臣。
mixiに風いろコミュあります。

日本最南端の工房
『ピヌムトゥ工房』のメンバー。
染め担当大臣♪
島の植物で染色してました。
島藍も天然発酵で使ってました。

島のポストカード作って売ってました。
現在も波照間で販売中です。

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