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その17
「次は魔力量の測定です。こちらの札を握りしめて下さい」



 完全に寝落ちしてしまいました。

 普段、床同然のところで寝ていたので……あまりにも気持ちよくて……。



 えっと、これを握って……。



「王国で一番の魔法師が5000MPだったか?」

「我が国の聖女レティア様は4400MPだったから、それ以上は期待できるな」

「ジル殿はアウルメナス家で随一の才能の持ち主とか。期待しちゃうよ」



 何だかよく分かりませんが、すごく沢山の人が見ています。こちらに来る際にニーナに聞いたところ、魔力の量はMPという単位で計測されておりベルゼイラ所属の魔法師の平均は100MP程なのだとか。

 とにかく、計測するときに精霊術で魔力を取り込めばある程度は誤魔化せるはず――。



「あれ? 30MP……? 何だこりゃ、一般人以下じゃないか。故障か……?」



 札を私に渡した白衣を着た男性が首をかしげました。

 あっ……今から測るとか言わないのですね。

 ま、まずいです。早く精霊術を使って、自然界の力を取り込んで魔力に変換しなくては――



「精霊の加護マナバースト……!」



 大地、草花、風、そして太陽……命を育む大自然を司る精霊の力を借りて、それを自らの力とする精霊術。

 この力は邪道としてアウルメナス家では認められませんでしたが、私の魔力不足を補ってくれます。



「ご、530000MP……!? し、信じられない……!」

「嘘でしょ?」

「そんな人間存在するのか……」



 白衣の方々が何やらざわついていますが、どうしたのでしょう。

 誤魔化せていますよね……。大丈夫だったと信じたいです――。
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