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超過死亡率が示す新型コロナ禍の真のインパクト

 図表1は、週ごとにみた死亡者数全体の推移を示している。日本では、だいたい毎週2万4000~3万人の方々が命を失っている。過去5年間の平均をみると、死亡者数には強い季節性があり、夏に減少し、冬に増加する傾向がある。

 最近の報道では、新型コロナウイルス感染症で1日当たり100人前後の人命が失われている。これは週ベースでみると700人となり、おそらく死亡者数全体の2%程度に達しているとみられる。

 2020年の死亡者数全体の動きを、過去5年間の平均と比較すると、第1波のあった春と第2波のあった夏以降にそれぞれ平均を上回る局面がみられる。

 図表2は2020年中の超過死亡率の推移だ。過去5年間の平均に対して現実の死者数が何%上回っているのか、下回っているのかを、米国、英国、ドイツと比較したものである。

 これをみると、日本は夏場まで、欧米に比べて死亡者数の増加が抑制された状況にあったことが分かる。第3波が到来し、感染が大きな広がりをみせた昨年11月以降に目をやると、欧米各国では超過死亡率が10~20%程度上昇しており、新型コロナウイルスの感染拡大が死亡者数を押し上げている可能性が読み取れる。日本においても、第3波の到来に伴い、死亡者数がどのように推移するのかが注目される。