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「ヘゲモニックな男性性」とは? 呪縛にとりつかれた「男らしさ」イメージの変遷

文=伊藤綾

男が生きづらくなったのは資本主義社会になってから?

 男女の賃金格差問題も絡み、「働くこと」と「男性であること」の結びつきが強い現代の日本社会に置き換えれば、「真面目に働く男性は男らしい」が、「いい歳をして無職の男性は男らしくない」とみなされることになる。

「男らしさの形成は、今日の資本主義経済や産業社会が発達する過程でも抑えられます。これは戦争の有無にかかわらず、どこの国・社会でも資本主義が立ち上がる初期に起きることです。労働者として女子どもも働かせていたら、当然ですが社会が回らなくなる。そのため、人々が生産労働に従事するようになると、男は外で仕事をして、女は家庭で育児や介護といった、再生産労働を担うという分業が形成されていきます」

 さらに、日本の男性学の第一人者である伊藤公雄氏は、93年に『〈男らしさ〉のゆくえ──男性文化の文化社会学』(新曜社)の中で、「近代産業社会成立以後の歴史は、女たちにとって、性による差別と抑圧の歴史」とし、「抑圧者」として男をとらえ、「より多くの金・地位・権力、さらには女たちを求めて、もともと生物学的に弱い性でしかない男たちが無理に無理を重ねてデッチ上げてきた『性支配』の歴史」であったとしている。

 そのため、今は「性の領域における抑圧者である男たちは、男として背負わされてきた役割に少しばかり疲れ始めている」とし、その「疲労」の理由が「義務としての〈男らしさ〉の神話に縛られている」からだとしている。

 このようにして、現在の日本では「いい歳をして無職の男性は男らしくない」というような、ひとつの男らしさのイメージが出来上がったのであった。

 明日公開の後編では国が押し付ける「男らしさ」について考えていきたい。

最終更新:2021/02/27 10:00
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