24日から、働く人を対象にした「試行的PCR検査」がスタートした。このPCR検査について広島大学の坂口教授に詳しく話を伺う。

まずは、ここまでの県内のPCR検査について野川キャスターが解説する。

【野川キャスター】

この「試行的PCR検査」は、最初は今月19日から21日の3日間広島市中区の住民を対象に実施された。対象者はおよそ13万6千人。当初は中区の一部地域の2万5千人とされていたが、希望者が少なく拡大された経緯がある。

実際に検査をしたのは3238人。県の想定した6千人を大きく下回った。受けた人の多くは高齢者だったという。そして、検査の結果、4人が陽性と確認され。陽性率は0.12%となっている。

Q:今回の検査の結果をどうみる?

【広島大学大学院 ウイルス学・坂口剛正教授】

「12月に抗体検査が実施された。抗体保有率、広島は0.25%といわれる。抗体検査は今までかかった人も含めて、一度でもかかったことがあればひっかかる。PCR検査は今かかっている人を探すわけだから、当然0.25%よりも少なくて、0.1%くらいではないかと想像していたので、大体、想定通りの数字ではないか」

Q:受けた人も想定より少なかったわけですが、検査をする意味はあったのか?

【広島大学・坂口剛正教授】

「そこは、残念ながら数が少ないと利益がなかったかもしれないが、今回得られた4人の人についてもかなり貴重なデータだと思う。というのは、症状がなくて感染してウイルスを持っている人がいるのではないかということがいつも問題になるが、今回、実際に調べてみて0.1%。この陽性の4人の方がさらにどこからウイルスをもらったか、またこの方たちは潜伏期で隔離された後で発熱しているかもしれない。いったいどんな人たちが見つかったかというのは、ある意味とても貴重なデータだとは思う」

【野川キャスター】

湯崎知事は22日の会見で「0.12%という数字について、こういうレベルかなというのが個人的な感想。検証作業はしっかりしていく」と強調している。

今回は試行的に行ったったもので、検証結果が待たれますが、今回はあくまで試行的に行ったもので、今後は広島市内およそ70万人を対象に検査を行う可能性も言及している。

Q:改めて、検査を拡大することについてどう考える?

【広島大学・坂口剛正教授】

「先ほど貴重なデータが得られたと言ったが、一方でPCR検査はものすごくコストがかかる。費用と手間がかかる。そうすると無症状で期待陽性率が低いときに、たくさんの人数を検査するというのはあまり良い作戦ではないかもしれない。

たとえば、ものすごく感染が拡大していて、どこから湧いてくるのかわからない。そういう時にある地域を限って全部PCR検査するというのは、もしかすると良いことかもしれない。その時の感染対策に対する全体の方針の位置づけとしてやるのであれば、意味があるかもしれない」

【野川キャスター】

一方、これとは別に広島県は、今週月曜日から無料PCR検査も始めている。

こちらは症状がない人を対象に1日500人を上限に、広島市で働く人と住民が受けることができる。会場は西飛行場跡地と中央新天地集会所。この検査の狙いは、感染状況の変化をつかむことで、全国的にの非常にも珍しい試み。

Q:検査には税金が使われることもあり、コストと効果が気になるが…

【広島大学・坂口剛正教授】

「不安を持っていて、是非受けたいという人を検査するというのは、その方の安心のためには良いかもしれない。ただ「感染状況の変化をつかむ」と書いてあるが、こういう場合は、抗体検査をするのが普通なので、すこし変わった作戦だと思う」

さて、ツイッターで募集した質問が届いている。

Q:妊婦や授乳中の人がワクチン接種しても問題はないか?

【広島大学・坂口剛正教授】

「アメリカのデータで、妊婦さんは新型コロナにかかると重症化しやすいというデータがある。だからむしろ積極的に打ってもらったほうが良いと思う」

Q:ワクチン接種をしたらすぐマスクを外して生活できるか?

【広島大学・坂口剛正教授】

「これはちょっと待ってほしい。ワクチンを打っても抗体が上がりはじめるまで2週間、時間がかかる。それからワクチンが効いたとしても5%の人はかかってしまう。(効果は)完全ではない。ワクチンが広くいきわたるまで時間がかかるので、自分が打ったからと言ってすぐにマスクを外して生活するのはほかの人にも良くない。もうしばらく我慢してほしい。みんながワクチンを打って、みんなが免疫を持ったら大丈夫になると思う」