第四十五話 大天使アルムを倒した
魔石を取り出して戻ってみると、大天使アルムは無事誰にも見つからなかったようで、いまだにぐっすりと眠っていた。
ジーナに魔道具を作ってもらいたいところではあるが、ここと宿を往復してる間に誰かがここを訪れたりしてはマズいので、今回は自分で彫ることにする。
「……できたな。ミスは無し、と」
失敗すると只事では済まないので、何度か彫り終えた魔法陣を見返した後、俺は意を決して魔道具を起動することにした。
「チェンジ」
すると──スレイプニールの魔石が光り輝いたかと思うと、次の瞬間には大天使アルムと同じフォルムの正八面体の魔石が、俺の手元に出現していた。
この魔石は広域魔物弱体化魔道具など、かなり便利な魔道具の材料として使えるため、戦いの最中に壊れたりしないよう「ストレージ」に格納しておく。
そんなことをしていると、大天使アルムも攻撃を目が覚め──キュィィィイインとけたたましい鳴き声をあげた。
……耳栓かなんか持ってきとけばよかったな。
ゲームではいつも音量を下げて対処していたのだが、現実だと音量を下げる手段がないのでなかなか頭に響く。
などと悠長なことを考えている暇は、あまりないようだった。
大天使アルムは、自身の周囲に四つの弾頭の幻影を浮かべると……それら全てに、急速にエネルギーを収束させ始めたのだ。
──「セイクリッドライフル」だ。
もちろん魔石を交換している以上、本来の威力は出ないのだが、劣化版ですら打たせるとこの洞窟が崩壊する程度の威力は持ち合わせている。
「超集中」
適切な対処を行うため、俺は脳の処理速度が上がり、世界がゆっくりに見えるようになるスキルである「超集中」を発動した。
本来の「セイクリッドライフル」とこの劣化版は、威力が違うのもさることながら──最大の相違点として、「次元貫通能力の有無」というものがある。
つまり、「ワープ」で異空間に攻撃を受け流すのが、この攻防の最適解だということだ。
「国士無双」の無敵状態で受けると、俺は無事でも洞窟は崩壊してしまうからな。
死傷者を出さないようにするためには、たとえタイミングがシビアでも、「ワープ」で対応するしかないのだ。
注視していると、大天使アルムの本体が一瞬カッと光り輝いた。
「ワープ」
間髪入れず、俺は大天使アルムを異空間送りにする。
「セイクリッドライフル」の攻撃発生は、光ってから0.1〜0.3秒後の間。
このタイミングで送れば、戻ってくる頃には発射後というわけだ。
「セイクリッドライフル」は連射できるものではなく、30秒ほどのクールタイムがあるので、その間は完全に攻撃に転じることができる。
特に、そのクールタイムの中でも最初の5秒ほどは体中の結晶が不安定な状態になっているため、そこに無理な力を加えるような攻撃ができれば一気に大天使アルムの体力を削ることもできる。
「国士無双」
異空間から戻ってきたら即攻撃に転じられるよう、俺はあらかじめ「国士無双」を発動することにした。
半秒ほど経つと、大天使アルムが「ワープ」の異空間から戻ってくる。
その全身は綺麗な銀色ではなく、所々が黄銅色に変色し、斑模様になっていた。
変色している箇所こそが、結晶が不安定になっている部分だ。
全ての斑模様に一回ずつ、全力の殴打をお見舞いすると、大天使アルム全体に亀裂が入った。
「キュイアアァァァァ!」
それを受けて大天使アルムは、独特の金属質な断末魔の叫びを上げる。
「三日月刃」
最後に斬撃の衝撃波をお見舞いすると、大天使アルムは無数の細かい破片へと砕け散った。
多少の亀裂だけなら修復可能な大天使アルムも、流石にこうなっては再び一つになることは不可能。
討伐完了だ。
安堵からその場に座り込み、しばらくすると、「国士無双」の効果時間が切れ、体を覆う黄金のオーラが姿を消した。
「結構あっけなかったな」
戦いを振り返り、俺はそう口にした。
最初こそミスると大惨事になる気の抜けない状況だったものの、そこさえ乗り切れば、二発目の「セイクリッドライフル」を打たす機会を与えることなく討伐することができた。
「チェンジ」で弱体化させたとはいえ、依然として強い結晶状態を持つ大天使アルム相手にここまで早期決着をつけられたのは、確実にウルトラソウルのお陰だな。
この分なら、例えば「永久不滅の高収入」が細工をして生み出した魔物とかでもない限りは、聖属性の魔物で倒せない相手は一切存在しないだろう。
結果的にアルムコアも手に入ったし、終わり良ければ総て良しだ。
そのアルムコアの使い方を決めるため、一旦俺は冒険者ギルドに寄るより先に、宿に戻ることにした。
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