テキサス州が「大統領選挙不正との戦い」を牽引しているのはなぜ

「米国民主主義」的なその風土
大原 浩 プロフィール

ブッシュが知事であったが……

グレッグ・アボット=テキサス州知事は2月7日、フェイスブックやツイッターなどビッグテックが保守的な言論を排除する動きについて、それを防ぐための法案の制定に取り組んでいると発表した。

2月9日の記事「米国でいま広がっている『トランプ派狩り』は『文化大革命』なのか?」1ページ目で述べた、「4つの激戦州で不正があったとする訴訟を連邦最高裁に起こした」時には17州が追従している。つまり、「民主主義を守ろう」という多数の州のリーダー的存在なのがテキサス州である。

テキサス州と言えば、カウボーイハットにロングブーツ。颯爽と馬にまたがる、いかつい男が荒野を駆け巡るイメージであろうか?

あるいは、テレビドラマ「ダラス」かもしれない。このドラマは、油田開発で財を成したテキサスの大富豪ユーイング家がドラマの舞台である。巨大な利権をめぐる権力闘争と家族の愛憎劇が人気を呼び、最高視聴率は53.3%を記録したという怪物番組だ。1978~91年まで米国で続いたこのドラマは日本でも放映されて人気があったから、記憶している読者もいるのではないかと思う。

また、ジョンソン宇宙センター(ヒューストン)でも名が知られている。

しかし、トヨタ自動車の米国本社がプレイノに存在することが象徴するように、州の法人所得税が存在しない企業誘致に熱心な一大産業拠点でもある。テキサス州の力は、経済面においても侮れないのだ。

ジョージ・W・ブッシュ (子)氏は、1994年のテキサス州知事選挙に立候補して当選しており、石油事業の利権を握っている人物である。しかしながら、民主党の元大統領であるクリントン氏やオバマ氏と親しく「民主党寄りの裏切り者」だと評される(2020年12月25日の記事「中国の学者が大暴露『米国は中国に支配されつつある』って本当?」参照)のは皮肉だ。

 

しかし、ブッシュ元大統領の行動や発言がどのようものであろうと、現在のテキサス州が米国における「民主主義のリーダー」の地位を確立しつつあることには変わりがない。

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