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私が妹だ! 作者:結城 慎

電波編

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番外編 百合香と咲と千太郎と

この話には、エロネタのギャグが少々含まれております。

苦手な方は回れ右を。


そうでない方は、ドーゾ

ただし、ちゃんとギャグになっているのかどうかは個人的には判断しかねますので、批評をいただけますと助かります。

では、番外編どうぞ。

 一体どうなってるのやら。今朝登校してみても、学校が閉鎖されてたりマスコミに囲まれてたりすることも、教室の前に死体が転がってたりすることも無かった。

 流石(自称)百合香と褒めるべきか恐るべきか。

 いや、でも無茶苦茶過ぎるよな、実際。これからあいつとちゃんとやってけるのか不安だ……


「どうしたの千太郎君?暗いよ」

「いやぁ、それ、が、さ―-ぁ?」


 え、え!え?えぇぇ!!


「山村さん!!?」


 俺の朝一番の絶叫に、登校していたクラスの全員が振り向いた。

 いや、でも今はそんな事はどうでもいい。

 それよりもなんで。なんで死んだはずの山村さんが目の前にいるんだ!


「今度は驚いて、千太郎君も忙しいね」

「いやいや、それより何よりなんで居るの!」


 その瞬間、山村さんは瞳に涙を浮かべ悲しげな表情に変わる。


「私がここにいちゃダメ?

 昨日の夜はあんなに熱いくちづけを交わし合ったのに」


 ガタリ!


 クラスの方々から殺意の塊が立ち上がるのを感じる。

 キスをしたのは本当だけど、交わし合った覚えはないって。


「それにその後、あんなに激しく燃え上がったじゃない」


 ガタリ!


 あ、さらに増えた。

 ってか、なんか呪詛の様に名前を呼ぶ声も聞こえるような……

 でも違うって!確かに山村さん燃え上がってたけど、アレは物理的にだから。ついでに焦げてたし。


 しかし、そんな周囲の状況を知ってか知らずか、山村さんは止まらない。

 悲しげな表情はいつの間にか恍惚としたものに変わり、両手は胸の前でしっかりと組んだ、夢見る乙女のようなポーズで。


「私、燃え上がり過ぎて死んじゃうかと思ったわ」


 バタッバタバタバタッ


 あ、何人か倒れた。

 いや、むしろ俺は山村さん死んだと思ったんだけど。


 しかし、数人減った所でクラスを覆う怨嗟の声は消えない。


「九重君、咲ちゃんにいったいナニしたの!」

「千太郎!このスケベ野郎。

 ずっと同士だと思っていたのに」

「そんな…… 九重君が咲ちゃんと……」

「山村さぁん、嘘だと言ってくれぇ!」


 などなど。

 無言でドロップキック放ってくる奴がいないだけマシか。

 だがしかし!このまま誤解を放置しておくと今後の学校生活に支障をきたす。何としても誤解をとかないと。


「みんな、よく聞いてくれ。

 みんなは間違いなく誤解をしている」


 誤解?と僅かにクラスの注意が俺に向きかけるが、山村さんが瞬時に修正を入れる。


「そんな!私は嘘なんてついてない。

 ヒドイッ!千太郎君、昨夜の事を無かったことにするつもり!?」


 涙ながらに訴える山村さんに、クラスメイトからは非難の嵐。中には「咲ちゃんの純情を奪っておいて、コトが済んだらポイなんて……」などと激昂しているやつも。

 いや、だから明らかにそれが誤解だって。確かに山村さんは一言も嘘は言ってないけど、言葉の意味合いが全く違うって。


 あーもう、なんかクラス内の評価だだ下がりだよ。

 まったくどうしたもんだか。口で勝負しても、周りを巻き込まれて勝てる気がしないし。


 しかし、そんな俺に助け舟|(?)を出したのは、意外にも俺を窮地に追い込んでいた山村さんだった。


「でも、千太郎君、私は別にそれでもいいの」


 いや、こ、これは……


「だから最後の思い出に、もう一度キスして」


 罠だ!!

 両手を組み目を閉じて少し下顎を上に向けた山村さんを見て、俺の本能が警鐘を鳴らす。

 キスをすればおそらくそのまま状況に絡めとられる。

 キスをしなければクラス中からフルボッコにあいそうな……


『キース!キース!キース!キース!』


 いつの間にかクラス中でキスの大合唱。

 ……朝っぱらから、このクラスは何をやってるんだ。


 ここは大人しく時間稼ぎして教師の登場を待つか……


「ちょっと待ったぁぁぁぁ!!」


 逡巡する俺の耳に響いたのは、待っていた教師の声ではなく、ある意味この状況で一番聞きたくなかった声。状況をややこしくさせそうな(自称)百合香の声だった。


「お兄ちゃんにキスなんてさせない!

 そう、

 私が妹だ!!」


 教室の入り口で腰に左手を当て俺たちをビシッと指差す(自称)百合香は、久しぶりに決まっていた。


















「なんでよ、なんでよ、なんでよ!!」


 放課後(自称)百合香は地団太を踏んでいた。


「なんでお兄ちゃんとムラサキさんがクラス公認カップルになってるのよ!」

「ごめんね百合香ちゃん。今回は私の勝ちね」


 結局事態は好転せず、そうなってしまったのは致し方ない。が


「なんで二人とも普通に喋ってるんだよ」

『え?』


 不思議そうな顔で見返された。

 いやいや、不思議なのはこっちだって。


「私は昨日も言ったけど、別に百合香ちゃんの事は敵とは思ってないし」

「お兄ちゃん、昨日のことは昨日のこと。今日のことは今日のことだよ」


 山村さんはともかく、(自称)百合香よ、お前はそれでいいのか。


「まぁ、二人がそれでいいなら別にいいんだけど、それより!

 今日何故かまったく話題にも上がらなかったけど、古賀の事はどういうことだよ」

「え?古賀由亜なんて人、私知らない」

「(自称)百合香よ、俺はフルネームをお前に教えた覚えは無いぞ」


 (自称)百合香はまったく隠す気はないらしく「テヘッ、失敗失敗」と舌を出しておどける。


「で?」

「文字通り居ないことにしておいたよ。この世から」


 え!?

 居ないことって……


「そんな無茶苦茶なことができる訳が……」

「ちょっと頑張ったらできたよ」


 ……

 …………

 ………………


 いやいやいやいや。

 ウチの(自称)妹、超危険人物?

 さらっと人一人居ない事にするなんて


「おまえそれやっちゃ駄目なことだろ!」


 思わずいつもより強い口調で言葉が出た。

 俺の脳裏に描かれた次の瞬間の画は、目を閉じてビクッと体を震わせる(自称)百合香の姿だったが、現実は予想に反し(自称)百合香は、俺の腕に絡まり体を押し付けながらこう宣言する。


「いいのよお兄ちゃん。

 お兄ちゃんに近づく、危害を加える女は、みーんな私が排除するわ。

 お兄ちゃんは私だけのもの。誰にもお兄ちゃんは渡さない!!」

「でも、今は千太郎君は私の彼氏だけどね」


 シリアスな、と言うか、半ば猟奇的なノリの(自称)百合香に軽く茶々を入れる山村さん。


「ムラサキさんでもお兄ちゃんは渡さない。

 お兄ちゃんから離れないさいよ!」

「へへーん。悔しかったら女の魅力で私に勝ってみなさいよ!」


 それぞれ俺の腕を抱え込む二人。

 俺の両脇で「ムキーッ」と対立している。もっとも、終始山村さんが優勢なんだが。

 しかし山村さん。俺はキミの女の魅力ではなくて、女の計略で攻略されたような気がするんだが……


 はぁー。


「(自称)百合香。健全な青少年の教育上よろしくないから、とりあえずその先の交番に自首して来い」

「やーよお兄ちゃん。

 それに居ない人殺しましたなんて言っても、ただの頭おかしい人って思われるじゃない」

「いいじゃない、もう半分おかしい様なもんだし」

「なんですって!ムキーッ!!」


 はぁー。


「お兄ちゃん、そんなにため息つかなくても大丈夫。

 私がずっとお兄ちゃんを守ってあげるからね」

「その前に、百合香ちゃん()早く彼氏作って兄離れしなさい」

「なんですって!ムキーッ!!」


 はぁー、もういいや。

 これからもずっと、こんな感じの毎日が続くんだろうな。


 できれば(自称)百合香や山村さんが今回のような事をしないで済むような、平穏な毎日でありますように。






 うん、なんかまとめれた様な気がするぞ!



 そうして二月の午後は過ぎていったのだった。

とりあえずコレにて電波編は終了です。

今回この章は随分前の章と毛色が違いました。

というか、R-15タグを付けざるを得なくなりました。


今のところ要望はいただいておりませんが、また一週間ほどすれば次の章に移る予定です。

ネタや要望は随時承っておりますので、よろしければ感想なりメッセージなりでくれると喜びます。


では、電波編これにて閉幕。

お粗末さまでした。

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