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僕が私で俺でわしでやっぱり僕

作者:トネリコ

 ビバ悪ノリ!

 ある時、僕は大商人の息子だった。両親が貿易で成り上がったから敵も多かったけど、何不自由なく育っていた。


 ある時、私的にはマジイミフなんだけど、急にこうバーッてからピカーって感じできてさ~。チョ、マジウケたっつーか、爆わらww。


 ある時、俺は流れの傭兵だった。前世らしきものは夢か妄想だと思い、ひたすら血と汗が飛び散る戦場を渡り歩いた。


 ある時、わしはこの記憶から魂の真理を探求し、いつの間にか賢者と呼ばれるようになっておった。



 そして…





 『いったーい!! ああ? 何だってんだ、クソ!!』


 「もう、静かになさい。ほら、リっちゃんがわざわざ誕生日のお祝いに来てくれたのよ」


 「別にあんたの為じゃないんだからね!」


 『ふむ、お嬢さんはどなたじゃったかのう…』


 「もう! リリーよ! 意地悪するならプレゼント渡してあげないんだから!」


 『ごめんね、僕の方に不手際があったみたい』

 

 「ふ、ふん。まあ、許してあげなくもないけど」


 「ちょっと料理の準備してくるわね」


 『ああ? ババア手伝いいるか?』


 「いらないわよ別に。今日は主役なんだから、遊んでなさい。」


 『アハ♪ マジ感謝感激なんですけど~。では、有り難く申し出を受け入れさせて頂こうかの。あのね、リリーちゃん、その手に持ってるもん見せろよ』


 「う、うん。あ、あんたごときにあげるのなんて、こんなもので十分でしょ!」


 『礼ぐれぇは言ってやる。僕、お客様から物を頂くのなんて初めてだなぁ。チョットー、今ココで開けてもいいでしょー? ネ! ネ!』


 「い、いいわよ、別に。そ、そこらへんにあったの拾ってきただけなんだから」


 『ほっほ、これはこれは。餓鬼のくせにやるじゃねぇか。ウッソー! これ超レアもんじゃーん! え? ガチでいいのー?』


 「そこらへんにあったんだってば! わたしがあんたの為に一生懸命、黒魔熊を倒して天虎を粉砕してペガサスを乗り回して魔界に入って赤龍をひと狩りしてきたなんて、あるはずないんだから!!」


 『うん。お客様の仰る通りだよね。ほっほ、ではお礼だけでも言わせて貰おうかのぉ。マジサンキューサンキュー、ベリベリハッピー!!』


 「そ、そんなに喜んでくれたらわたしもうれしいわ。ど、どうしてもって言うなら、また拾ってきてあげなくもないんだからね!」


 『ああ? 餓鬼が調子こいてんじゃねえよ。次からは俺を呼べ』


 「あ! あんたに心配される程弱くはないわよ!」


 『チョ、ナイナイありえナーイ!! ほっほ、こんなに可愛らしいレディじゃ、心配するのは当然のことだよ!!』


 「か、かわいい…」


 『うん!! チッ。分かったら離れんなよ』


 「…わ、わかったわよ。今度は一緒に行くわ…。…とっておきの場所も教えてあげる。あ、あれよ! 別にあんたを喜ばせようとかじゃないんだから!!」


 『アハッ♪ では楽しみにしておくかのぅ』


 「う、うん」


 「ご飯出来たわよー」


 『餓鬼さっさと動け。僕も空腹になっちゃったよ~』


 「ほら、リっちゃんいらっしゃい」





 『チョ! マジヤバなんですケド!! 美麗な甘味じゃな。お母様の料理は、一つ一つが宝石のごとく煌めいて美しいね!』


 「そんなに褒められると照れるわねぇ」


 「ただいまー。おお! 美味そうだなあ! リリーちゃんも来てくれたのか」


 「あら、あなたお帰りなさい。先に頂くところだったわ」


 「はは、ひどいこと言うなよ」


 「あ、あの! お邪魔してます!」


 「はは、堅苦しくしなくてもいいよ。お前も、今日は誕生日なんだ。いっぱい食べろよ。後でイイもんやるからな」


 『チッ! 礼は言わねえゼ。ウッワー!! 今日はマジヤバイね!! わしの心に留め置かせてもらうがよいかの』


 「はっはっは…。どうしたんだその喋り方?」


 「ふふ、こんなに喜んでいるところは初めて見たわ。あなたとリッちゃんのおかげね」


 「もう! お義母様方のお陰に決まっているじゃないですか。でも、少しぐらいはわたしの力もあるでしょう…?」


 『仰る通りだよ! 僕、皆様のご厚意に深く感謝してるんだ! マジテンションアゲアゲすぎて血圧が上がってしまってのう。おう、そんなにガンくれてんじゃねえよ』


 「おい、一体どうしたんだ? なにか変なものでも食べたか?」


 「もうっ、あなたったらそんな嫌味なこと言わなくてもいいじゃない」


 「お義父様、何か嫌なことでも? 微力ながらお力になりますけど」


 「な、何がだ? いや、それよりも…」


 『父殿、母殿にそのようなことを言ってはならん』


 「マズかったのなら作り変えるわ。ごめんなさいねリッちゃん」


 「それだっ!! いや、違う! お前じゃない!! ちょ、待ってくれ!」


 『爺、とうとうガタがきやがったか? 年なんだからムリすんなよナァ』


 「そうね、わたしも心配だわ。お誕生日会、お開きみたいになっちゃったわね」


 『ほっほ。お嬢さんどうやら遅くなりそうじゃ。僕にお家までエスコートさせてほしいな』


 「な! べ、別に、今日は迎えが来るからいいわよ! だから、…最後までお祝いさせなさいよ」


 『アハハッ♪♪ リッちんと私はズッ友だかんねー!』


 「とっ、ふ、ふん! まあ、あんたがどうしてもって言うならだけどね!」


 『チッ。…婆と爺おせぇなァ』


 「今日何も食べてないの。さすがにお腹すいたわ」


 『お嬢さん、きちんと食事は摂りなさい』


 「時間が合わなかったのよ! わざとじゃないわ!」


 『もっと気ィ配れヤ。美の女神の様なお客様には、いつまでも輝かしくあってほしいんだから!』


 「っ!!」


 『もー!! ハラペコー!! お先に頂くとするかの』


 「そうね…そうしましょっか」


 『爺! 婆! 先喰っとくゾ!』


 「おい! その口の利き方はなんだ! 一体どうしたんだ? 反抗期か? 反抗期なのか!?」


 「いいわよー。先に食べてなさーい…で? あなた、いい加減にしないと怒るわよ?」


 「なにがどうしてこうなった??」


 『ほっほ、美味美味。鬼ヤバ!!』


 「おいし! ……」


 『餓鬼、どうかしたかァ?』


 「お…とう」


 『? ごめんね。もう一度伺ってもいいかな?』


 「おめでとうって言ったのよ! このバカ!」


 『…マジでサンキューね! リッちん!!!』


 そんな平和な一日





 登場人物紹介


僕:通称5番目の人。本作の主人公。可哀想なことに4番目の作戦が裏目に出た。チートなどねエ。ただの村人。

  4人の意識は現れない。記憶もない。ただ、ふとした時に映像が現れることはある。

  哀れ、普通の口調と引き換えに、常時性格破綻者のような口調と、謎な時のみ発揮される知識を手に入れた。本人は気づいていない。そして一生気づかない。なぜなら謎パワーで指摘する人がこの世に一人しかいないから。

 周りの人には普通の言葉に聞こえている説もあるが、その場合は父のみに謎パワーが…、おや、誰か来たようだ。


僕:通称商人。まだ小さい内に暗殺されてしまった。大商人の一人息子だったからか、小さいころからの英才教育の影響が見られる。口調はそれっぽいが、ぽいというだけ。今回は現れなかったが、敵には腹黒い口調が見られるという噂も。


私:通称アホの子。より正確に言うと、一部からむしろ天才じゃね?と噂された発想力を持つ子。どこかの世界のどこかの国で生息している人種の口調が見られる。とりあえず適当に喋っている。死因は不明。実は友情にとても熱い子だった。


俺:通称傭兵。死因は戦場での裏切りから。荒っぽい口調は環境から形作られた。冷淡な性格であったが、5番目が喋る言葉を俺語に翻訳するとツンデレのようになぜかなっていく。俺の意識があったら死んでも言わない言葉のオンパレード。


わし:通称賢者。三人の記憶を持ち、そこから歴史に残る偉業を達成した者。リアルチートな爺さんだった。死因は老衰。最後の最後で神の御技の如き輪廻への干渉を行うも、結果は押して知るべし。


リリー:主人公?の幼馴染。ツン?いや、キレデレ。戦闘力を測ろうとすると計測器が壊れる。最近の悩みは、お揃いの龍水晶を探して狩ろうとしているのになかなか見つからないこと。


母:主人公のお母さん。おによ…ゲフンゲフン。料理力は世界で活躍できるレベル。最近の悩みは、旦那の髪が枕に付き始めていること。


父:主人公のお父さん。ガッハッハという感じの大らかな人。なぜか謎パワーの影響を受けられなかった。最近の悩みは自分と世界、どちらを信じるべきかということ。



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