よりによって黒人の文化を祝うブラックヒストリーマンス中ですが、2021年2月23日現在、今年一番、憤りと衝撃を感じた出来事が起こりました。今日をもって最後にして欲しいという願いと決心を込めて書いています。出来る限り多くの人の目にこの記事が触れることを望んでいます。サポートしていただけるならば是非シェアしてください。
もくじ
本日2月23日に、大村美容ファッション専門学校 OMULA 公式チャンネル(LINK)にアップされていたLIVE動画のこちらの部分をご覧ください。
日本人と思われるモデルの方に、メイクでブラックフェイス(黒塗り)をやっておられました。知らない方のために先に書いておきますと、ブラックフェイス(黒塗り)は黒人差別の象徴の最たるものであり、タブー中のタブーです。(理由は後述します)日本では、その認識の低さから、ブラックフェイスをやっては、のちに問題になるということを、何十年もの間、呆れるほど何度も何度も繰り返してきました。そして2021年になってもなお、日本においてはブラックフェイスへの認識の低さが変わっていないのかと、驚きと失望を隠せません。
ミンストレル・ショー(Minstrel Show)という、1840~80年頃アメリカで人気のあった演芸があります。黒塗りした白人が、黒人の特徴を真似して歌ったり踊ったり、喜劇的な演技をするもので、「無知で滑稽で怠け者」という当時の黒人への偏見を極端に誇張したものでした。人種差別的な内容であったことから、現在ミンストレル・ショーやブラックフェイス(黒塗り)はタブーとされています。
日本でも、ペリーが来航した際、部下の白人に黒塗りをさせ、黒人役を滑稽に演じて日本人を楽しませたという記録があり、その当時から日本人にはこの人種差別的娯楽が存在したと言われています。
ブラックフェイス(黒塗り)は、ミンストレル・ショーを彷彿させるもの、つまり人種差別に直結するもの、というか人種差別行為そのものであり、当然黒人の方々の立場になって考えると、ブラックフェイスをされることはこの上ない屈辱であるし、決して繰り返してはならないものです。今回、大村美容ファッション専門学校のイベントにおいて、人種差別行為をしてしまったということになります。私はこの件において、大村美容ファッション専門学校に対して抗議いたします。見過ごしてはならない事案です。
「人種差別である!」という、おそらく日本人としては言われ慣れていない強烈なキーワードを放たれたことによるショックからでしょうか、アレルギー的に反論する人たちがおっしゃるコメントはだいたい似ていて、この様な感じです。
「は!?差別!?そんな気まったくこれっぽっちもないのに!」
「はい出た差別。何でもかんでも差別と結びつけるな、被害妄想。」
「黒人をリスペクトしているからこそやっている。」
「憧れているから真似したいのに、何故わかってくれないの?」
「大げさな。差別しようと思ってやってるわけないじゃん。」
ですが、差別問題において、あなたがどう思うかではなくて、相手がどう感じるかが全てであることを知っていただきたいと思います。あなたが差別する気なんて一切無かったとして、それを世界中の黒人の人たちに理解してもらえるまで一人ひとり伝えて回るのですか?女性蔑視などのジェンダー差別もですが、あらゆる差別において、受けた側がどう思うかに焦点を充てるべきです。
また、自分の仲間内に黒人の方がいたとして、その人がOKだといったから問題ない、と主張する人もよくいらっしゃいますが、これは傷ついた当事者や、差別であると訴えている多くの黒人の人たちがいる事実に目を背け、あなたのそのエゴを通しているだけです。
「黒塗りがいけないことだとは知らなかった」
実際、何度も何度もしつこく同じ問題を繰り返している日本ですから、知らなかったというケースもあるのだと想像します。ですが、今は2021年。あらゆる情報に誰もが自由にアクセス出来る時代です。この様なスタイリング、メイクアップをやろうと思った際に、一切リサーチはしなかったのでしょうか?
ブラックカルチャーやスタイルが好きで表現したいのであれば、彼らの文化を学んでください。文化を学ぶには歴史を学ぶ必要があります。歴史を学ぶと、何が問題か、やっていいこと、やるべきでないことがわかるはずです。黒人の方々にとって、黒人以外の人がするこれらの格好は、ブラックフェイスは置いておいたとしても、コスプレにしか見えないといいます。彼らのカルチャーはコスプレではありません。カルチャーを学びもせずに盗用しないでください。
日本の多様化はこの先どんどん進んでいきます。様々なバックグラウンドや国籍、ジェンダーを持った人たちとの共存が当たり前の未来になっていきます。今学ばないと、これから先も無知のまま人を傷つけ、差別行為を繰り返すことになります。
モデルの方は、選択肢がなかったのではないかなと推測します。手元に情報を共有してくださった方が取ったショーの後の動画があるのですが、それを見ると彼女は顔を隠しているように感じました。会場に本物のアフリカ系の方がいたために、居心地が悪かったのかもしれません。そう思うと彼女は気の毒に思えます。
去年も、とあるヘアーショーでブラックフェイス(黒塗り)を確認しました。そして、つい数日前にも、日本人のメイクアップアーティストとカメラマン、そしてロシア人モデル(白人)のチームで、黒塗りで黒人に扮した写真をアップしておられました。いずれのケースもJapan for Black Livesとして、直接アカウントに対して注意喚起いたしました。また、問題提起として、私たちのソーシャルメディアでシェアしました。
どちらの方にも、丁寧に注意喚起とともに説明をダイレクトメッセージしましたが、開かれることはありませんでした。
もう一度、大村美容ファッション専門学校のLIVE動画を以下に貼ります。
これを観て思うのは、こんなに沢山人がいて、
①誰一人として「これは良くないのでは?」と指摘しなかったのか?
②あるいは、誰一人として疑問に思わなかった/知らなかったのか?
③それとも、表現の自由だしクリエイティブ活動だから大丈夫と思ったのか?
どのケースも良くないですが、①の場合、差別問題において、沈黙は人種差別に加担しているものと捉えられます。なぜなら差別される側は常にマイノリティ(少数派)であり、マジョリティ(多数派=特権がある側)の後押しが無くては声がかき消され現状を変えることが難しいからです。差別問題に中立はありません。不名誉なことに「臭いものに蓋」「我関せず」「見て見ぬ振り」をする人が日本人には多いと言われたりします。つまり自動的に差別加担者側となってしまうのです。
②ですが、教員や学校側がブラックフェイスを知らなかったということは正直信じ難いです。(知らないならそれはそれで呆れます。)本来であれば、教育する立場の人が、この様な事態を引き起こさないよう、コンテストのルールとして、もしくは最初から学校の教育の規範に組み込んで、ヘイトや差別につながる行為を防ぐ教育をすべきです。これは、日本の教育全体に対して言えることです。また、教育の現場だけでなく、警察組織をはじめ、あらゆる社会組織には、差別問題についての教育が必要です。そして、教育だけでなく、差別に対してしっかりと具体的な定義づけをして、交通ルールのように、やってはいけないことが明確に認識されるようにすべきです。
③のケースは可能性としてあったと思います。差別に対する認識の甘さ、つまり理解の足りなさから、まぁ大丈夫だろう、と思われたのかもしれません。ですが、差別行為につながるものはどんなに小さなことでもSTOPをかけなければならないのです。差別行為はヘイト(憎悪の感情)の一部です。ヘイトという感情は、最終的にはそのグループへの抹殺へとつながるのです。一切大げさではありません。
イベントの現場に居た外国人の方が、ブラックフェイスを目の当たりにして愕然とし、私たちに教えてくださいました。その人はアメリカの差別主義者が多い州の出身で、「これまで耳を塞ぎたくなるようなヘイトをぶつけている場面も経験したけど、ブラックフェイスを生で見たのは生まれて初めて」と言っており、非常に怒ってらっしゃいました。
でも、怒るだけでは何も変わらないと思い、我々に共有してくださいました。私は、このように行動を起こしてくれる方々に、感謝の気持で一杯です。この問題は見過ごされてはならないと思います。なので、私自身もできるだけこの出来事を多くの人に知ってもらって、ブラックフェイスという悪夢を終わりにしたいのです。
Japan for Black Livesのコンテンツ監修をしている、アフリカ系アメリカ人のTerryに動画を見せて説明しました。
またですか・・・。怒りで震えていて、言葉が出ないです。
まず、この件に関しては「知らなかった」という言い訳は一切通用しないです。特に、大村美容ファッション専門学校のように、教育する立場の団体であればなおさらです。ブラックフェイス(黒塗りメイク)であることに気づいていない、または見て見ぬ振りして、結果この様な形で出てしまうということは、この学校はアフリカ系の人々に対する迫害の歴史を面白がっていると世界に捉えられても仕方ありません。本当に馬鹿げています。
ブラックフェイスは日本で何度も何度も繰り返し問題になってきました。大村美容ファッション専門学校側が何故これを止めなかったのか、シンプルに理解が出来ません。露骨な侮辱行為であるのにこうも堂々とされると、本当に黒人のことや差別のことなどどうでもいい、気にも留めてないのだな、と思わざるを得ません。
コネチカット州在住の友人にもコメントをもらいました。彼らにこの動画を見せることは本当に心苦しいし、日本人として恥ずかしい思いで一杯です。
過去の日本の黒塗りの過ちから誰も学ばないのでしょうか?
注目されたくてやっているのか、差別問題なんてどうでもいいと思ってやっているのか、あるいは本当に自分のやっていることがどれほど悪質なのかを全然理解していないのか。いずれにせよ、ブラックフェイスが差別的であることをまさかそこにいる誰一人も知らなかったとは到底思えないのですが。
「無知は最も致命的な魂の病気である」とプラトンが言ったように、また、「この世で本当の無知と良心的な愚かさほど危険なものはない」とキング牧師が言ったように、無知とは罪深いもので、この大村美容ファッション専門学校の件はそれを代表するような出来事です。学ばないのなら、今後も同じ様なことがまたどこかで繰り返し起きるのでしょう。もう十分です。
黒人のように肌を塗るメイクは「許可できません」。日本初上演『ヘアスプレー』の制作陣がメッセージ
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5dc120f7e4b0bedb2d520d65
「黒塗りメイクは世界では人種差別行為だ」
在日13年の黒人作家が書き下ろした本音 / バイエ・マクニールhttps://toyokeizai.net/articles/-/204735
ブラックフェイスを黒人に聞いてみた / ぶらっくさむらい
日本には日本の価値観があるとはいえ、世界的にブラックフェイスがタブーであるという事実は変わらない。/ HUFFPOST
https://www.huffingtonpost.jp/shion-amamiya/japan-blackface-gakitsuka_a_23328233/
- ブラックフェイス(黒塗り)は人種差別行為。やってはいけない。
- 差別する気がなくても、関係ない。
- 被差別者を前にしてもなお、自分の言い分を押し付けない。それはエゴ。
- 人種差別を見聞きしたら、NOと言える勇気を。← 大事
- 人種差別に中立はなし、沈黙は差別への加担と同じ。
- 差別への理解や認識が低い日本なので、自分で勉強する。
- 勉強もせずに
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