千葉に新設されるコーンズの会員制サーキット「MAGARIGAWA」-建設の経緯を紐解く
アストンをコーンズで取り扱っている訳ではありませんが、面白い話だったのでちょっと調べてみた。
私は基本的に会員制サービスというのを使わないので詳しい事は分からないけど、ぱっと思いつくところだとゴルフかな。しかし今日の話題は会員制サーキット。
この話自体は何年も前からあったもので突然の大きいニュースではないんだけれど、8月12日にプレスリリースが出て各社が報じたのだろう。
フェラーリ、ランボルギーニ、ロールスロイス、ベントレー等を取り扱う高級車ディーラーとしても有名な「コーンズ」が千葉県の南房総市に会員制サーキットを2022年にオープンさせる事が正式に発表された。
アジア初の会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」を2022年末に開業予定
http://www.cornes.co.jp/news/detail/20200812_344.html
MAGARIGAWAという名称は、近隣の地名・河川いずれも地図を見る限りは確認できないが、予定地に流れる小さい川の名称が「七曲川」であり、そこから名称を取った可能性が高いのではないかと見ている。公式では「巛(まがりがわ)」という漢字をモチーフにしていると言ってるけど。
参考:https://www.sugolog.jp/2010/08/020-okamoto.html
事業の経緯
南房総市が市有地約53haを利用した民間活力による地域振興策を公募した事が始まりで、それに対しコーンズ富浦株式会社(コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドの子会社で、今回の事業のために新設)が応募、選定され事業が進められてきた。
が、そもそもこれだけの広大な山林を南房総市がなぜ所有していたのか?なぜ売却する事になったのか?その理由がふと気になって調べてみたら意外と紆余曲折あったようだ。
1980年代:駒澤大学がセミナーハウス用地として取得
南房総市議会の議事録によると、現在駒澤大学セミナーハウスのある海沿いの土地は旧富浦町町有地だが、これは今回の山林の一部と等価交換されたようだ。しかし合併前の自治体の話なので具体的な経緯は不明。
安田美由貴議員「駒澤大学のセミナーハウスがある場所は、かつて旧富浦町の町有地だった。そこに町のお金3億5,000万円をプラスして、大津の広大な山林と地交換をしたという情報がありますが、事実関係はどうなんでしょうか。」
総務部長「駒澤大学のセミナーハウスがある場所ということについては、以前、旧富浦町の町有地でございまして、大津の山林の一部は駒澤大学の所有であったということでございます。駒澤大学がセミナーハウスを設置するに当たり、面積は異なりますけれども等価交換が行われたというふうに聞いております。」
-南房総市議会 平成30年第2回定例会(第2号)議事録より
http://www.city.minamiboso.chiba.dbsr.jp/index.php/7191652?Template=view&VoiceType=select
1980年代後半~1990年代初頭:ゴルフ場建設計画が持ち上がるも、反対運動やバブル崩壊もあり計画は中止
栗原保博議員「処分する富浦町大津地先の市有地は過去にはゴルフ場開発予定地で、また広域ごみ処理施設建設候補地として事業が計画されては頓挫した経緯があり、広大な土地を有しながらこれを十分生かせずにおりました。」
-南房総市議会 平成30年第1回定例会(第4号)より
http://www.city.minamiboso.chiba.dbsr.jp/index.php/4825528?Template=view&VoiceType=select&DocumentID=544#39
2007年11月:館山市、鴨川市、南房総市、鋸南町の広域ごみ処理施設建設予定地に選定
2012年11月:広域ごみ処理施設建設を断念
調査や用地買収を進めたものの土地所有権等の問題でだいぶ難航した挙げ句頓挫し、結局南房総市内の別の地区(旧 千倉町)に変更された。
広域ごみ処理施設 大津・居倉予定地を断念 安房広域組合 – 房日新聞 2012年10月2日
http://www.bonichi.com/News/item.htm?iid=7152
ごみ処理施設建設の事業経緯は以下を参考に。
http://www.awakouiki.jp/gomishorikoikika/gomishorikoikika_4.html
https://www.city.minamiboso.chiba.jp/cmsfiles/contents/0000011/11321/kouikitorikumi.pdf
ごみ処理施設の計画が中止になり再び用途を失った広大な山林は、いよいよコーンズへの売却に向けて具体的に話が進み出す。
2017年7月:市有地等を活用した地域振興策の募集が開始
https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000010219.html
土地売却の経緯について-
市長の答弁を読む限り、最初にコーンズモータースからの提案があってこの話が動き始めたようだ。
安田美由貴議員「大津・居倉区の市有地、約50ヘクタールの売却について、どのようないきさつでこの土地を売却することにしたのでしょうか。売却の際の条件はどのようなものですか。」
市長「昨年度(ゑ注:2016年度)、民間企業から当該土地に関して利活用の提案及び土地を取得したいとの相談があり、本市としては、行政目的での利用計画のない土地であることから、これを売却する方向で検討し、その方法については公正公平性を確保するともに、利活用の目的や内容が妥当であるか審査した上で売却すべきとの判断から、公募型プロポーザルとしたところです。」
-南房総市議会 平成29年第3回定例会(第2号)議事録より
http://www.city.minamiboso.chiba.dbsr.jp/index.php/3398588?Template=view&VoiceType=select
2018年3月:コーンズ富浦株式会社への土地売却が決定
https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000010936.html
(※売却価格は160,477,239円、売却面積は約76ha)
2020年6月:着工
コーンズ富浦(千葉県南房総市、金子正利代表取締役)は、南房総市に計画するプライベートドライビングコースの新設工事に前田建設工業の施工で着手した。2022年11月中旬の完成を目指す。設計はデリス建築研究所(東京都千代田区)が担当した。 施設名は(仮称)南房総市プライベートドライブコース。コース延長は3550m。
前田建設で着工/コーンズ富浦の南房総市ドライブコース -日刊建設通信新聞 2020年06月10日
https://www.kensetsunews.com/archives/461057
前田建設といえば前田道路をグループ企業にしているし、そういう理由もあるのかな?
大学のセミナーハウス→ゴルフ場→広域ごみ処理施設→会員制サーキット
という誠に計画が二転三転したこの土地も、ようやく長年の時を経て利用手段が決まったよう。南房総市としてもようやく…という思いではないでしょうか。
そういえば会費ってどれくらいなんだろう。
THE MAGARIGAWA CLUB公式サイト
https://www.magarigawa.com/